夏の小清水原生花園は、花だけでなく馬にも注目!

北海道でよく耳にする「原生花園」とは、湿原や砂丘などに野草が鮮やかな花を咲かせるエリアの通称で、この小清水原生花園を筆頭に、ベニア原生花園、サロベツ原生花園、ワッカ原生花園などが有名だ。ただ「原生花園」の名がつかない野付半島や霧多布にも、同様の「広大なお花畑」は存在している。

その中でも、国道244号線沿いの網走と斜里の中間に位置し、オホーツク海と濤沸湖(とうふつこ)に挟まれた小清水原生花園は、まさに「別格」と呼ぶに相応しい。

筆者が生まれるより前の1957年(昭和32年)に網走国定公園の一部に指定され、現在は北海道遺産にも選定されている。それもあって、北海道の原生花園で一番の人気を誇ると聞くが、筆者も全く同感だ。

ただし、他のガイドとは少し「褒めどころ」が違う(笑)。

大半のガイドブックは、駐車場とインフォメーションセンターの裏手に広がる「砂丘エリア」の写真を掲げて、この原生花園を紹介している。

線路を超えると、原生花園の中に通された遊歩道が、丘の上まで続いている。

その先に見えるのは、オホーツク海と知床連山。さらに進むと、日本最北の「鳴き砂」のビーチが、東西およそ14キロにわたって広がっている。

確かにこの光景を見せられて、心が動かない人はいまい。

ちなみに小清水原生花園で見られる代表的な花は、オホーツク地方に初夏の到来を告げる暗紫色の「クロユリ」、オレンジ色で小清水町の町花に選ばれている「エゾスカシユリ」、また北海道では唯一ここにしか群生しないという黄色の「エゾキスゲ」、そしてピンク色をした北海道のシンボル花「ハマナス」などがあり、6月中旬から7月下旬に開花の最盛期を迎える。

さて。実は筆者が見せたい「もうひとつの光景」は、その帰りにある。

濤沸湖の馬の放牧

小清水原生花園と国道244号線を隔てた「濤沸湖」の湖畔では、夏の間だけ馬の放牧が行われている。

我々凡人は、そんなことをしたら馬が花を全部食べてしまうのでは… と心配をしたりするわけだが、馬は原生花園に咲く花の匂いが嫌いなようで、口にすることはないという。

北海道の馬といえば、静内や新冠でのんびりと余生を過ごす、サラブレッドの名馬たちをイメージするが、ここで暮らしているのは、道産子(どさんこ)の愛称で知られる北海道和種。体高約125センチ、体重は約350キロと、日本在来種の中でも大きい部類に入り、毛色は鹿毛、河原毛、月毛、佐目毛など様々だ。

今でも帯広で開催されている「ばんえい競馬」にその名残が見られる通り、かつては旅人を乗せたり物資の運搬などで活躍してきた。

しかし現在は、その温厚な性格から乗用馬として使われている。用途はホーストレッキングや流鏑馬、障がい者乗馬、ホースセラピーなど、昔よりも多岐にわたっているようだ。

なお、これらの写真は全て筆者が撮影したもの。通算渡道回数21回、宿泊滞在日数500日以上、ストックしている画像は、もはや枚数では把握できず北海道だけでも1テラに及ぶ。

北海道には、「それがゆえに描けるストーリー」というものがある。いくら感性や文章表現力に優れていても、とてつもなくデカイ北の大地を深く語るには、どうしてもキャリアは欠かせない。

加えて、旅人には在住者が気づかない「目線」がある。

いくらスカシユリが美しくても、お盆休みにしか北海道に来れない現役世代には関係のない話。観光旅行は「見れてナンボ」。花の命は短いが、馬の放牧は長い。

最後に。インフォメーションセンターには、地元の特産品や軽食を販売する売店や休憩所、「小清水原生花園」を紹介するパネルコーナー、さらに無料のレンタサイクル貸出所などがある。

筆者は昔、てっきりここが「道の駅はなやか(葉菜野花)小清水」だと思っていたが、それは勘違いだった。このネーミングは誤解を招くと思うのだが… 紛らわしい本物の道の駅は、さらに3キロほど斜里方面に進んだところに建っている(笑)。

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