あの「はやぶさ」が打ち上げられた、JAXA内之浦宇宙空間観測所 

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※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「日本クルマ旅先100選」 ~テーマはディスカヴァー・ジャパン~
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「志布志港」から約40キロ、クルマで1時間足らず

昨日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、内之浦宇宙空間観測所から世界最小クラスの人工衛星ロケット「SS-520」5号機の打ち上げに成功したというニュースが報道された。

世界最小級ロケット打ち上げ成功、衛星投入 JAXA 日本経済新聞

近頃はロケット打ち上げといえば、池井戸潤原作のTBS日9ドラマ・「下町ロケット」を思い出すわけだが(笑)、それは同じJAXAでも種子島宇宙センターが舞台。

では、なんとなくこの「内之浦宇宙空間観測所」を覚えているのはなぜだろう。

答えはこちら。

2003年5月に、内之浦宇宙空間観測所からM-Vロケット5号機によって打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」は、計画どおり2005年11月に、小惑星「イトカワ」に着陸(タッチダウン)した。

だが、相次ぐ故障と燃料漏れにより、その後7週間の「行方知れず」になってしまう。しかしさまざまなトラブルを乗り越え、2007年4月、ついに地球帰還に向けての軌道変換を開始。そして2010年6月に地球の大気圏に再突入し、イトカワのサンプルを載せたカプセルを、見事地球に持ち帰ることに成功した。

日本中を感動させた「はやぶさ」は、帰還直後から映画の制作が相次ぎ、2011年から2012年春にかけて3本が公開される。筆者が劇場でみたのは、渡辺謙主演の「はやぶさ 遥かなる帰還」。実話だけに面白かったことを覚えている。

さて。映画のロケ地にもなった内之浦宇宙空間観測所は、フェリーさんふらわが発着する「志布志港」から約40キロ、クルマで1時間足らずのところにある。そこで、下船後一番に訪ねてきた。

その経験から云うと、もし行かれるなら、予備知識として内之浦宇宙空間観測所からは「どんなロケット」が打ち上げられているのかを覚えておくほうがいい。

それはすなわち、種子島宇宙センターとの違いでもあるのだが、現地でそれを理解するのはちょっと難しいと思う。

日本の衛星打ち上げ用ロケットは、糸川英夫博士のペンシル・ロケットにルーツを持つ、「固体燃料ロケット」と、米国から徐々に技術を導入して国産化した、大型の「液体燃料ロケット」の2種類があり、内之浦からは固体燃料ロケットが、種子島からは液体燃料ロケットが、打ち上げられている。

その「固体燃料ロケット」の完成形が写真のM-V型ロケットで、前身にあたるL-4Sロケットにより、日本最初の人工衛星「おおすみ」が宇宙に送られ、それから33年を経て、M-Vロケット5号機が「はやぶさ」を宇宙へと旅立たせた。

少し余談になるが、

JAXAは宇宙科学研究所・航空宇宙技術研究所・宇宙開発事業団の3つの施設を統廃合し、2003年10月に発足した独立行政法人だ。宇宙科学研究所は元々東京大学の研究施設で、純粋に学術・研究用に開発したロケットを、この内之浦から発射してきた。はやぶさは、統合される前の宇宙科学研究所が打ち上げたものである。

2006年、そのJAXAに衝撃が走る。

9月に太陽観測衛星「ひので」を搭載したM-Vロケット7号機の打ち上げを最後に、文部科学省は固体ロケットM-V(ミュー・ファイブ)の開発を、予算難を理由に打ち切ったのだ。それは内之浦宇宙空間観測所とって、存亡の危機を意味するものであった。

その窮地を救い、内之浦宇宙空間観測所の未来を切り開いたのがイプシロンだ。

低コスト化だけでなく、打ち上げ準備作業を劇的に簡素化することを目指したイプシロンの開発は、「固体ロケット運用の空白期間」を何とかくぐり抜け、2009年からスタートしたが、後継機のめどが立たないままの措置だったという。

それから約4年が経過した2013年9月14日、内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられたイプシロン・ロケット試験機は、惑星分光観測衛星「ひさき」を正常に分離し、無事打ち上げに成功する。

この「下町ロケット」に勝るとも劣らないドラマを秘めた内之浦宇宙空間観測所では、今後もイプシロンの打ち上げが計画されているが、同時に冒頭で紹介した、より小型の民生ロケットの打ち上げにも利用されていくようだ。今後の予定は以下のサイトで確認を。

ファンファンJAXA 内之浦宇宙空間観測所

最後は、打ち上げ観察施設について。

宮原ロケット見学場は、唯一発射台が見える内之浦宇宙空間観測所の公認ロケット打ち上げ見学施設で、国道448号を内之浦宇宙空間観測所から3キロほど根占方面に進んだところにある。平成26年に整備され、以前よりも広くなった展望広場には芝生が張られ、東屋と展望台が設置されている。

ただし、イプシロン・ロケットの人気が予想以上に高く、3号機の打上げからは当日のマイカー乗り入れが禁止されているようだ。そのため前日からの車中泊もおそらくできないと思う。

穴場の車中泊スポットは、RVパークコスモピア内之浦だろう。

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