2008年6月初旬...
車中泊専門誌「カーネル」の2009年夏号に掲載する、北海道特集の取材がようやく決まった...
今回の旅行記では、まず、その経緯からお話することにしよう。
地球丸株式会社により、日本で初めて創刊された車中泊の定期発刊専門誌「カーネル」。
創刊号は、2008年6月28日に夏の上高地&乗鞍高原を巻頭特集に据えてリリースされた...
その特集が僕とカーネルの最初の出会いになったわけだが、それはまた上高地の取材旅行記の中で詳しく触れるつもりだ。
とりあえず、それはそれで良かった 。

だがよく聞けば、カーネルは毎年6月と12月に発刊する予定と云う。
通常、車中泊の世界では、夏といえば北海道。夏休みは涼しい北の大地で余暇を過ごすのが、庶民には「夢」であり、中流には「王道」であり、富裕層には「常識」なのだ。
ゆえに、夏前に発売される車中泊の本に"2度"も続けて北海道の話が載っていないようでは、読者からすればそれこそ「おハナシ」にならない。
いくらカーネルが創刊における業界誌のパイオニアであっても、後発のライバル誌に先にドカンと北海道を特集されてしまえば、もうそれだけで「2番手」に陥るといっても過言ではなかった...

さらに夏の北海道の代名詞といえば富良野のラベンダー。それは7月中旬にはピークを迎える。
企画を急がなければ、目玉となる絵を撮り逃がしてしまうギリギリの時期が迫っていた。
実は、この段階でカーネル創刊号はまだ印刷機の中にあった。
折りしも世の中はガソリンが急騰し、景気は後退傾向...
つまり、まだ創刊号が発売されてもいない中で、経費のかさむ長期の北海道の取材を簡単にOKすることは、けして容易ではなかったのである。
そんな環境下で実現したカーネルの北海道特集は、正直、僕にとってけして楽なものではなかった。
確保できたのは、車中泊で北海道を周り、モデルから撮影・取材・原稿制作にいたる全てを、我々夫婦だけで完了させなければ実現できない予算。しかもそれでは、全道は巡れない...
さらに20日間に及ぶ長期の取材は、別の仕事がその期間全てストップすることを意味し、家内は長年勤めてきたパートの会社を辞めてまで、この仕事に臨んだ...
果たして、そこまでこの仕事に、いやカーネルに賭けるだけの意味があるのか?
きっと「ビジネスマン」はそう考えるのだろう。
だが「事業家」は、その価値を見出すには、このチャンスをどう生かせば良いのかと考えるのだ。
ゆえに僕は、事実上預かった取材経費よりも多く「投資」をすることにした。投資する以上はその額以上のリターンがなければ失敗ということになる。
だからこそ、膨大なる時間を費やしてこの日記が書ける。趣味では絶対にここまでの記録は残せない...
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さて、北海道に行くことは決定したのだが、人気スポットの富良野・美瑛・知床を、ありきたりに取材してきただけでは、カーネルは売れても僕は売れない(笑)。それでは投資回収がおぼつかないということで、この企画に2つの「テーマ」を持ち込むことにした。
1つはAuto-PackerとHybrid-Campingという、かねてから僕が温めてきた車中泊のスタイルコンセプトのイメージ作りだ。
詳しくは先のリンクページでご覧いただければわかるが、要は着替え以外は何も持たないトラベラー型の車中泊旅行ではなく、変化と自然に満ち溢れる北海道のフィールドをベースに、トレッキングや釣り、あるいはバードウォッチングなどのアウトドアコンテンツを楽しもうというアクティブな発想である。
ゆえに自炊はやるし、滞在はキャンプ場が中心となる。もともと北海道は、夫婦1泊1000円以下で利用できるキャンプ場がたくさんあって、道の駅に頼る必要のない場所なのだ。
そのイメージ撮影のロケ地として、今回は道北を周り、花の浮き島で名高い礼文島へ、車を稚内に置いてバックパッキングで上陸することにした。もちろん背景には経費節約という目的もある。

そしてもう1つはデュオキャンピング。
少子高齢化が進む日本で、今後オートキャンプのマーケットを維持・拡張していくには、ファミリー層だけではなく、学生から新婚世代と僕らのような子育て完了世代、そしてシルバー層に至るカップル対象のデュオキャンプのマーケッティングが必要となる。
もちろん車中泊がその中核をなすわけだが、ただクルマで寝泊りして放浪旅をするだけでは内容がチンケすぎてスタイル提案にはならない。道の駅に泊り、家庭用の鍋でラーメンをすするような旅が日本に充満してしまったのでは、この業界は滅亡する。逆に「脱日常でお洒落感のある自由奔放な旅」、そして「Lifestyles Of Health And Sustainability=ロハス」が支持されれば、そのスタイルを構築する為に必要な情報とモノを必要とする人々が増え、新しいマーケットが形成されるのである。
つまり目的は「消費意欲が沸き起こるコト」をビジュアル化し、実際にモノ作りに繋げ、新たなるマーケットを切り開くことにある。
ただ、これには既にその路線を歩みつつあるスノーピーク社の協力が不可欠だった。

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オール・スノーピーク製品で車中泊シーンを作るとなれば、用意すべきアイテム数は半端ではなく、通常の雑誌の貸し出し点数からは、かけ離れた要請をしなければならない。
これは、店や大阪営業所レベルではなく本社とのやりとりが必要だろうなぁ~
だが、そのチャンスは全く唐突に訪れた...
スノーピーク社の山井社長と僕の間には「共通の友人」がいる。彼は山井氏とは中学・高校の同級生で、僕とは大学時代の悪友である。その彼が一昨年に大阪に転勤してきて、ちょうど来週大阪で3人で飲もうという話になったという。これはドラマチックにもほどがある実話なのだ(笑)。
もちろん僕は僕で以前から山井氏とは何度かお会いしたことがあり、事情を話すと彼は僕の申し出を快諾してくれた。まあ、とりあえずリストを持って、広島のスノーピークウェイにおいでよと...(笑)。

翌週、僕は約束通り大鬼谷で開かれたスノーピークウェイに足を運び、宣伝部の責任者である片山氏と打ち合わせを済ませた。片山氏と仕事をするのは2度目だが、彼はあの分厚いカタログを毎年編集している責任者で、今や山井氏の右腕とも言える人物である。その片山氏とともに用意してきた50品目を超える製品在庫の有無を確信し、翌週スノーピークの新潟本社に寄って製品を預かり、その足で新潟港からフェリーで小樽へ行くことが決まった。
ちなみに僕は、帰宅後以前からの愛用品を含め、今回使用した全てのスノーピーク社の製品を別のブログでインプレッションしている。
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