令和は、スマート車中泊の時代

スマート車中泊 エッセイ
この話は、「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、20年以上に及ぶキャリアを通じて、思い浮かんだことをエッセイに仕立てた記事のひとつです。
たびの空から~エッセイ&忘備録~
クルマ旅専門家・稲垣朝則が、車中泊の取材旅で書き残した忘備録と、旅でのエピソードを綴ったエッセイを収録しています。
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世代交代が進み、スマート車中泊が主流になる。

車中泊には様々な「切り口」があり、それを「平面的」に捉えようとしても、なかなか「本質」は見えてこない。

車中泊

たとえば「ライフステージ」という「切り口」から見ると、現役サラリーマンは、週末やゴールデンウィークなどの連休を利用して出かける「短期間の車中泊」、既に定年を迎えたシニア世代は「長期の車中泊」を楽しんでいる。

車中泊のアクティビティー

また「アクティビティー(旅先での遊び)」という「切り口」から見ると、まず「レジャー(行楽)」と「ホビー(趣味)」に分かれ、さらに「ホビー」は「温泉めぐり」や「食べ歩き」、あるいは「登山」や「釣り」のようなマニアックな世界に細分化される。

これらは時代や世代が変わっても、その「フレーム」自体が大きく変わることはないだろう。

筆者が「変わる」と思うのは車中泊のやり方、わかりやすく云えば「他人の目に映る姿」だ。

それは戦後目覚ましいスピードで発展を遂げ、生活環境や生活用品そのものが様変わりしてきた、「日本の歩み」と深い関わりを持っている。

なお、ここからの記述はその世代の「全ての人」に該当するわけではなく、あくまでの「公約数的な特徴」として読み流していただきたい。

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<車中泊の未来予想図 目次>

車中泊の創世記を牽引したのは「団塊の世代」

車中泊をスマートにするのは「三丁目の夕日世代」

スマート車中泊とは

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フィールドオフィス

車中泊の創世記を牽引したのは「団塊の世代」

日本の世代間格差は「情報ツール」を見ればよくわかる。

70歳以上は「新聞・テレビ」、60代はキーボードで操作するパソコン、そして40代になると、もはや親指だけを巧みに操り、映像まで簡単に送受信できる「スマートフォン」を使うのが当たり前になっている。

枝幸かにまつり

マスコミはそういった世代をネーミングするのがうまい。

戦後のベビーブームに生を受け、2007年に定年退職のピークを迎えた人々のことを「団塊の世代」と名付けたのは作家の堺屋太一だが、その「団塊の世代」がこれまでの車中泊市場を牽引してきたのは紛れもない事実だと思う。

今となっては「幻」ともいえる潤沢な退職金と年金をバックに、車中泊の市場に大きな影響を及ぼし続けてきた。

しかしアクティブシニアといえども、「寄る年波」には勝てない。

筆者の周りでも、目に見えて「車中泊」を卒業していく人が増えてきた。では、次の担い手はどの世代なのだろう。

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車中泊をスマートにするのは「三丁目の夕日世代」

マスコミは「新人類」と呼ばれる1960年代生まれにスポットを当てたいのかもしれないが、筆者はその前の1950年代生まれの人々に注目している。

なぜなら、この年代は「高度経済成長期」の象徴とされる東海道新幹線の開通、東京オリンピック、そして大阪万博を思春期にライブで見て育った「時代の申し子」だからだ。

ゆえに1959年生まれの筆者は、自分たちを「三丁目の夕日世代」と呼んでいる。実はこの世代には、車中泊に関わる大きな経験を有した人がたくさんいる。

ファミリーキャンプ

1990年代の日本は、経済面で見れば「バブル崩壊の時期」に位置づけされるが、その反動を受け、庶民の憩いの場は海外や離島のリゾートから、「安・近・短」と呼ばれるところに移行していった。

そこで人気を博したのが、誰もが自然と触れあうことのできる「ゆるいフィールド」。その結果、キャンプは「アウトドアからレジャーへ」と革命的な進化を遂げ、最盛期には年間1500万人がオートキャンプに勤しむという、史上空前のブームが訪れる。

「三丁目の夕日世代」は、働き盛りの30代にその両方を体験してきた、ある意味「特異な経験」を持つ人々で、高規格オートキャンプ場の利用方法から、ツーバーナーの使い方まで、オートキャンプというものをよく心得ている。

つまり「団塊の世代」とは、キャンプに対する抵抗感が全くといっていいほど違う。

平成のキャンプブーム

話は少し逸れるが、ここ最近キャンプ業界はにわかに活気づいている。

その原動力となっているのは30代前後の若者たち、すなわち三丁目の夕日世代の「ジュニア」である。つまり子供の頃に空前のアウトドアブームを体験している「オートキャンプ・キャリア」が、再びフィールドに戻ろうとしている。

彼らの特徴は、既存・既成のキャンプスタイル、キャンプシーンにとらわれず、自由奔放にキャンプを楽しんでいる点にある。それは若き日の我々が、三角テントを捨ててドームテントに活路を求めたのとよく似ている。

車中泊

さて、話を本論に戻そう。

キャンプ場の自由さを知っている我々世代は、そもそも道の駅やサービスエリアでの車中泊には「利便性」以外の魅力を感じない。

だからそこを転々と訪ね歩くようなことはしないし、食事や買物を楽しみたい時は昼間を選ぶ。

ただ遠出をして、移動の途中で日が暮れるような時には、道の駅やサービスエリアで車中泊をする。

しかしそこでの車中泊は、長距離トラックの運転手と同様、「外食もしくは弁当かパンなどの調理済み食品を食べて、クルマで寝る」だけだ。

車中泊のマナー違反

しかし団塊の世代の中には、その道の駅に多くのことを求めた人が少なからずいたようだ。

いわゆるマナー違反と呼ばれる行為の根源は、道の駅とオートキャンプ場の使い分けができない、すなわちキャンプ場の利用経験がないまま時流に乗り、「擬似車中泊」を覚えてしまったことに起因する部分もあったと思う。

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車中泊

スマート車中泊

英語のsmartは、「頭のよい、賢明な、気のきいた」という意味を持っているが、そこから派生して「こざっぱりしている、シャレている、洗練されている」という意味でも使われている。

車中泊の放浪者

「団塊の世代」には、車中泊に「合理性」を求める人が多いようだ。

背景にはキャンピングカー・ビルダーが期待するクルマを作ってくれなかったこともあったと思うが、実際に使い勝手の良いクルマにセルフ改造する人が評価され、またそういう本がよく売れた。

つまりキーワードは「便利」である。

車上生活

しかし反面…外から見ていて「あまり気持ちの良いものではない姿」も少なくはなかった(笑)。

その「鮮烈な不快感」を伴う車中泊のイメージを、自分たちの世代にまで持ち越したくないと思うのは、たぶん筆者だけではないと思う。

思えば、20年前にも似たようなことがあった。

かつてのキャンプには、河川敷でブルーシートをバタつかせたおっちゃんが、演歌を昼間からラジカセで流し、七輪でパタパタと焼き鳥を焼く… そんなイメージがリンクしていた。

しかし、彼らは「絶滅」してしまった。

「三丁目の夕日世代」は、「団塊の世代」に比べると、自己主張に違う価値観を抱いている。

そのキーワードは「粋」。

つまり、同じものに改良を施して自分仕様に創り変えるのではなく、同じものを自分仕様に使いこなすことに意義を感じる。

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それは日本にアウトドアやファッション雑誌が定着した時代に「青春」を迎えた、いかにも我々らしい感性なのかもしれないが、どうやら「それが役に立つ時」がきたような気がする(笑)。

キャンピングカー

最後に。

筆者が使っているキャンピングカーは、ビルダーが作ったモデルをほぼ「未改造」のまま使っている。

キャンピングカー wiz

大事なことは買う前にどれだけ使い方をイメージできるかだ。

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<車中泊の未来予想図 目次>

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