なぜ人は「北の大地」にリピートするのか…

カラフトマスエッセイ
「正真正銘のプロ」がお届けする車中泊旅行ガイド
この記事には、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、旅先で思い浮かんだ出来事を本音のままに綴っています。
クルマ旅専門家・稲垣朝則の主な著書
車中泊の第一人者と呼ばれる稲垣朝則が、これまで執筆してきた書籍・雑誌と出演したTV番組等の紹介です。
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簡単にはいかないことが多いから、面白い。

ミルクロード

今年(2019年)で還暦を迎えた筆者は、これまで20度以上北海道を旅し、道内での通算車中泊数も365泊を超えた。

もちろん、シルバー世代にはそれ以上のキャリアを誇る御仁もおられるが、筆者を含む多くの旅人が、何度も北の大地を訪ねたくなるのは何故だろう。

朱鞠内湖

未体験の人は、その理由が「過ごしやすさ」と「日本離れした自然環境」にあると思うかもしれない。

もちろんそれもある。しかし本当の理由は、前回の旅で納得がいかなかった何がしかの「リベンジを果たしたい」という想いが、強くどこかに働いている。

北海道まで出かけようと考える人々には、それなりに経験があり、愛車による車中泊やオートキャンプのスタイルも確立されていると思う。

だが最初の旅では、それが現地の環境に通じなかったり、移動による時間不足や疲労などから、思うように機能させられなかったりするのだ。

ボンゴフレンディー

筆者も2000年に初めて北海道を旅した時は、道東で連日連夜の雨に遭い、最後はボンゴフレンディーのオートフリートップにカビが生えた。そのため予定を変更して、天気の良い富良野まで移動し、天日干しを強いられている。

車中泊

車中泊といえども、北海道への旅はけして安い遊びではない。

ゆえに誰もがある程度は準備を整えて行くのだが、当時の日本には「るるぶ」と「マップル」に代表される「観光地情報」と「道の駅ガイド」や「キャンプ場ガイド」などの「宿泊地情報」しかなかった。

そのため「北海道版の車中泊とクルマ旅」そのものに関するハウツーが圧倒的に不足しており、失敗の多くはそこに起因していたわけだ。

北海道車中泊コースガイド

その失敗から学んだ処方箋を盛り込むかたちで2013年に執筆し、書籍化されたのが写真の「北海道車中泊コースガイド」で、そんな世情を反映してか、わずか1年余りで完売。2017年にはその最新版が発売されたが、こちらも既に完売している。それはそれで嬉しいのだが、書籍は筆者の意志では増刷できない。

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さて。北海道での車中泊によるクルマ旅は、登山に通じるものがある。

槍ヶ岳

山は一歩間違えれば命に関わるため、舐めてかかる人はいない。コースルート・コースタイム・コースの難所と安全対策、さらには気象の特殊性などを事前に知らなければ槍ヶ岳のような険しい山の登頂は難しい。

しかし、北海道をクルマで旅するのに、そこまで特別な準備をしていく必要があるのか?

ちょっと大袈裟ではないのか?

礼文島

もしそう思うのなら、最初からこのような景色を見ようとは望まないことだ。まして我々は、若者とは違う(笑)。

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