奥日光の車中泊事情


奥日光は、大まかに云うと日光市の「いろは坂」より上の地域。太平洋型気候と日本海型気候の境界にあり、湖沼や滝、川、森林、そして広大な湿原が広がっており、「秘境」とも呼ばれている。ゆえに車中泊をするなら、食材を先に調達しておくことをお勧めする。

さて、この写真を撮影した2009年頃の奥日光は、まだ車中泊で訪れる人々に寛大なところだった。

当時の奥日光で車中泊をする人は、戦場ヶ原でハイキングやバードウォッチングを楽しんだり、星空を静かに観察するようなアウトドア好きが多かったのだが、車中泊がブームになるにつれ、避暑や元湯温泉目当てにやってくる人の数が急増し、そのマナーの悪さに関係者はずいぶんアタマを痛めたようだ。

2013年。奥日光にある主要な5つの無料駐車場にこの看板が立てられた。筆者は車中泊コースガイドの初版にその5つの駐車場を紹介していたのだが、読者からカーネル編集部にクレームの電話が入り、その事実を確かめるために、はるばる北海道の帰りに日光まで足を運んだ。

結果は見ての通り。この絵を見る限り、禁止なのはテントキャンプとキャンピングトレーラーであって、車中泊は禁止ではない。キャンピングトレーラーが禁止で、キャンピングカーが禁止ではないというのは若干引っ掛かるが(笑)、数日間置きっぱなしにするオーナーが後を絶たなかったのかもしれない。

それから4年… 2017年10月に訪れた時には看板が新しく変わっていた。

ここに書かれているオートキャンプは、サイトにクルマを横付けしてテントキャンプをする、いわゆる日本流のオートキャンプではあるまい。察するに、クルマのバックドア下などにイスとテーブルを出して、調理や食事を行う行為を禁じているのであって、車内ですべてを完結する車中泊ならOKということになる。

まずはそのことを念頭に置いて、これから紹介する車中泊スポットを正しく利用していただきたい。禁止行為が明記されているのだから、正しく利用さえすれば、誰からも文句を云われることはない。

歌ヶ浜駐車場

ここからは個々の駐車場についての説明になる。

まず、「いろは坂」から登ってきた場合は、ここが一番近い無料駐車場になる。目の前に中禅寺湖が広がり、男体山の雄姿も見られるビュースポットなので、ここへはその景色が見られる時間帯に到着したい。

ただし、ここには中禅寺湖の遊覧船乗り場があり、営業中はトイレに近い駐車場はそのお客さんが利用している。車中泊するなら遊覧船の営業終了後に、トイレの近くに移動しよう。

キレイに管理されたトイレ。以前は冬季閉鎖になったが現在はわからない。

かつてはゴミ箱も置かれていたが、2017年に訪れた時はきっちり撤去されていた(笑)。ここは近くにヤマザキ・デイリーマートがある。また周辺のホテルでは日帰り入浴を受け付けてくれるところもあるようだ。ちなみに筆者はここでは車中泊をしたことはない。

中禅寺湖周辺の日帰り入浴ができる温泉

赤沼駐車場

戦場ヶ原をハイキングする人々の多くが利用する駐車場で、自然情報センターが併設している。

トップシーズンは人の出入りが多く静かではないが、逆にそれが安心感に通じるとも云えるだろう。近くに食堂はあるが閉店時間は早い。コンビニ、温泉ともに近くにはないので、車中泊をする場合は、所用をすべて済ませてから行くといい。ただしゴミ箱はない。

なお戦場ヶ原に行かないのなら、この駐車場はハイカーに譲ろう。

筆者もここで車中泊をして、戦場ヶ原を歩いてきた。

三本松園地駐車場

奥日光でいちばんわかりやすい場所にあるので、昼間は利用客は多く満車になることもあるようだ。しかし夕方以降はがら空きになる。

敷地内に食堂とお土産屋さんがあるので、外食で車中泊をする人にはこの駐車場がよさそうだ。温泉は近くにないので、湯本温泉まで足をのばすといい。なお、ここにもゴミ箱はない。

湯元本通り湖畔駐車場

湯元温泉地区にある無料駐車場で、上の写真は普通車用のスペース。メインストリートから木立で隔離されているため、かつては、ここでテーブルとイスを広げたり長期滞在する人が多かった。彼らが車中泊のイメージ悪化に一役買ったのは間違いあるまい(笑)。

だが2017年10月に訪れた際には、そういう旅人の姿はなかった。たまたまかもしれないが、もしかしたら悪質な車中泊者には注意をしてまわるようになったのかもしれない。

こちらはバスなどの大型車両も停められる大駐車場。右にある建物がトイレだ。

湯元温泉には日帰り利用できる温泉施設が多く、お湯も硫黄泉で心地よい。聞いたわけではないが、ここでは車中泊旅行者を、「その温泉旅館を支えてくれるお客様」として認識している気がする。ゆえに「やんわり」とした規制にとどめているのだろう。

500円で日帰り入浴できるコスパの高い湯元温施設は、オオルリ荘

ただし、なにぶん山奥なので店が少なく、夜はどこもが閉まってしまう。今はヤマザキのコンビニがオープンして多少はマシになったと聞くが、パンやおにぎりは昼間で売り切れてしまうそうだ。なお、ここにもゴミ箱は置かれていない。

また筆者は、ここで車中泊をしたことはない。その理由を最後に記そう。

光徳駐車場

いまさら「穴場」と呼ぶには、既に多くの車中泊旅行者にその存在を知られてしまったが、奥日光の主要幹線である国道120号から奥まったところに「隠れ家的」な車中泊スポットがある。筆者はここで車中泊をすることが多いのだ。

そのいちばんの理由はゴミ箱が置かれていること。もちろん、フラットで静かなことも挙げられる。

だが、この素晴らしい環境でオフ会をやらかすキャンピングカーの集団がいた。今はどうかしらないが、その悪評が広がり日光の車中泊事情が一気に暗転してしまったのは事実だ。車中泊環境は自然と同じで、実にか弱く「保護」するくらいの気持ちがなければ、たちまち滅びてしまう。

2017年10月現在の取材では、まだここだけはゴミ箱が撤去されていなかった。ということは現在は秩序が保たれているのだろう。しかし、余談は許されない。

世の中には、そういうスポットの存在を隠すことで保護できるという人もいる。だが、筆者の考え方は違う。良い車中泊スポットに、善良な車中泊旅行者だけが集まれば、何も問題は起こらない。ということはバンバン情報を公表するのが一番いい。

空いていたお気に入りの場所が混雑して使えない。それは嘆かわしいことではなく、あなたに「先見の明」があったということ。つまり喜ばしいことだ。ぜひその素晴らしい眼力で、次々と素敵な車中泊スポットを見つけていただき、多くの人に広めていただきたい。

そんなわけで、次回もまだゴミ箱が残されていることに期待して、この記事は「お・し・ま・い」。

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