この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
北海道航路で、もっともゴージャスな船旅が味わえる太平洋フェリー
乗船記録
2017.10.09 名古屋港→仙台
2021.04.22 苫小牧→名古屋
2021.07.15 苫小牧→名古屋
2022.07.19 名古屋→苫小牧
2022.08.10 苫小牧→名古屋
太平洋フェリー【目次】
太平洋フェリーはシニアに人気
太平洋フェリーは名古屋~苫小牧間を約40時間で結んでいるため、船内で2泊が必要だ。
そのため、現役世代のように北海道での滞在時間が限られる旅行者には、どうしても敬遠されやすい。
同じ苫小牧に着岸する新日本海フェリーの敦賀便は、約20時間の航行で夜の20時30分に到着する。
ライダーや現役世代は、それから目的地に向けて出発するが、夜間の走行が億劫になる中高年の場合は、着いてもすぐ近くで車中泊がしたくなる(笑)。
太平洋フェリーが苫小牧に到着するのは午前11時。
時間差の大半は深夜に当たるので、活動できる実質的な時間の差はせいぜい5時間ほどしかない。
それなら、空調が効いた快適な船内で泊まる方が快適という考え方もできる。
しかも太平洋フェリーは、他社の船に比べると明らかに船内はゴージャスで、ちょっとリッチな船旅気分が味わえる。
加えて、太平洋フェリーは名古屋港を19時に離岸するが、17時30分には乗船が始まるので、船内でゆっくりと晩酌や食事が楽しめる。
そのことも、既に定年退職していて、自由に時間を選べるシニアには都合がいい。
というように、深夜に出港する新日本海フェリーに比べると、乗船に関するストレスには雲泥の差がある。
「早割」を利用すれば50%オフ
なお「太平洋フェリー」には、「早割」で50%オフになる利点もある。
予約は激戦で簡単には取れないようだが、このことも「太平洋フェリー」がシニアに人気があるひとつの理由といえるだろう。
太平洋フェリーは、仙台で一時下船が可能
名古屋から来ると、乗船日翌日の午後16時40分頃に仙台港に到着し、2時間ほど下船(人のみでクルマは不可)をすることができる。
旅慣れた人たちが目指しているのは、1キロほど離れたところにある「イオン」。
ここで夕食と翌日の朝食を買うわけだ。
またイオンの向かいには、仙台名物の牛タンの人気専門店「善次郎」がある。
ちょうど17時から夜の部の営業が始まるので、ほぼ開店と同時に入店できる。
ただしこの話は有名なので、のんびりしていると同じフェリーに乗っている客が先着して、行列ができてしまうこともあるのでご注意を。
筆者がオーダーしたのは「牛タン定食(3枚・6切れ)」1900円。
牛タンは塩加減がほどよく、なかなかの美味だったが、この店は付き合わせの白菜とテールスープも上出来だった。
ただここでの夕食を想定するなら、昼食を早めに済ませるか、軽く食べる程度にとどめておく必要があるだろう。
それが難しければ、テイクアウト用の弁当も販売している。後述しているが、船内には電子レンジが置かれており、乗客は誰でも無料で自由に使える。
ちなみに苫小牧からだと10時頃に仙台に入港するので、午前11時の開店時間に行くことも可能だ。
なお下船には事前申請が必要なので、早めに手続きを済ませておこう。
太平洋フェリーの船内
写真は「いしかり」の1等洋室インサイド。窓がない分料金は安いが、クオリティーは十分だ。
冷蔵庫とトイレに加え、他社にはないシャワーも用意されている。
ただし、インターネットの電波はほとんど届かない。
個室でネットの電波状況がいいのはアウトサイドだが、こちらはひとりでは予約できない。
ただインサイドしか空きがなくても、5階のパブリックスペースに行けばネットはよく繋がる。
スタンドコーナー前のカウンター席にはコンセントも用意されており、飲食をしない人でも営業時間を外せば無料で使える。
太平洋岸を航行するので、ネット環境は心配していたよりはマシだった。しかし千葉を過ぎると福島までの間はつながらない時間が増える。
船内には有料のWi-fiが飛んでいるが、筆者は容量無制限のギガホなので不要。この料金って、今はどうみても高いのでは?
大浴場。
さすがに露天風呂はないが、浴槽は2つあって、ひとつはジャグジーになっている。
筆者が一番驚いたのはシアタールーム。これまで乗ったどの船よりも豪華だった。
レストラン。バイキングのようだが利用したことない。
筆者の晩飯はいつもこんな感じで、車中泊時とほとんど変わらない。
なお浴場の隣には給湯室があり、そこに電子レンジも置いてあるので、それを利用してもかまわない。
売店はフェリーにしては大きく、土産品も名古屋・仙台・北海道と、ひととおり揃っていた。
着替えや歯ブラシなど、宿泊時の必要品も揃えてある。
北海道行きカーフェリーの利用満足度を一挙公開!