温泉旅と温泉巡りは「別物」


一言で云えば、レジャーとホビー

もしかすると、大半の人は両者を混同しているかもしれない。というより、その違いを考えたことのない人がほとんどではないだろうか…

だが、温泉旅と温泉巡りは分けて考えるほうがいい。
なぜなら、両者は楽しみ方がまったく違う。

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温泉旅行を楽しんでいる日本人の大半は、意識するしないにかかわらず、その場に「情緒」を期待している。特に心身のリフレッシュを求めて出かける人ほどその傾向は顕著だ。

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たとえば、もうもうと湯煙をあげる源泉と、そこから漂う硫黄の匂い。あるいは店先でまんじゅうを蒸す土産屋、さらには浴衣に下駄履きで宿と外湯を行き来するお客の姿など…

そういう場面を目にすることで、「ああ、温泉地に来たな」という非日常感を味わうのが、いわゆる温泉旅の真髄だ。

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だが時には、その地にまつわるエピソードに思いを馳せることもある。

たとえば太閤秀吉がこよなく愛した有馬温泉に行けば、有岡城から九死に一生を得るように救出され、ここで湯治をしたであろう黒田官兵衛のことを思い出し、当時の湯山御殿跡に足を運んでみたくなる。

渋温泉

いっぽう、本来の温泉巡りを楽しんでいる人間は、もっと純粋にマニアックで、視線は「温泉」そのものだけを注視している。もし「温泉分析書」に書かれた数値に対し、実湯した際の肌触りに違和感を覚えれば、自前のpH計で実測するのは当たり前… むしろそこまでやるからこそ、本気の趣味人としてのリスペクトに値する。

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ただし彼等は我々と違い、その地にある名勝や名物には関心が薄いようだ。情緒に浸る時間があるなら、「目指せ!次の名湯」。どんなに世界が注目しようが、サルしか入れない温泉に足を運ぶことはしないのだろう(笑)。

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温泉旅には、散歩や飲食、寺社仏閣の参拝といったコンテンツが付随する。温泉巡りとの違いを分かりやすく例えるなら、温泉旅はその土地の様々な食材と料理が少しづつ詰め込まれた「幕の内弁当」、温泉めぐりは素材や調理法を競う各地の「唐揚げ弁当」といったところだろうか。

また、こうもいえる。
両者は同じ「温泉」好きでも、異なるスポーツを楽しんでいる。それは「フットボール」の世界で、ラグビー選手がサッカー選手から、とやかく云われる筋合いがないのと同じだろう。

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