「日本一の炭酸泉」の呼び声高い温泉館 七里田温泉(しちりだおんせん)/大分県


TVチャンピオンで全国の温泉通の頂点に立った郡司勇氏が、「日本一の炭酸泉はどこかと聞いたら、多くの人はこの湯を挙げるであろう。」と評した七里田温泉「下湯(温泉共同浴場)」は、確かに一度入湯すると、その心地良さが忘れられなくなる温泉だ。

七里田温泉

同じ炭酸泉で全国区の知名度を誇る「長湯温泉・ラムネ温泉館」とはネット上で常に比較され、遠く本州から行く旅人がその書き込みを見る限り、「長湯温泉まで足を運ぶ必要はなさそうだ」という気分にさせられる。

だが、本当にそうなのだろうか。

炭酸泉

両者を比較する前に、まず炭酸泉について話そう。

炭酸泉とは、炭酸ガス(二酸化炭素)が溶け込んだお湯のことで、別名「ラムネの湯」と呼ばれる。入浴すると細かな泡が付着し、ぬるいお湯でも体の芯から温まる。また湯上り後もポカポカした温かさが長く持続するのが特徴だ。その理由は炭酸によって血管が拡がり、血流が4倍近くになるからだという。血流が良くなれば、血圧は下がり心臓の負担が軽減される。温泉療法の世界で、炭酸泉が「心臓の湯」と呼ばれているのは、そのチカラのせいである。

看板

いっぽう、炭酸ガスには高温のお湯には大量に溶けないという性質がある。つまり日本のような火山活動が活発な国では、高濃度に炭酸ガスを含んだ天然の炭酸泉に出会うことは非常に稀だ。その希少性が噂を呼び、温泉ブームの波に乗った長湯温泉と七里田温泉は、テレビや雑誌で一躍脚光を浴びることになった。

 

七里田温泉

さて、本論に戻ろう。一般に七里田温泉といえば、大分県竹田市直入にある日帰り温泉施設のことを指す。そこでは地元温泉組合によって、「木乃葉の湯」と「下湯(ラムネ湯)」の2箇所が統一管理されている。

七里田温泉 下湯

噂の「下湯」は、意外な建物の中にある。七里田温泉館の自動販売機で「下湯の券」を買って鍵をもらい、クルマは駐車場に置いたまま、そこから看板に従って歩くのだが、ここまでは5分もかからない。湯船は6人がちょうどくらいの大きさだが、どうやら8人を目安に入れているようだ。ただしお客の誰もが30分以上は長湯をするため、回転は極めて悪い。筆者は運良く待ち時間なしで入れたが、日によってはかなり空き待ちをすることにもなりそうだ。

下湯 浴室

筆者が感じた長湯温泉・ラムネ館との一番の違いは源泉温度だった。前述のとおり、炭酸ガスは高温のお湯には大量に溶けないといわれ、冷泉が当たり前とされているのだが、七里田温泉は37.5度で長湯温泉よりも5度近く高い。内風呂と露天風呂の違いはあるが、途中に体温を挟むこの温度差は想像以上に大きいはずだ。さらに炭酸含有量は1,250mgで、長湯温泉の781mgをやはり大きく凌いでいる。そのため、明らかに泡付きが早く、しばらくするとカラダがムズムズするような感覚に襲われた。確かに「源泉勝負」では、数値・体感ともに七里田温泉に軍配はあがる。

 

長湯温泉ガニ湯

ただし筆者は、「泉質」や「効能」だけではなく、「居心地の良い温泉地」という価値観を求めており、その観点からすると周囲に何もない野中の温泉館よりも、ガニ湯のような野湯や古びた温泉街が残る、長湯温泉のほうが面白く思える。
「日本無類の炭酸泉」と「日本一の炭酸泉」の違いは、どうやらそのあたりにありそうだ。

結論は、「七里田で炭酸泉浴をたっぷり味わい、長湯でもう一度温まってから眠る」(笑)。両者の距離はクルマでわずか15分ほどだけに、行ってみる価値は十分にあるだろう。

七里田温泉 下湯
〒878-0202 大分県竹田市久住町大字有氏4050-1
電話:0974-77-2686

●入浴料:おとな300円
●営業時間:9:00~21:00・毎月第2火曜日定休
●泉質:含二酸化炭素-マグネシウム・ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉
●源泉温度:36.3℃ pH:6.3 成分総計:4.443g/㎏

 

 

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