この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
クルマの中から見ているかぎりは、大丈夫。
北海道全域に棲むヒグマの数は約2,000頭といわれ、知床半島と東大雪周辺に多く生息しているが、森林だけでなく原野も好む。
平均的なオスの全長はおよそ2~3メートル、体重は200キロ~500キロで、メスはひとまわり小さい。
基本的には臆病な性質で、決して好戦的ではない。
ただし、一度手に入れた獲物に対する執着心は強く、それを守ろうとして稀に人を襲うことがあるという。
そんなヒグマとうまく付き合うために、その生態と習性を覚えておこう。
雑食で主食は植物
主に春は山菜、秋は木の実を食べるが、夏場は昆虫を食べる割合が高くなる。積極的に生きている哺乳類・鳥類を狙うことは少ない。
子育ては2年
初夏に発情期を迎えるオス熊は、子連れのメス熊に出会うと、子グマを殺し自分の子孫を残そうとする。
そのため子育て中のメス熊は、この時期はオスを避けて市街地の近くに姿を現す機会が多くなる。また子グマに対する防衛本能は極めて高く、子グマを見た時は、速やかにそこを離れたほうが安全だ。
逃げるものを追いかける
ヒグマに出会わないようにするには、鈴や笛を身につけて歩く昔ながらの方法が今でも有効らしい。
ただし、ラジオはこちらにもヒグマの気配がわからなくなるため、かえって良くないそうだ。また最近は、人の食糧を狙って、ラジオを頼りに逆に近づいてくる個体もあるという。
万一出会った時は様子を観察し、立ち上がった時は「威嚇」のサインと判断し、速やかにそこを離れよう。
一番確実なのは、ヒグマが出そうなところにはクルマで行くこと。大雪山のように歩くしかないところへは、現地のレクチャーを受けて行くほうがいい。
ちなみに筆者はこれまで野生のヒグマに10度近く出会っており、このページのヒグマの写真はすべて自分で撮影しているが、おかげで幸いにもそこまで怖い経験はしていない。
まあヒグマにも、危険を及ぼしそうな人は分かると思う(笑)。
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