伊豆稲取・素戔嗚(すさのお)神社の雛段飾り アクセス&見学ガイド

稲取の「雛飾り」と云えば、本来はこの「吊るし雛」が有名で、毎年「河津桜まつり」の時期には、セットでマスコミに取り上げられることが多い。

稲取にすればいい気はしないかもしれないが(笑)、「2本柱」というのは旅行業界にとっても、観光客にとっても魅力的な話である。

だがここに来て、その「稲取の顔」が変わりつつある。

そのニューフェイスが、こちらの「神社の階段雛飾り」だ。

2018年は、ちょうど祭りの時期に伊豆周辺を取材していたのだが、夕方のローカルTV放送では、各局ともにこの光景を大きく取り上げていたため、そこまで云うならと足を運んでみることにした。

なるほど! 確かにインパクトは絶大で、マスコミ受けするのは当然だ(笑)。

そこでまずは、この「素戔嗚神社の雛段飾り」のアクセスと見学方法について詳しく紹介をしていこう。

カーナビの目的地は「素戔嗚神社」ではなく、この「雛の館むかい庵」。理由はこの前に見学客用の無料駐車場があるからだ。

〒413-0411 静岡県賀茂郡東伊豆町稲取 むかい庵 

ちなみに他のサイトによく記載されている0557-95-2901の電話番号は、稲取温泉旅館協同組合のもので、電話番号検索でセットすると違う場所に案内される。

電話番号で入力する際は、「稲取ホンダモータース☎0557-95-2040」にするといい。「雛の館むかい庵」は、その少し漁港寄りのところにある。

なお駐車場は、緑の「稲取漁協無料休憩所」を挟んだ手前にもあり、こちらに停めるほうが素戔嗚神社に近い。

後述するが、筆者は「雛の館むかい庵」ではなく、近くにある「文化公園雛の館」の見学を勧めるので、素戔嗚神社のみが目的であればこちらの方が楽でいい。

クルマを停めたら素戔嗚神社までは徒歩で行く。駐車場から少しだけ漁港に戻ったこの交差点から、坂道を5分ほど歩くだけなのでそれほど大変なことではない。

ほどなく「雛段飾りの会場」に到着。ただ平日でもツアー客が頻繁に来るので、運が悪いと上のような写真は撮れない(笑)。

だが、彼らは次の予定があるのですぐに移動する。そこで、その合間を利用してこの景色を眺めにいこう。

といっても、もちろんこの階段は登れない(笑)。

先ほどの鳥居の脇に本殿に向かう通路があり、道案内が表示されているので迷うことはない。ただご覧のように迂回して途中、クルマが通る生活道路を歩く。

そこからは稲取温泉街が見渡せる。所要時間は5分ほどだが、坂がきついので景色を眺めて一息つこう。

せっかく来たので本殿に参拝を。というより、ここは本来それをしに来るところであった(笑)。

この神社は江戸時代初期の1617年に創建され、ヤマタノオロチを退治したアマテラスオオミカミの弟、スサノオノミコトを祀っている。

ということは、スサノオは雛祭りと何か関係があるのだろうか…。

答えは「NO]である。

実は「神社の階段雛飾り」を行っているのは稲取だけではない。うえは同じ伊豆半島の伊東温泉にある佛現寺の写真。こちらも118段あって壮観だ。

調べてみると、この「118」という数字に何か意味があるらしい。

素戔嗚神社で「階段雛飾り」が始まったのは2014年からだが、当初は段数が少なく徐々に増やして117段までになった。町はこれで「日本一!」と思ったようだが、思わぬライバルが出現する。

負けてなるか!とさらに一段増やして、現在は「日本タイ記録」ホルダーとして、この両者が頑張っている。どうやら真相はそのあたりにあるらしい(笑)。

つまり「神社」と「階段雛飾り」に関連性はなく、まさに「インスタ映え」を狙った今どきイベント。それがこの「素戔嗚神社の雛段飾り」の実像なのだが、稲取では見事な雛段飾りに加え、それに「らくらくフォン」を持ったじいさん・ばあさんが群がる奇妙な光景が見られる。若者からすれば、筆者もそのひとりになるのかもしれない(笑)。

さて。気になるのはこの人形は、夜どうするのか? というより、野外である以上突然雨が降ることも強風が吹くこともあるはずだ。

その答えがここに書いてある(笑)。よく聞かれるからなのだろうが、本当にご苦労様だと思う。

と同時に、このイベントが今後末永く続くのだろうか? 老婆心ながら、そう危惧せざるをえない。

現在は地元の人たちが当番制で毎日準備と片づけをしてくれているというが、その主な役割を果たしているのは「ご隠居様」たちであろう。しかし見るからに、階段雛の出し入れは、シルバー世代にはけっこうきつい仕事のように思える。期間限定とはいえ、本当に奉仕で継続していけるのだろうか。

そう思う背景には、このイベントを維持するべき「理由の希薄さ」がある。

稲取が大切にしてきた「吊るし雛」は、一種の伝統行事・伝統工芸で「文化継続」という大義名分がはっきりしている。その意味では、もはや単なる観光資源というレベルではあるまい。

それを如実に物語っているのが、まつりのメイン会場となる「文化公園雛の館」の展示だ。冒頭で、「雛の館むかい庵」ではなく、近くにある「文化公園雛の館」の見学を勧めると書いたのは、展示内容が遥かに充実しているからに他ならない。同じ300円なら、やはり本館を見るほうがいいと思う。

さてここから先は「余談」。最後にダイナミックな「階段雛飾り」の歴史を紹介して終わろうと思うが、ガイドとは関係ないので興味があればお読みいただきたい。

筆者が調べた限りでは、1989年に徳島県勝浦郡勝浦町で開催された「ビッグひな祭り」がその始まりのようだ。さらに全国勝浦ネットワークの縁で、2001年に千葉県勝浦市が徳島県勝浦町から、およそ7,000体のひな人形を里子として譲り受け、同じく「かつうらビッグひな祭り」がスタートした。

さらに2012年には和歌山県東牟婁郡那智勝浦町にて、南紀勝浦ひなめぐりが始まるなど、徐々にその輪は広がっている。

一般家庭では、雛段飾りと云えば7段が最大級。この画像を見ていただければわかるように、本来人形が並ぶのは5段までだが、7という数字が縁起が良いとの理由から、下2段には料理が並ぶようになったという。

うちにもあるが、狭い団地ではそれを出すだけで6畳の間が半分近く持っていかれる。その娘が嫁入りに持参するかといえば「No」。孫娘が生まれても、「雛祭りは実家でするからね」ときたもんだ(笑)。

仮に自宅にあったとしても、現代の共働き世帯が、休日に雛人形を出したり片づけたりする時間は惜しいに違いない。それなら、こういったイベントで壮観な様子を眺めるほうがいいと思うのは当然だ。

筆者夫婦がこの世から去れば、遺品整理の対象となるに違いないこの雛人形だが、娘が持っていかないのなら、お炊き上げではなく、こういったイベントに寄付するほうがいい。筆者だってそう思う。

各地で何万何千と云う数の雛人形が集まる理由は、たぶんそのあたりにあるのだろう。それが町おこしに役立つとなればなおさらのこと。

なかなかうまいところに目を付けたものである(笑)。

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