この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
小樽は、昼と夜の見どころが極端に変わる町
車中泊で小樽を満喫するための「秘訣と裏技」【目次】
あらかじめ昼の部・夜の部に分けた観光計画を用意する
日中の小樽は、ガラス工芸品を筆頭に様々な土産物と飲食の店が並ぶ、賑やかな堺町本通りがメインストリートになる。
だが、黄昏から「おとなの時間」になると、そこからは人の姿が消え、ガス灯に火が入る運河通りに舞台が移る。
ゆえに観光には、昼の部・夜の部に分けたスケジュールを用意したい。
ただし、いずれにしても徒歩中心になるので足は疲れる。そのため適当に行動すれば、中高年には夜までスタミナが持たなくなる人も出るだろう。
まずは小樽市観光駐車場にクルマを停める
小樽市観光駐車場は終日600円で停められるうえに、車中泊が可能だ。つまり、くたびれたらクルマに戻って昼寝ができる環境を有している(笑)。
店が開くまでは、中央通り付近を散策する
堺町本通りの店が開くのは概ね10時なので、早い時間に到着したら、中央通り周辺を散策しよう。
このあたりには、元々の幅の小樽運河や石造りのビル、さらには旧国鉄の廃線跡など、明治~昭和の中期に繁栄した「商都」小樽の面影が、今でも残されている。
日中はランチをかねて、堺町本通りをぶ~らぶら
小樽まで来たら、中高年も孫くらいの若者に混じって、一度はこの筋をぶらぶらしてみよう(笑)。
ただ北一硝子は閉店時間が早いので、ゆっくり店内を見るには、正午前後の時間帯に行くほうがいいと思う。
「オルゴール堂」まで一通り歩いたら、3時をめどに一度クルマに引き上げるつもりでちょうどいい。
無理せず、心地よい疲労感で抑えておくのが大人。特に長旅では、そういうセルフコントロールが大切だ。
なお堺町本通りにある店の情報は、ネットを検索すれば「絶対立ち寄りたい人気のお店10選」みたいなサイトがたくさん見つかるので、そちらを参考に(笑)。
さて。車中泊の小樽観光には「泣きどころ」がある。
それは「お風呂」だ。以前は寿司屋通りの途中に「滝の湯」という銭湯があったが、2012年に廃業してしまい、現在はこの小樽温泉オスパ(☎0134-25-5959 /大人950円/ 24時間・無休)が最寄りになる。
とはいえ、オスパは観光駐車場から2キロほど離れており、徒歩で行くのはかなりきつい。それからすると、本来なら小樽に行くのは、汗の出ない初夏か初秋のほうがお勧めだ。
あるいは自転車があると重宝する。
さっぱりしたあと休憩室でゆっくり休んだら、クルマで小樽市観光駐車場に移動しよう。ノーマルなミニバンや軽自動車で車中泊をしている旅人には、この作戦のほうが疲れが癒えるかもしれない。
運河通りで夕涼みを終えたら、花銀へ。
ここも昼間の堺町本通りと同様、小樽に来たら一度は「この時間帯」に歩いておきたい鉄板スポットなのだろう。
ちなみに、写真のように空が青く写るのは日没後まもなくの時間帯だ。時間が経つほど写真の空は濃いグレイに変わる。
なおクルマ旅の場合は、中央橋から浅草橋に向かって歩き、そこから寿司屋通りを経て、花銀に向かうと効率的。
後は財布と相談して、身の丈に合う値段の店を探そう(笑)。
ちなみに地元のサラリーマンが利用する「花銀」には、夫婦でお寿司をつまんだ後、もう1軒居酒屋に寄っても、一万円ほどで納まる店もある。
裏技は、昼と夜を裏返すこと
旅慣れている人なら気づいているかもしれないが、真夏でも泣き所の「お風呂」を解消して、小樽を楽しむ方法がある。
単純に先に入浴を済ませ、観光駐車場が閉まる午後7時前に小樽に入ればいいのだ。正直云って「小樽温泉オスパ」は高い。
小樽の観光を夕食から始めて車中泊し、翌朝「北のウォール街」を見て堺町本通りでお土産を買い、午後から小樽を後にすれば、まったくストレスは感じない。
ただしこの方法は、新日本海フェリーで舞鶴から小樽に入港する日には使わないほうがいい。