「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
湯ヶ野温泉にある福田家は、川端康成ゆかりの温泉宿
福田家 日帰り入浴レポート【目次】
福田家のロケーションと「伊豆の踊り子」
短編小説「伊豆の踊子」に登場する「湯ヶ野温泉」は、伊豆半島東南部にある河津温泉郷のひとつで、早咲きの桜並木で有名な河津川沿いに、6軒の温泉旅館が存在する。
作家・川端康成ゆかりの宿「福田家」は、その中の一軒で隣には文学碑もある。
国内外からの観光客に沸く河津桜まつりの会場から、クルマでわずか10分ほどの距離にありながら、この温泉地には驚くほどの鄙びた風情が残されていた。
おそらくこちらが、本当の「河津の素顔」なのだろう。
「伊豆の踊子」は、川端康成が19歳の時に伊豆を旅した実体験を元に描いた、初期の代表作と云われている。
以下はウィキペディアからの転用
孤独や憂鬱な気分から逃れるため伊豆へ一人旅に出た青年が、修善寺、湯ヶ島、天城峠を越え湯ヶ野、下田に向かう旅芸人一座と道連れとなり、踊子の少女に淡い恋心を抱く旅情と哀歓の物語。
孤児根性に歪んでいた青年の自我の悩みや感傷が、素朴で清純無垢な踊子の心によって解きほぐされていく過程と、彼女との悲しい別れまでが描かれている。
日本人に親しまれている名作でもあり、今までに6回映画化され、ヒロインである踊子・薫は田中絹代から吉永小百合、山口百恵まで当時のアイドル女優が演じてきた。
福田家と湯ヶ野温泉街
「福田家」は後にノーベル賞作家となる川端康成が、学生時代(20才)に三泊した部屋と、晩年に逗留した部屋を現代に残し伝えている。
創業明治12年の和風情緒豊かな木造の老舗旅館は、川端が逗留した部屋の名前を「思い出」と名づけ、そこに今でも宿泊客を受け入れていると云うから驚く。
また同時に、福田家は「日本秘湯を守る会」に名を連ねており 、嬉しいことに日帰り入浴が可能だ。
日帰り入浴時間 は10時30分~16時で、料金は990円。
ただし旅館なので満室や貸し切り時には利用できない場合がある。念のため事前に電話で確認をしてから訪ねよう。
☎0558-35-7201
ちなみに泉質は、pH 8.8のカルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 。美人・美肌の系のお湯は柔らかで心地よく、この風情ある浴室とあいまって身にしみた。
詳細は以下でどうぞ。
ついでに温泉街も散策してきた。
こちらが「伊豆の踊子」に登場する共同浴場だが、地元の住民専用で一般開放されていない。ただし、福田家に泊まれば入浴できるそうだ。
川沿いにある「踊り子の足湯」。
椅子とテーブルも完備。なんと贅沢な井戸端会議場だこと!(笑)。
湯ヶ野温泉の駐車場&車中泊事情
最後に、湯ヶ野温泉街は狭くてクルマは通れない。
そのため国道414号沿いに町営の無料駐車場が用意されているので、そこに停めて歩いて行こう。駐車場にはトイレもあるので、車中泊をしようと思えばできないことはなさそうだ。
ただ筆者なら、もう少し進んだループ橋の手前にある「河津七滝観光センター」の無料駐車場を利用する。
湯ヶ野温泉駐車場 アクセスマップ
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