この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
「旭岳・姿見散策コース」は、秋がベストの美しいハイキングコース
旭岳・姿見散策コースの概要と駐車場事情【目次】
旭岳・姿見散策コースの概要
標高2291メートルを誇る旭岳は、北海道の最高峰であるとともに、2000メートル級の山々が約50キロにもわたって連なる大雪山国立公園の主峰だ。
写真の木道が標高約1600メートル地点に整備された「姿見散策コース」の出発地点で、1周約1.7キロ、大人なら1時間ほどで周回できる手軽さから、高い人気を呼んでいる。
ほとんど息を切らすこともなく、夏はチングルマなどの高山植物、そして9月には早くも紅葉が楽しめる。
駐車場がある山麓駅から、目的地の姿見駅までのロープウェイの所要時間は片道約10分。観光シーズンの6月から9月末の始発時間は午前6時30分で、最終は午後5時30分となっている。
2021年現在のハイシーズン料金(6/1~10/20)は、大人ひとりの往復チケットが3200円、小学生以下は1600円だ。
大雪山の名付け親である大町桂月は、「富士山に登って山岳の高さを語れ、大雪山に登って山岳の大きさを語れ」と綴ったが、ロープウェイの窓からは、その意味を目の当たりにすることができる。
特に紅葉シーズンは圧巻だ。
ここからは順を追って、散策のための留意点を説明していこう。
駐車場にご用心!
ここでは駐車場について覚えておくことがある。
山麓駅の近くには、なぜか有料駐車場と無料駐車場(普通車専用)がある。
ロープウェイ「旭岳山麓駅」前の駐車場は1日500円だが、山麓駅すぐ手前右側にある写真の「公営駐車場」は無料、また400メートルほど戻った場所にも下の写真の無料駐車場がある。
ただし紅葉シーズンは例外で、すべての駐車場が有料になる。この時ばかりは素直に係員の誘導に従わないと、後続車に貴重な場所を譲ることになる(笑)。
ロープウェイに乗る前に、現地の天候を確認しておこう。
山は天気予報が当てにならず、行ってみないとわからない。駐車場が晴れていても、現地はガスで何も見えないことが多々ある。
そのリスクを軽減してくれるのが、「旭岳山麓駅」にある気象情報ボードだ。
期待が持てない時はロープウェイの乗車をいったん見送り、無料のビジターセンターを見学しながら天候の回復を待とう。
夫婦なら往復6400円。できればスッキリと山頂を拝みたい。
夏は「ぬかるみ」を歩けるシューズが重宝する。
夏山登山の経験がある人はご存知だと思うが、高山植物の咲く時期はまだ日陰に雪が残っており、散策路にぬかるみや水たまりがあることは珍しくない。
そのため、ここへは防水加工の施されたトレッキングシューズか登山靴で行くのが望ましい。
これが「お山の正装」。
慣れた人達は、ガスが出ると髪の毛や服が濡れるので、それに対応できる帽子とナイロンジャケット、そして足元が泥跳ねで汚れるのをカバーしてくれるスパッツを着用している。
双眼鏡があれば、世界が変わる。
さらにここへはお弁当と双眼鏡、そして植物図鑑を持って行くことをお勧めしたい。
夏の旭岳山麓はギンザンマシコという赤い野鳥が繁殖にやってくる。
知床峠とここでしか見られない希少な鳥で、第三展望台で大砲のようなレンズを構えている人達は、この美しい小鳥がお目当てだ。
また数人が同じところを見ているような場合は、付近にシマリスがいるか、何か珍しい花が咲いていることが多い。
いずれも普通のカメラでは撮影できないと思うが、双眼鏡があれば観察はできる。
最後に。ガスは少し待てば晴れることもある。この「姿見の池」本来の姿を撮るのに、筆者は1時間ほどチャンスを待った。
詳しいコースガイドはオフィシャルサイトに記載されているので、そちらをご参考に。正直なところ1.7キロの散策コースなので、ガイドが必要というほどではない。
旭岳ロープウェイ山麓駅 ☎0166-68-9111