この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
「銀泉台」も、紅葉シーズンはマイカー規制
かつて… 我々の祖先が見ていた紅葉というのは、こんな景観だったのだろう。
箱庭のような日本庭園の中で入念に手入れされ、昼も夜も朱に輝く「もみじ」に慣れ親しんでいる現代人が、自然の山が織り成すダイナミックな錦秋絵巻きに憧れるのは、カラダのどこかにそんなDNAが残されているからに違いない。
さて。銀泉台は大雪山系の北東部にある赤岳への登山口にある。その名の謂れは、層雲峡へ流れ落ちる「銀河の滝」の源流から来ているそうだ。
ただ、写真でもわかるように銀泉台への道はダートで狭い。ゆえに平素は大雪山を縦走する登山愛好家や、天体観測、ネイチャーフォトなどを趣味にする人達しかやってこない。
だが、9月を迎えると様相は激変する。
銀泉台はクルマで行くことができる北海道の最高地点で、誰もが簡単に日本で一番早い紅葉を見られるからだ。
そのため現在は、紅葉シーズンになるとマイカー規制が実施されている。
具体的には、クルマを層雲峡温泉もしくは、大雪レイクサイトの臨時駐車場に置き、そこからシャトルバスに乗って現地を往復しなければならない。
層雲峡温泉から大雪レイクサイトまでは約10キロ、クルマで約20分ほど。
シャトルバスの料金は、①層雲峡⇒大雪レイクサイト間、②大雪レイクサイト⇒銀泉台間、のいずれも片道で大人ひとり500円(2017年現在)。また臨時駐車場では駐車場維持管理協力金として別途200円/台が必要だ。
なお、大雪レイクサイトでは銀泉台行きと、高原温泉行きの2つのバスが発着するので、行き先を確かめてから乗車する必要がある。
規制期間は年によって微妙に変わるが、9月10日前後~20日前後になることが多い。行かれる際は、下記のサイトで事前に確認しておこう。
【問合せ先 】
●層雲峡観光協会 01658-2-1811
●層雲峡観光案内所 01658-5-3350
●上川町産業経済課(高原温泉・銀泉台交通規制問合せ)
☎01658-2-1211
ここからは銀泉台に到着後の話になるが、最初に注意しておきたいのがトイレだ。
銀泉台には管理事務所の横にトイレがあるが、ペーパーは置いていない。
ゆえにあらかじめ持参しよう。たまたまその時切れていただけかもしれないが、その可能性があるということでご理解いただきたい。
銀泉台でもっとも有名な紅葉の撮影スポットはここ。
バスを降りてから30分ほど緩やかな山道を歩けば到着する。この時筆者は77歳になる母を同伴したが、彼女でもここまでは歩くことができた。
とはいえ、実際はこの写真のような足場で、順番に前に出ないと一度にそう多くの人が安全に眺められる場所ではない。
紅葉がお目当てであれば、ここで引き返してもいいだろう。これから先は、紅葉の谷を見下ろす景色が続く。
本来の銀泉台は赤岳の登山口で、紅葉時期に来る人の中には、山頂から緑岳を経て、高原温泉から大雪レイクサイトに戻る人もいる。
しかし山は「自分がここまで」と思ったところをゴールにしても構わない。
レースでも競技でもないのだから、安全に自分たちの力量を考えて行動するのが真の大人の山歩きだ。
Ps