乗鞍観光センターの「これが正しい車中泊事情」 2018.4最新

思い起こせば、乗鞍高原との「付き合い」はずいぶん長い。初めて訪ねたのは1994年、「20世紀」の話である(笑)。

当時はまだ車中泊もしていなかった時代だが、幼い子どもたちといっしょに奥飛騨温泉郷にテントを張り、安房峠超えで上高地に出かけたり、乗鞍スカイランで畳平までドライブしたり、スノーボードが禁止だった乗鞍高原のゲレンデに何度も足を運んだ。

しかし、振り返るとその全ては「過去形」。泣きそうになるほど渋滞した安房峠は安房トンネルに代わり、乗鞍スカイラインは通年マイカー通行禁止、そして休暇村のゲレンデは、スノーボーダーの楽園になっている(笑)。

それを考えれば、当時乗鞍観光センターの駐車場で、こんな光景がごく普通に見られていたとしても、さほど不思議じゃない。

例えるなら、サラリーマンはくわえタバコで堂々と街を歩き、もちろんレストランでも禁煙ができた時代だ。

乗鞍観光センターの車中泊事情を理解するには、そんな過去から現在に至る「車中泊を取り巻く時代の変遷」にも目を向ける必要がある。

乗鞍観光センターが抱えた「悩み」は、この注意書きに見事に集約されている。そう、一番の問題は地元の宿泊施設に迷惑がかかり始めたということだ。

このあたりも喫煙と似ているのだが、実は同じことがほぼ同じ時期に、群馬県の草津温泉でも生じている。

ただ乗鞍高原の場合は、問題の解決策が対象向けに整理されているとは思えない。筆者なら、まずはこう書くと思う。

❶全ての皆様へ
乗鞍高原にはクマがいますので、ゴミはお持ち帰りください。クマが出ると閉鎖になるか、罪のないクマを処分しなければなりません。

❷キャンピングカーでお越しの皆様へ
盗電と、車両タンクへの水道水の給水は「犯罪行為」ですので、発見次第、警察に通報いたします。

❸車中泊をされる皆様へ
近隣の住民と宿泊施設に迷惑となる以下の行為を禁じます。お客様で禁止行為を発見された方は☎○○○○○までご一報ください。ただちに注意に伺います。

花火、調理・炊事、夜8時以降に車外で騒ぐこと、テント・タープ・シェルターの使用、発電機の使用

本来は、これでカタがつくはずだ。問題は通報や警察沙汰になった場合、誰が立ち会うのかだろうが、それは「施設の管理責任」の範疇で、禁止しておきながらそれを守らない人間を放置するから、マナー違反が後を絶たない。単純な話、監視カメラと、1年間のアルソックとの警備契約に必要な予算を、松本市に要請すればいいだけでは。

スピード違反、飲酒運転と同じで、悪質な車中泊旅行者を毎日取り締まる必要はなく、「ネズミ取り」でいい。というか、夜間見回りするだけでも十分だ。要は「乗鞍高原では捕まる」という噂をユーザー側に立ててもらうことが大事で、それが広まれば、常識外れな車中泊客は来なくなる。彼らはそういうことに異常なほど敏感なのだ(笑)。

だが、それを実践している車中泊スポットを、筆者は未だ見たことがない(笑)。逆にあろうことか、「全面車中泊禁止」という荒っぽい手段に出るところがある。

事実、乗鞍高原も一時はそうなりかけていた。

この看板を見て、「車中泊も禁止」と解釈するユーザーは多い。

「オートキャンプ」も「車中泊」も定義が曖昧だから仕方がないが、厄介なことに、それがブログやSNSを通して、多くの人に誤解を与えている。

中には親切な読者がいて、その話をわざわざカーネル編集部に連絡してくれるため、我々の知るところとなるのだが(笑)、これまでの経験上、大半は勘違いだったと云っていい。

ちなみに管理人やスタッフに確認しても、相手の「車中泊認識レベル」で答えは変わり、それが正しいとは限らない。どうせ聞くなら、ルールを作った「最高責任者」にすべきだ。

2018年現在、乗鞍観光センターの駐車場では、この看板が使われている。

以前よりもずいぶん分かりやすくなったと同時に、「これを守れば、車中泊をしてもかまわない」ということにもなる。しかもよく読むと、道の駅で普通に車中泊ができる人は、何一つ困らないはずだ(笑)。

だが… 実はここにはもうひとつの「トリック」がある。

ということは、禁止も何も、「P-1」にあたる乗鞍観光センター前の駐車場での車中泊は、「実質的に不可能」ということだ!(笑)。

つまり車中泊については、禁止事項に従い、「P-1-1」もしくは「P-2」でならOKということ。それが現在の正しいルールである。

それにしても… 上の表記とマップは連動しておらず、「湯けむり館」が移転して5年が過ぎているにもかかわらず、地図の修正は行われていない。こういうところがルーズというか、意識が低すぎる。

現地では「P-1」と呼ばれる、乗鞍観光センター駐車場。エコーラインが開放される夏は、御来光バスが未明から運行するため、続々と登山客・観光客がやってくる。その人達のために、駐車スペースを空けておきたいというのはよくわかるし、理にも適っているだろう。

車中泊OKのP-2は、乗鞍スーパー林道の入口手前にあり、カフェ&レストラン「アルム」の向かいになる。敷地にトイレはないが、P-1のトイレまで歩いて行けるので心配は無用だ。芝生の公園と隣接しており、むしろこちらのほうが居心地はいい。

未舗装でフリーのキャンプサイトのようなP-1-1。筆者は一度ここに誘導されたことがあるが、地面が土なので涼しく居心地も悪くない。

ただ、利用時間の看板に「P-1-1」と記載しているが、地図には載っていないうえに、スタッフに聞いても「P-1-1」がどこだかわからない。

ど~よ!ほんま。これほど取材者泣かせな施設も珍しい(笑)。

なお、筆者の経験上、よほどのハイシーズン以外は「P-1」を表示通り「夜間閉鎖」にしてはいない。逆に「P-1-1」は普段利用できなくなっている。

そのあたりは「臨機応変に」ということだろう。杓子定規に突っ込まれたら、施設側もやらざるを得なくなり、WinWinの関係が崩れる(笑)。

云えるのは「何が何でも、車中泊客を締め出そう」というスタンスではないということ。掲示板に書かれたルールをちゃんと守りさえすれば、現状維持を保てる。

ついでなので、隣接する日帰り温泉施設「湯けむり館」についても記しておこう。

1990年に開業し、以来乗鞍高原を訪れるハイカーや、スキーヤーの疲れを癒し続けてきた名湯。硫黄臭を伴う白濁のお湯を持ち、車中泊ができる乗鞍観光センターと、白骨温泉に通じる乗鞍スーパー林道のゲートに隣接する好立地にあることから、筆者も開業間もない頃から幾度もここを利用してきた。

しかし設備が老朽化したため、2013年4月に道の向かい側に移転し、リニュアルオープン。上の写真は旧館だが、圧倒的に広い露天風呂とお洒落な薪ストーブが印象的だった。

こちらが現在の「湯けむり館」。外観はガラス張りのモダンなデザインで、外には「足湯」もある。また併設するレストランPRIMAVERAは、パスタとピザに力を入れているようだ。

ただ残念なことに… 以前に比べて新館のお風呂は、内湯が約3分の2、露天風呂に至っては3分の1ほどの大きさになり、どちらも石のタイル貼りの湯船になった。確かにキレイにはなったが、そのぶん風情が失われてしまった感は否めない。かつての檜の内湯と、広い浴槽に乳白色の湯がなみなみと満ちた休館を惜しむ声も多いだろう。

またこの規模では、ハイシーズンにはかなりの待ち時間が出ると予想される。

ちなみに「湯けむり館」から少し道を下ったところに「せせらぎの湯」という無料の湯小屋もあるが、定員は3名がギリギリ。ここは早朝に行かないと寛げない。

乗鞍高原 湯けむり館
〒390-1513 長野県松本市安曇鈴蘭4306-6
0263-93-2589

料金:大人720円(中学生以上)
営業時間:9:30~21:00 受付終了は20:00・毎月第3火曜日または第4火曜日定休

実は乗鞍高原温泉郷には、公共施設の湯けむり館より安い料金で外来利用ができる温泉宿がたくさんある。

休暇村もそのひとつだが、筆者が勧めるのは、のりくら温泉とわさび沢温泉の2つのお湯が520円で楽しめる、写真の山水館信濃だ。

最後に。スキーと登山、そして温泉の宿泊客で栄えてきた乗鞍高原には、「食料調達がしずらい」という難点がある。近くにはスーパーマーケットどころかコンビニもない。

ちなみに比較的大きなスーパーは、松本方面に向かって30キロ近く走った、松本電鉄・上高地線の「波田」駅手前の「デリシア」。国道158号沿いの波田町役場交差点を右折し、踏切を超えたスグのところにある。

ここは真新しいコインランドリーも併設しているので、長旅の人にはありがたい。乗鞍高原や上高地を訪れるのは、週末や3連休の旅人だけではないのだから。

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