西郷どんと芋焼酎。ともに育ての親は島津斉彬

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新型銃開発の副産物

芋・麦・蕎麦・米・栗… 今はひとくちに焼酎と云っても様々な原料が使われ、地酒として各地の特産品のひとつになっているが、その歴史を辿ると、どうやらルーツは鹿児島の米焼酎にあるらしい。

米焼酎といえば球磨焼酎、熊本県の人吉がメッカである。

その背景には、戦国時代に「相良氏の隠れ里」であったことから、豊かに実る米を「何かに変えて隠す」必要があったとされている。

だが、シラス台地で稲がなかなか育たない鹿児島では、逆に米焼酎は贅沢品。庶民が簡単に口にできる酒ではなかった。

そこへ琉球からサツマイモが持ち込まれ、一気に主力の作物となっていく。

それで島津斉彬が、サツマイモを使った焼酎の製造を推奨するわけだが、それだけなら当たり前すぎて記事に残す必要はない(笑)。

そこには「わざわざ紹介するだけの価値がある」エピソードが潜んでいる。

仙巌園の記事で書いたとおり、幕末の薩摩藩は軍備の近代化に迫られており、斉彬は集成館で「ある武器」の製造を進めていた。

それは鉄砲。

もちろん信長の時代と違って、もうこの頃には火縄銃ではなく、撃鉄を起こして引き金を引くと同時に、バーン!と銃弾が呼び出す、現在のライフルのような鉄砲である。

この雷管銃(らいかんじゅう)には、銃弾を放つ際の起爆剤となる雷汞(らいこう)が必要で、その製造にエチルアルコールが用いられた。

薩摩藩も当初はエチルアルコールの原料に米焼酎を利用していたが、斉彬はコスト削減のために芋焼酎の利用を思いつく。

その背景には、サツマイモが米よりも安いだけでなく、当時の技術では、臭いがきつくて不味い焼酎しかできなかったこともあったようだ。

同時に斉彬は、それによって大量生産される芋焼酎を、飲用としても使えるよう研究させ、新たな特産品に育てるべく藩を挙げて推奨した。

この話からも、「稀代の名君」と謳われる斉彬の経営センスが伺える。

と同時に、その雷管銃と芋焼酎を、さりげなく大河ドラマの中に忍ばせた「西郷どん」の脚本家・中園ミホにも、「アッパレ」を贈りたい。

超マニアックなファインプレーだった(笑)。

とはいえ…

いくら先見の明に優れた斉彬でも、150年後に芋焼酎がここまで値打ちモノになるとは、思いもよらなかったに違いない(笑)。

ついでに、西郷どん愛用の酒は村尾だったとか。

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