北海道に20回以上の車中泊旅行を重ねてきた、車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、2023年7月現在の「道の駅 知床・らうす」の車中泊情報をご紹介。
この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「道の駅 知床・らうす」は、紆余曲折を経てようやく車中泊がしやすくなった道の駅
「道の駅 知床・らうす」 DATA
道の駅 知床・らうす
〒086-1833
北海道目梨郡羅臼町本町361-1
☎0153-87-5151
営業時間
4月~10月:9時~17時
11月~3月:10時~16時
深層館:毎週火曜日(11月~4月)
海鮮工房:毎週日曜日(11月~4月)
年末年始 休館
「道の駅 知床・らうす」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第15回
登録日/1999年8月27日
「道の駅 知床・らうす」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2008.07.09
2010.09.06
2012.10.26
2014.07.14
2018.07.12
2020.07.31
2021.07.09
2022.07.29
※「道の駅 知床・らうす」での現地調査は2022年7月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2023年6月に更新しています。
道の駅 知床・らうす【目次】
「道の駅 知床・らうす」のロケーション
羅臼町は世界遺産・知床半島の「本丸」とも呼べるエリアで、町の面積の90%以上を山林が占め、「猫の額」のような海沿いの平地に漁師たちが暮らしている。
ここは北半球最南端の流氷漂着地で、流氷が運んでくる豊富な栄養分によって、サケ・ホッケ・コンブ・ウニなどの多種多様な魚介類が水揚げされることから、別名「魚の城下町」と呼ばれてきた。
ゆえに誇れるものといえば、手つかずの自然と魚しかなく、本来は観光とは無縁の場所だった。
世界遺産登録以前に羅臼に来るような旅人は、羅臼がそういうところであることをよく心得ていたと思う。
そんな羅臼町が、世界自然遺産に登録されたのは1995年。
喜んだ人もあっただろうが、これまでほとんど都会人との交流がなかった町だけに、むしろ混乱のほうが大きかったのは容易に察しがつく。
そして4年後の1999年に、「道の駅 知床らうす」が開業した。
それは筆者が初めて知床の地を踏む1年前のことだったが、当時は「道の駅 うとろ・シリエトク」がまだできておらず、知床半島に車中泊でやってくる、アウトドアとは無縁の観光客の受け皿は、ここしかなかった。
筆者も当時に一度「道の駅 知床らうす」で車中泊をしたが、その日は夜にトイレットペーパーが切れてなくなり、やばい目に遭ったことを覚えている(笑)。
羅臼には熊の湯に隣接する国設の「羅臼温泉野営場」のほかにも、2000円で電源が使える「羅臼オートキャンプ場」がある。
できれば知床まで来て、道の駅のような堅苦しい場所で寝泊りするのはよそう。
微々たるお金で、旅のゆとりを捨ててしまわないようにしたいものだ。
なお、基本的に「道の駅 知床らうす」での車中泊は推奨しないが、唯一、翌日の朝9時から出港するオルカやホエールウォッチング便に乗船する場合は、漁港とネイチャークルーズの事務所に近いここが便利だ。
「道の駅 知床・らうす」の施設
さて。
「道の駅 知床らうす」の長年の悩みは、収容台数がわずか25台しかないため、観光シーズンは昼夜を問わず満車状態が続いていたことにある。
一時期「車中泊禁止」に踏み切ったのは、それに起因する部分もあったのだろう。
だが道の駅から締め出された、知床の実情に疎いおっちゃん・おばちゃんの車中泊旅行者が、もし人通りのない無料の駐車場でヒグマに襲われでもしたら、「知らんがな。そんなこと」では済まされない(笑)。
ゆえに現在は、「仮眠OK」の普通の道の駅に戻っている。
2021年7月 更新
一件落着かと思われた「道の駅 知床らうす」に、またもや異変が起きていた。
さてはまた誰か問題を起こしたのかと思ったが、そうではないらしい。
羅臼町のホームページからは、以下のようにインフォメーションされている。
駐車場の舗装化に伴い、令和3年4月1日より利用方法が変更となりました。
①道の駅施設前については歩行者専用のイベントスペースとなり、車両の進入、通行ができなくなります。
②海鮮工房横駐車場は、大型車駐車場・タクシー専用駐車場となり、一般車両の進入、駐車ができなくなります。
確かにここ数年は、海鮮工房横駐車場がこのような使われ方をしていたのは気になっていた。
③一般車専用駐車場は、釧路信用組合側の一般車両専用入り口から入場し、らうす深層館側の一般車両専用出口から退場をお願いいたします。
ここが現在の「道の駅 知床らうす」で、車中泊ができる唯一の場所になっている。
以前は未舗装だった一般車専用駐車場は、今はきちんと舗装されて水たまりの心配もなくなり、車中泊にもいい結果をもたらしている。
ただし25台しかキャパがないので、ハイシーズンは激戦必至になるだろう。
それにしても、大胆かつ画期的な作戦を思いついたものだが(笑)、目につくところでこれ以上みっともない姿を目にしたくない筆者は、今回の措置に賛同したい。
なお24時間トイレは駅舎の中にあり、もちろん中はウォシュレットに改修済みだ。
売店の品揃えと食事は、「道の駅 うとろ・シリエトク」より「道の駅 知床らうす」のほうがお勧め。
規模では「道の駅 うとろ・シリエトク」に劣るものの、「道の駅 知床らうす」にはご当地らしい土産物が数多く揃っており、知床に行くと筆者は必ず立ち寄る。
筆者のお気に入りは、知床食堂とトイレを挟んで反対側にある、こちらの羅臼漁協直営「海鮮工房」だ。
いちばんのお目当ては、この「羅臼昆布茶100」。
羅臼漁協のオリジナル商品で、「道の駅 うとろ・シリエトク」にも少し品揃えされているようだが、こちらよりも値段が高い。
中身は粉末ではなく、本物のカット昆布。これを2.3枚湯呑に入れてお湯を注ぐと、とても上品な昆布ダシが出る。
道の駅では無料で試飲できるので、覚えていたら是非お試しを。
また「海鮮工房」には鮮魚コーナーがあり、高級魚のキンキも生で売っている。
キンキはスーパーでも滅多にお目にかからない代物なので、キャンプ場で泊まるなら煮付けて食べるといい。
ちなみに地元では「湯煮」といって、味付け無しで煮て、ウスターソースをかけて食べるようだ。もったいない気がするが、食してみると美味で驚いた。
民宿の中にはそれを夕食に出してくれるところもある。
いっぽう、こちらは一般駐車場側に位置する「深層館」。
知床食堂はメニューが豊富で、朝8時から営業している。
筆者が食べたのは、海鮮あんかけ焼きそば1050円。ランチには手頃で美味かった。
「道の駅 知床・らうす」の車中泊好適度
「道の駅 知床・らうす」のゴミに対する対応
可燃ゴミ:なし 有料で回収
缶・ビン・ペットボトル:館外にあり、24時間利用できる。
「道の駅 知床らうす」では、観光客専用のゴミ袋を販売している。
ゴミ袋の販売と回収は、しれとこ食堂と同じ「深層館」にある、地元海鮮問屋の「丸大あべ商店」でしてもらえる。
ここは道の駅より開店時間が早く、夏は朝8時から営業しているので助かる。
カニの試食もできるので、馴れ馴れしい接客が気にならない人はどうぞ(笑)。
ただし同じ知床でも、「道の駅 うとろ・シリエトク」とは燃えるゴミの区分が違うので注意が必要。
羅臼ではプラスチック製容器はすべて「燃やせないゴミ」として扱われるが、ウトロ町では、スーパーマーケットで使われている食品のプラスチック容器は、基本的に「燃えるゴミ」になっている。
なお、空き缶・空きビン用のゴミ箱は用意されているので無料で捨てられる。
またこの袋を買えば、「羅臼温泉野営場」でも廃棄が可能。
早朝から知床横断道路にアニマルウォッチングに出かける際に使うといい。
ちなみに、車中泊の旅行中に発生するゴミは「家庭ゴミ」ではない。
しかるに「家庭ゴミの持込み禁止」は地域住民に向けた正しい勧告ではあるが、車中泊の旅行中に発生するゴミは該当しない。
こう説明すれば分かりやすいと思う。
近くのスーパーで買ってきた「弁当」は、道の駅についた時点では「ゴミ」ではなく「食品」だ。
それを道の駅に駐めたクルマの中で食べると、残った容器がゴミになる。
ということは、正確には「道の駅で発生したゴミ」であって、
道の駅のスタッフが、出勤前にコンビニで買ってきた弁当を昼食に食べた後、その容器を事務所のゴミ箱に捨てるのと同じ話で、誰が食べたかは関係ない。
すなわち、「事業ゴミ」として道の駅が処分するのが筋ということになる。
明日帰る車中泊の旅行者が、それを「持ち帰り」するのは自由だが、それは「マナー」と呼ぶものではなく、あくまでも「道の駅の負担を軽減してあげるための協力」であって、基本は堂々と捨てさせてもらってかまわない。
車中泊旅行中のゴミの処分については、以下にもっと詳しい記事を記載しているので、時間があればぜひ。上に記した話が「自分勝手」かどうかは、法律に照らし合わせれば一目瞭然だ(笑)。
「道の駅 知床・らうす」最寄りの温泉&買い物施設
コンビニ
セイコーマートまで約2キロ
スーパーマーケット
本格的な店は標津町まで行かないとない。
「道の駅 知床・らうす」アクセスマップ