九州を「気持ち良く旅する方法」は2つある。

観光旅行的見地から「九州の魅力」を総括すると、ひとつは「郷土料理」、もうひとつは「温泉」、そして最後は世界遺産を含めた「歴史探訪」になると思う。

もちろん、自由奔放に行動できる車中泊のクルマ旅では、そこに「絶景」や「ドライブ」といったコンテンツが付随してくるのは云うまでもないが、それでも、いちばん大事なことは「歴史探訪」をどうするかだろう。

あえて冒頭からそう話すのは、別に「歴史探訪」なしでも九州の旅が十分に楽しめるからに他ならない。

しかし…

これは現地で痛感したことだが、九州をじっくり観光するには、どうしても「日本史」に関する幅広い知識が求められる。

観光なので「概要」さえ理解できていれば十分だが、それでも九州全域となると、奈良や京都とは違って圧倒的に「範疇」は広く、事前にせめて「中学生レベルの歴史」を復習して行かなければ、「無駄足」「無駄使い」にもなりかねない。

たとえば、北九州におけるキーワードは「大陸との関わり」だ。

2017年に世界文化遺産に登録された【「神宿る島」宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群】はその顕著な例だが、それ以外にも「太宰府」「吉野ヶ里」「呼子」等に足を運ぶつもりなら、弥生時代から安土桃山時代に至る、時代ごとの国内情勢と大陸との交流事情が分かっていなければ、せっかく「現地」に赴いても、その歴史的価値に感動を覚えることはできないだろう。

【参考】日本史ダイジェスト 「5分でわかる、弥生時代~飛鳥時代の日本」

いっぽう南九州では、古事記と日本書紀(以降「記紀」と表示)に登場する「神話」と、明治維新に深く寄与した「薩摩藩」に関する知識が欠かせない。長崎についても、江戸時代から明治の国内事情を知っていくのと知らずに行くのは、雲泥の差になると思う。

【参考】日本史ダイジェスト 5分で分かる、薩摩藩(島津家)の歴史

そう考えると、九州を気持ち良く観光する方法は明快だ。

ひとつは今述べたような「史跡・寺社仏閣」を基本的に旅先から外すこと。正直云って九州の歴史探訪は「かなり面倒臭い」。かといって、予習なしに現地に行ったところで「簡単に理解できるものでもない」。確かに説明は書かれているが、それをじっくり読んでいたら、たぶん「次」には進めないだろう(笑)。

ならば、最初から「ややこしそうなところには行かない」という割り切りがあっていい。前述した通り、「歴史探訪」を外しても九州の旅は十分成り立つし、このサイトでもそういう旅人に向けた有益な情報を発信している。

いっぽう、逆説的になるが、もうひとつの九州を気持ち良く旅する方法は、「とことん調べたうえで、歴史探訪を楽しみに行く」ことだ。確かに苦労は多いが、それに見合うだけの「達成感」と「満足感」が得られる。

筆者は旅の真髄が「ディスカバー・ジャパン(日本再発見)」にあると思っているのだが、九州はその最たるところだと思う。

日本人のルーツに迫る古代の遺跡から、「記紀」に記された日本神話に登場する「天孫降臨」の地、さらに中世に目をやれば、豊臣秀吉の下で編成された「リアル・侍ジャパン」の城跡、そして国内最大の革命ともいえる「幕末・明治維新」の爪痕等々… 九州は見方を変えれば、歴史ファンにとっての「宝島」だ。

最後に。九州の「歴史探訪」は、シニアに「もってこい」と云えるコンテンツだと思う。納得が行くまでネットや図書館で物事を調べるのは老化抑制につながるし、現地を歩き回るためには、日々のウォーキングで足を鍛える必要がある。そしてそれが旅先で活かされれば、次の旅への意欲も湧く。

それはまさに、健康促進を呼ぶ好循環の源であり、何より「時間を思い通りに使える」という特権なくしては成し得ない。

そのうえ、シニアの多くが楽しみにしている北海道とは時期が重ならない(笑)。

定年が近い中高年と、カップルやファミリーにマッチする旅が違うのは当たり前…長く旅を続けるには、今の自分にマッチするコンテンツを見つけることも大切だ。その意味からすると、シニアには北海道より九州を巡るほうが適している。

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