富良野と美瑛の主役は、「絶景」を生み出す大農場

どこの観光地にも「旬」の季節はあると思うが、こと富良野においては、ラベンダーが満開を迎える7月中旬に、ぜひとも足を運んでみて欲しい。礼文島が「花の浮島」なら、富良野にはまさに「花の大地」と呼ぶに相応しい光景が展開される。また時を同じくして、お隣の美瑛には鮮明なパッチワークの丘が完成する。

知床では手付かずの自然に感動を覚えるが、富良野と美瑛では、逆に人が丹精込めて作り上げた素晴らしい景観に心を打たれる… 「開拓」の時代を乗り越え、ここでは農地が「畑」の次元を超えて、アートの領域に達しているかのようである。

「北の国から」が生まれた町。富良野

富良野はまた、国民的ドラマ「北の国から」の舞台でもある。

「北の国から」とは…

倉本聰の脚本により、1981年にフジテレビ系列で放送された24話の連続ドラマ。
富良野を舞台に、主人公の黒板五郎と2人の子どもの成長を、大自然の中で情緒豊かに描いている。

半年間の放送のために、1年以上の北海道ロケを敢行し、大作映画並みの時間と予算をかけて制作されたこのドラマは、その後、2002年9月までの約20年間にわたり、単発のスペシャル版が8本制作され、いずれも20~30%台の高視聴率を記録した。

パッチワークの丘の町。美瑛

美瑛の名所は、「パッチワークの路」と「パノラマロード」の大きく2つのエリアに分散している。

ややこしい話だが、「パッチワークの丘」と「パッチワークの路」は別物で、「パッチワークの丘」とは、美瑛一帯の上のような景色が見える場所の総称で、「パッチワークの畑」とか「美瑛の丘」とも呼ばれている。つまり、「パッチワークの路」にも「パノラマロード」にも、「パッチワークの丘」は存在する。

パッチワークの路

「パッチワークの路」は、1970年代後半の日本を一世風靡したCMロケ地として広く知られている。我々世代が憧れた日産スカイラインの「ケンメリ」、学生時代に初めて手にしたセブンスターとマイルドセブン、さらには親子の木やパフィーの木などの登場により、ここではいつしか「名のある木や丘」が主役になった。

正直なところ… もはや当時の面影を失い、生きた化石ともいえるような名木めぐりに、時間を費やすのはナンセンスなのかもしれない。

しかしそれは「既に見ているから云える」ことであって、筆者は美瑛に限らず、「名所」と呼ばれるところには、一度は足を運んでみるだけの価値があると断言する。ガイドブックが何年にもわたって取り上げるからには、それなりの理由がある。書いている本人が云うのだから間違いない(笑)。

さて。ここでもう一度、名前を思い出そう。

「パッチワークの路」は、もともと連作防止のため、区画ごとに異なる農産物を植えていることからその名がついた。

大空と色違いの畑以外には何も見えないデッカイ光景。

しかも、その年にしか見ることのできない配色…

それはまさに旅人にとっての「一期一会」であり、あの前田真三が惚れ込み、後世に伝えたいと感じた「本当の美瑛の姿」だ。

1978年に撮影された「マイルドセブン」のCMから既に40年もの歳月を経た現在は、案内板の前で「記念撮影」をするだけではなく、自分の感性を信じ、素晴らしいと思える構図を探す方が、遥かに垢抜けた美瑛のめぐり方だと筆者は思う。

この写真は上と同じ「マイルセブンの丘」で撮ったもの。美瑛の生い立ちを知り、立ち位置を変えれば、また「違う物語」が見えてきた。

パノラマロード

国道237号を挟んで、美瑛駅側にある観光ルートがパノラマロードだ。パッチワークの路よりも高台が多いため、きっとそう呼ばれているのだろう。

パノラマロードには、パッチワークの路だけでなくファーム富田のラベンダー畑をも有名にした風景写真家、前田真三の作品を展示する「拓真館」がある。
美瑛の旅は、まずここを見なければ始まらない…

またパノラマロードから白樺街道に出て、白金温泉から望岳台のある十勝岳登山口を目指せば、その途中に美しいブルーの水をたたえる青い池と白ひげの滝、そして氷河時代から生き残る希少動物のナキウサギが待っている。

筆者は、人と自然による「大地の造形美」がダブルで楽しめるこのコースが大のお気に入り。何度行っても飽きることはない。

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