車中泊の「未来予想図」


車中泊には様々な「切り口」があり、それを「平面的」に捉えようとしても、なかなか「本質」は見えてこない。

たとえば「ライフステージ」という「切り口」から見ると、現役サラリーマンは、週末やゴールデンウィークなどの連休を利用して出かける「短期間の車中泊」、既に定年を迎えたシニア世代は「長期間の車中泊」を楽しんでいる。

長生の湯2

また「アクティビティー(旅先での遊び)」という「切り口」から見ると、まず「レジャー(行楽)」と「ホビー(趣味)」に分かれ、さらに「ホビー」は「温泉めぐり」や「食べ歩き」、あるいは「登山」や「釣り」のようなマニアックな世界に細分化される。

これらは時代が変わっても、その「フレーム」自体が大きく変わることはないだろう。

マナー違反

筆者が「変わる」と思うのは車中泊のやり方、わかりやすく云えば「他人の目に映る姿」だ。それは戦後目覚ましいスピードで発展を遂げ、生活環境や生活用品そのものが様変わりしてきた、「日本の歩み」と深い関わりを持っている。

なお、ここからの記述はその世代の「全ての人」に該当するわけではなく、あくまでの「公約数的な特徴」として読み流していただきたい。

パソコン

日本の世代間格差は「情報ツール」を見れば明白だ。70歳以上は「新聞・テレビ」、50歳代はキーボードで操作するパソコン、そして20歳代になると、もはや親指だけを巧みに操り、映像まで簡単に送受信できる「スマートフォン」を使うのが当たり前になっている。

かにまつり

マスコミはそういった世代をネーミングするのがうまい。
戦後のベビーブームに生を受け、2007年に定年退職のピークを迎えた人々のことを「団塊の世代」と名付けたのは作家の堺屋太一だが、その「団塊の世代」がこれまでの車中泊市場を牽引してきたのは紛れもない事実だ。今となっては「幻」ともいえる潤沢な退職金と年金をバックに、10年間近く車中泊の市場に大きな影響を及ぼし続けてきた。

しかしアクティブシニアといえども、「寄る年波」には勝てない。筆者の周りでも、目に見えて「車中泊」を卒業していく人が増えてきた。

では、次の担い手はどの世代なのだろう。

 

太陽の塔

マスコミは「新人類」と呼ばれる1960年代生まれにスポットを当てたいのかもしれないが、筆者はその前の1950年代生まれの人々に注目している。

なぜなら、この年代は「高度経済成長期」の象徴とされる東海道新幹線の開通、東京オリンピック、そして大阪万博を思春期にライブで見て育った「時代の申し子」であるからだ。

三丁目の夕日

ゆえに1959年生まれの筆者は、自分たちを「三丁目の夕日世代」と呼んでいるのだが、実はこの年代層には、車中泊に関わる大きな経験を有した人がたくさんいる。

 

どんぐり

1990年代の日本は、経済面で見れば「バブル崩壊の時期」に位置づけされるが、その反動を受け、庶民の憩いの場は海外や離島のリゾートから、「安・近・短」と呼ばれるところに移行していった。

スノーピーク

そこで人気を博したのは、誰もが自然と触れあうことのできる「ゆるいフィールド」だった。その結果、キャンプは「アウトドアからレジャーへ」と革命的な進化を遂げ、最盛期には年間1500万人がオートキャンプに勤しむという、驚愕のブームが訪れる。

「三丁目の夕日世代」は、働き盛りの30代にその両方を体験してきた、ある意味「特異な経験」を持つ人々なのだ。

 

キャンプ

 話は少し逸れるが、今キャンプ業界はにわかに活気づいている。その原動力となっているのは30代前後の若者たち、すなわち三丁目の夕日世代の「ジュニア」である。つまり子供の頃に空前のアウトドアブームを体験している「オートキャンプ・キャリア」が、再びフィールドに戻ろうとしている。

サイト

彼らの特徴は、既存・既成のキャンプスタイル、キャンプシーンにとらわれず、自由奔放にキャンプを楽しんでいる点にある。それは若き日の我々が、三角テントを捨ててドームテントに活路を求めたのとよく似ている。

いずれにしても「三丁目の夕日世代」は、高規格オートキャンプ場の利用方法から、ツーバーナーの使い方まで、オートキャンプをよく心得ている。つまり「団塊の世代」とは、キャンプに対する抵抗感が全くといっていいほど違うのだ。

その親子2世代が、いよいよ車中泊の扉を開く時が来た。
誰の目にも、
潮の流れが変わるのは「必定」だ。

 

道の駅

そもそも、道の駅やサービスエリアでの車中泊には「利便性」以外の魅力はない。食事や買物を楽しみたいのなら、昼間のほうがずっといい…

また我々は、移動の途中で日が暮れるような時には道の駅やサービスエリアで車中泊をするが、わざわざそこを転々と渡り歩くようなことはしない。

ゆえにそこでの車中泊は、長距離トラックの運転手と同様、「外食もしくは弁当かパンなどの調理済み食品を食べて、クルマで寝る」。ただ、それだけでかまわない。

道の駅の禁止行為

だが団塊の世代は、その道の駅に多くのことを求めた。いわゆるマナー違反と呼ばれる行為の根源は、道の駅とオートキャンプ場の使い分けができない、すなわちキャンプ場の利用経験がないまま時流に乗り、「擬似車中泊」を覚えてしまったことに起因している。

 

保温弁当

さて。筆者は「外食もしくは弁当かパンなどの調理済み食品を食べて、クルマで寝る」ことを「リアル・車中泊」と呼んでいる。リアル(real)とは、「本物」「本当」「真実」「現実・本物に近い」などの意味 を持つ言葉で、同じ車中泊でも「レジャー的要素まで包含した広義の解釈」とは一線を画する、「クルマ旅の宿泊手段」と位置づけているのだ。

リアルオートキャンプ

また同時にオートキャンプにおいても、、「リアル・オートキャンプ」という言葉を用いて新しい定義を立てている

「リアル・オートキャンプ」は、キャンプはするがテントではなくクルマで寝る、つまりクルマをフル活用する本来のオートキャンプのことである。日本流の、「クルマをサイトに横付けして、テントで寝るオートキャンプ」との混同を避けるため、あえてそう呼ぶことにした。

一部では「車中泊キャンプ」と呼ばれているようだが、いずれにしても労力を要する設営・撤収の作業からは開放され、キャンプの醍醐味だけを味わいたいというのが本音だろう。

 

トランポ

最後にスマート車中泊について説明しよう。
英語のsmartは、「頭のよい、賢明な、気のきいた」という意味を持っているが、そこから派生して「こざっぱりしている、シャレている、洗練されている」という意味でも使われている。

「団塊の世代」には、車中泊に「合理性」を求める人が多かった。背景にはキャンピングカー・ビルダーが期待するクルマを作ってくれなかったこともあったと思うが、実際に使い勝手の良いクルマにセルフ改造する人が評価され、またそういう本がよく売れた。つまりキーワードは「便利」である。

車上生活

しかし反面… 外から見ていて「あまり気持ちの良いものではない姿」も少なくはなかった(笑)

その「鮮烈な不快感」を伴う車中泊のイメージを、自分たちの世代にまで持ち越したくないと思うのは、たぶん筆者だけではあるまい。

思えば、20年前にも似たようなことがあった。
かつてのキャンプには、河川敷でブルーシートをバタつかせたおっちゃんが、演歌を昼間からラジカセで流し、七輪でパタパタと焼き鳥を焼く… そんなイメージがリンクしていた。

しかし、彼らは「絶滅」してしまった。

 

ウィズ

「三丁目の夕日世代」は、「団塊の世代」に比べると、自己主張に違う価値観を抱いている。そのキーワードは「粋」。つまり、同じものに改良を施して自分仕様に創り変えるのではなく、同じものを自分仕様に使いこなすことに意義を感じる。

ポパイ・ホットドックプレス、女性ならノンノにアンアン… 

それは日本にファッション雑誌が定着した時代に「青春」を迎えた、いかにも我々らしい感性なのかもしれないが、どうやら「それが役に立つ時」がきたようだ(笑)。

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