日本史ダイジェスト/九州8 5分でわかる、大久保利通の功績

3.日本史ダイジェスト/九州編
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流罪の西郷隆盛を、2度とも島から生還させたこと

筆者は鹿児島市の鍛冶屋町に建つこの銅像ほど、大久保利通(おおくぼとしみち)のイメージに合うものはないと思っている。

同じように洋装しても、武闘派のイメージが強い「西郷さん」とは違い、こちらはまさに政治家「大久保卿」という呼び方がフィットする。

翔ぶが如く

大河ドラマ「西郷どん」では、俳優の瑛太が大久保役を演じているが、筆者の中では、瑛太はやはり「篤姫」の小松帯刀である(笑)。

そして大久保利通といえば、今の「西郷どん」で島津斉彬の父・斉興を演じる鹿賀丈史。1990年放送の大河ドラマ「翔ぶが如く」で、彼が熱演した大久保利通が、今なお強く印象に残っている。

西郷隆盛とは幼馴染み

余談はさておき、下のマップでわかるように、久保利通は西郷どんのすぐ近所で生まれ育ち、三歳年上の西郷どんを、幼少の時から兄のように慕って生きてきた。

鹿児島

時代が時代だけに、「武士」というよりは「官僚」に近いそのキャリアは、1846年に記録所書役助として薩摩藩に仕えることからスタートするが、1850年に父、大久保利世が薩摩藩主の後継争い、世にいう「お由羅騒動」に巻き込まれた末、島流しになった巻き添えで、自身も蟄居を命じられ、不遇の3年間を過ごすことになる。

斉彬が藩主になると、蟄居が解かれ再び記録所に復帰するが、この時期に大躍進を遂げる西郷隆盛とは違い、大久保はまだ「幕末を動かすステージ」の上に、その姿を見せることはできなかった。

島津久光の時代に躍進

大久保の才能が開花するのは、島津斉彬の死後。

次の最高権力者であった久光に、趣味の碁を通じて接近し、最終的には「御側役」という、側近中の側近にまで異例の出世を遂げる。

この時代に大久保利通が果たした功績といえば、「江戸幕府打倒のための工作活動を展開し、明治政府を樹立させたこと」というのが一般的だ。

中でも朝廷に働きかけ「倒幕の密勅」を取りつけたことが、15代将軍・徳川慶喜に大政奉還を決意させるきっかけとなったといわれている。

しかし、筆者の見解はちょっと違う。

幕末に大久保利通が果たした最大の功績は、島流しにされていた西郷隆盛を薩摩藩に復帰させたことだ。しかも「一度ならず二度までも」である。

特に沖永良部島からの二度目の復帰は、薩英戦争で欧米の力を思い知らされた薩摩藩が、「公武合体」から「倒幕」へと舵を切るための「切り札を蘇らせる」ともいえる策だったが、一度目の経緯からして、誰の目にも不可能と映っていたに違いない。

大久保はそれを「切腹覚悟」で久光に直訴し、その首を縦に振らせた。

政治家「大久保卿」

大久保利通

明治政府樹立以降の功績は、いまさらここで筆者が書くまでもなく、ご存知の方が多いと思うので、あっさり書こう(笑)。

倒幕の際の功績が認められ、大久保は明治政府の参議となる。

そして西郷隆盛とタッグを組み、避けては通れない難題の「版籍奉還」「廃藩置県」の導入に成功する。

その後岩倉使節団に参加して欧米諸国を周り、近代化に向けた知識を養うが、留守中に西郷内閣が征韓論を進めようとする話を聞いて緊急帰国。

岩倉卿とともに、それを阻止する。

反発した西郷一派は政府を去り、国元に下野した。

その後内務省を新設し、最高責任者として内政に専念。殖産興業政策や学制、地租改正、さらに徴兵令を実施し、日本の近代化を推し進めていく。

1877年、ついに西南戦争勃発。鹿児島で盟友の西郷隆盛が戦死する中、大久保は第一回内国勧業博覧会を上野公園で開催し、日本の近代化を世界にアピールした。

大久保利通

翌年の1878年、大久保利通は紀尾井坂を馬車で移動している途中で刺客に襲われ、49歳でこの世を去る。冒頭の銅像の足元には、その際に一緒に襲われ亡くなった馬車夫と馬の姿がある。

征韓論の対立と西南戦争にいたる経緯からか、西郷どんに比べると大久保利通に対する日本人の評価は、あまり高いとは思えない。

判官贔屓な気質ゆえに、それは仕方がないとも思うが、政治家や実業家、あるいは経済評論家たちは、意外にも大久保利通を高く評価している。

もしそのことに興味があれば、このサイトをご覧いただくといい。

筆者の話はあくまでも「旅人レベル」で、鹿児島で大久保利通の銅像を見た時に、奥さんや子供あるいは孫に、「大久保利通という人はね、…」と、小ネタが語れればそれでいいと思っている(笑)。

あとは、それができるだけ正確であることを望むだけだ(爆)。

大久保利通 生家

エピローグ

最後に彼の人柄がわかるエピソードを紹介しよう。

普段は人を寄せ付けないほどの威厳を放って仕事に臨んだ大久保も、 家庭では子煩悩な優しい父親であったと云われている。

多忙を極めている時でも、出勤前の10分ほどは娘と一緒に過ごしていたようだ。

そのうえ、暮らしは慎ましやかで、予算がつかない公共事業には、私財をつぎ込んでいたという。そのため、死後の財産が140円に対し、借金は8000円も残っていた。

現代の貨幣価値だと1億円以上と云われているが。債権者たちはお金の遣い道を知っていたため、遺族に返済を求めなかったそうだ。

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