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8ナンバー車は中で立って動けるのと、車検が2年ごとになる。
法律的見地に立てば、キャンピングカーと呼べるのは登録時に8ナンバーが交付される、道路運送車両法によって定められた「キャンピング車」の要件を満たしている車両になる。
その要件を詳しく知りたい方には、国土交通省のこのページをご覧いただくとして、ここではその「四角四面な文章」から、大事な部分だけを抽出して簡潔に説明しよう。
今キャンピングカービルダーとユーザーを悩ませているのは、「一定の基準を満たしたシンク (流し) コンロ、ベッドなどを有すこと」という一節で、とりわけ重要なのは「一定の基準を満たしたシンク」の部分になる。
具体的には、洗面台等は、車室内において容易に使用することができる位置(洗面台等に正対して使用でき、かつ、洗面台等と利用者の間に他の設備等がないこと)にあり、かつ、これを利用するための床面から上方には有効高さ1,600㎜以上の空間を有していることと記されている。
つまりそれは、8ナンバー車は標準的な女性なら車内で立てるということになる。
実はこの要件により、ハイエースなどをベースにするバンコン・キャンピングカーは、ハイルーフ車かポップアップルーフを備えたクルマしか選べないという大きな制約を受ける。
それがネックになり、市場ニーズを反映できないジレンマが長く続いてきた。
ここまで要件が厳しくなった背景には、税制が深く絡んでいる。
かつての8ナンバー車の自動車税は、普通車・貨物車に比べると圧倒的に安く、それを目的とした整備工場ぐるみの「不法改造」が横行していた。
しかし現在はそれが改正され、3ナンバーもしくは4ナンバーのままのキャンピングカーが、プロのビルダーからもどんどん市場投入されるようになってきた。
面白いのは、8ナンバー車にはシンクの設置が義務付けられているが、3.4ナンバー車の場合は「付けても付けなくてもかまわない」という点だ。
それを逆手に取れば、写真のように多少前かがみにはなるものの、実際には8ナンバー車と同じことができるクルマが作れる。
では、あえて8ナンバーにする意味はあるのか?
筆者は「ある」と思う。
まず構造上、車内で直立できるというメリットは想像以上に大きい。
特に中高年は着替え時にそれを痛感するはずだ(笑)。
Wizにはサンルーフがついており、その下では170センチ近い筆者も問題なく直立することができる。
そしてもうひとつは車検。
車内にシンクを取り付けられるレイアウトにできるクルマは、実質的には4または1ナンバーとなるバン(貨物車)しかない。
しかしバンには毎年車検が義務付けられている。いっぽう8ナンバー車は乗用車と同じく2年車検が認められている。
またハイルーフの場合は、4ではなく1ナンバーとなるため、ETCの割引が適用されないデメリットもあるだろう。
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快適車中泊のための、キャンピングカー入門ガイド
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