このサイトでは、既に車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、20年以上の歳月をかけて培ってきた、オリジナルの車中泊ノウハウとそのアイデアを紹介しています。

志と心意気、そして信頼できるクルマがなければ、「いい仕事」はできない。
筆者が車中泊専門誌カーネルでこれまでやってきた仕事は、単なる旅行ライターの取材じゃない。
まずは車中泊クルマ旅に相応しい旅先の選考と、モデルルートのプランニングに始まり、企画が「机上の空論」にならないよう、実際に読者と同じように旅をし、フィールドに泊まる。
普通はそれが「当たり前」と思うだろうが、雑誌やテレビの取材を受けたことがある人ならご承知の通り、実は取材に来て筆者と同じように「車中泊」をする編集者やカメラマンはほとんどいない。
大半は東京から新幹線か飛行機でやってきてホテルに泊まる。昔から、筆者はそのことに強い違和感を覚えてきた。
専門誌の取材者がユーザーと同じ「目線」に立たずして、本当に共感や感動を呼ぶ記事が書けるのだろうか?
加えて…
筆者はライターにスタイリストとカメラマン、さらに時には釣り人や野外料理のシェフを、家内はモデルにアシスタント、そしてフードコーディネイターを兼ねている。
二人でいったい何役なんだ(笑)。
そんなこんなで出来上がる紙面にリアリティーがあるのは、細かなディテイルにまでこだわり、全てが本人による「実写」であるからに他ならない。
その点においては、昭和の名作ドラマ「北の国から」の脚本家、倉本聰氏の思想にまったくもって同感だ。
以下は「北の国から資料館」に展示されていた1枚のパネルの転記になる。
ドラマのスタートは、企画から始まる。プロデューサー、演出家、脚本家が意見を出し合い企画が練られる。
【プロデューサー】
アドベンチャーファミリー、キタキツネ物語がヒットしたので、北海道を舞台にあのようなドラマが作れないか…
【脚本家(倉本聰)】
キタキツネ物語は三年近い年月を使ってキタキツネの生育を追っている。そのような制作体制が今のテレビドラマでできるのか。また、アドベンチャーファミリーは人間社会から隔離された北米の原野が舞台になっている。そのような舞台は北海道にはない。
【プロデューサー】
テレビの主たる視聴者は東京の人間である。北海道にそうしたフィクションの土地を置いても、東京人はそれをかえって面白く思うだろう。
【脚本家(倉本聰)】
その考えは間違っている。
板前のドラマは板前が、刑事のドラマは刑事が見て感動してくれなければ本物とは言えない。北海道を舞台にしたドラマが、北海道人に嘘だと言われたら良い作品などできるわけがない。
しかし… いくら好きなことでも、さすがに夫婦ともども50歳の壁を超えると疲れがたまり、以前のような無理が効かなくなってきた。
また旅先によっては、道の駅に泊まりながら取材を続ける場合もあり、そうなると椅子に座って食事や作業のできないボンゴフレンディーでは限界があると思うようにもなってきた。

The “Auto-Packer”
車中泊の位置づけは「手段」。 「目的」は生活ではなく、クルマ旅やアウトドアを愉しむこと。


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