この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
高速クルーザーでマッコウクジラに大接近!
国後島がはっきり見える知床半島の東の海域「根室海峡」の沖合では、暖流と寒流がぶつかり、沿岸部には流氷と森によって、豊かなプランクトンがもたらされている。
それが生態系を支え、世界遺産登録の決め手となった壮大な海と陸の食物連鎖を生んでいる。
根室海峡に勇壮なマッコウクジラが姿を現すのは、例年8月中旬から10月上旬。
遥か南の小笠原諸島周辺に定住しているオスの一部が、エサのイカを追って、根室海峡まで北上してくると考えられている。時にはあのダイオウイカを食うとも聞くからすごい(笑)。
いずれにしても、世界自然遺産から世界自然遺産へとハシゴしてくるのだから、我々人間からすれば贅沢極まりない話だ(笑)。
ちなみに、マッコウクジラは2000メートル級の深海まで潜れる史上最大級の肉食動物で、体長の3分の1にも達する特徴的な頭部を持つ。標準的なオスの体長はなんと約17メートル、まるで潜水艦のようだ。
通常は1000メートル近くまで潜って捕食し、30分から40分間隔で息継ぎをするため、海面に浮上する。
さて。羅臼のホエールウォッチングは、
①海面で高々と潮を噴き上げているマッコウクジラを全員で探す。
②発見したら全速力で、肉眼でも見える距離まで近づく。
③鯨が再びダイブするまで見届ける。
これを時間が許す限り繰り返す。
単純だが、運が良ければ一度のクルージングでこういうシーンを何度か見ることができる。
出港は1日2~3便で、航海時間は約2時間。なお、羅臼にはクルージング業者が数軒あり、以前は料金に格差があったが、現在はどこも8800円で統一されているようだ。
筆者が利用しているネイチャークルーズは、クジラだけでなく根室半島沖で見られる海洋動物の観察ツアーを実施し、その詳細なデーターを公開している。マスコミなどのプロユースも多く、その実力はホームページを見れば明白だ。
最後に。
知床でうまくマッコウクジラと出会うには、直前の観察状況や当日のお天気などを鑑みて、できるだけ確率の高い日を選ぶのが秘訣になる。
それには「当日予約」がベストだ。
団体ツアーの場合は、運を天に任すしかないのだが、個人旅行ではそれが可能。また宿では滞在日数が増えれば出費がかさむが、車中泊の場合はそのコストも最小限に抑えられる。
ただし最近は予約がいっぱいの日も多く、事前に空きのある日を確認しておくほうがいい。
知床ネイチャークルーズ
北海道目梨郡羅臼町本町27-1(「道の駅知床・らうす」裏通り)
電話:0153-87-4001(電話受付時間:7時~20時)