車中泊歴25年の現役クルマ旅専門家が、キャンピングカー購入時の秘訣を、分かりやすく解説しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド
この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。
~ここから本編が始まります。~
キャンピングカーは、安く買ってカスタマイズすることが可能。
必要なものが勢揃い! 楽天市場の「車中泊グッズ」大特集キャンピングカーは、パソコンと同じ。
パソコン選びは「デスクトップ」にするか、「ノート」にするかから始まるが、それをキャンピングカーに置き換えると、「モーターホーム系」のクルマか「オートパッカー系」のクルマかの選択になる…
それは誰にでも容易に想像できると思うが、この話のキモはそこではない(笑)。
我々世代の大半は、WindowsのOSを搭載した国内大手メーカーのパソコンを使用してきたと思うが、パーソナルユーズのほとんどは、いわゆる「オールインワン」と呼ばれるタイプだと思う。
「オールインワン」は基本ソフトがプリ・インストールされており、専門的な知識を要せずとも、購入後即インターネットが見られるなどの利便性が高い。
しかし反面、不必要なバンドルソフトが大量に組み込まれており、やがてはそれがネックとなって、立ち上がりが遅くなったり、ハードディスクの容量が逼迫するなどの弊害に見舞われる。
そもそもPCで大事なのは以下の3つだ。
1.汎用性の高いOS
2.情報処理スピードの高いCPU
3.一度に多くのソフトを稼働できるメモリー容量
そこに初期投資をしっかりしておけば、後日どんなソフトを使うことになっても、パソコンが悲鳴を上げることはない。
しかもソフトは必要に応じて「後付け」していける。
つまり、一気にお金をかけることができなくても、投資を小分けしていけば、やがては高性能でオンリーワンなパーソナル・コンピューターが完成する。
要はそれと同じことを、キャンピングカーでやればいいわけだ。
具体的に云うと、予算が少ない場合は、中古でも新車でもハイエースベースのモデルを選び、装備を最低限に抑えておく。
実はキャンピングカーの装備には、「後付」が効くものが多い。
にもかかわらず最初からフル装備を求めたために、肝心の「キャンピングカーを使って遊ぶ余裕」がなくなってしまったのでは「本末転倒」。
また使ってみることで、自分にとって何が必要なのかも見えてくる。
ちなみにうちのクルマには、もともと備え付けの電子レンジはなかったが、それが使える大容量のサブバッテリーシステムは、最初から搭載していた。
ということは、極端に云えば「要る時にだけ持参する」ことができる。
なので、使っているのは1万円程度の廉価な家庭用の製品だ。
筆者の場合、車中泊では弁当やレトルト食品が温められれば十分だった。
その利便性に納得した現在は、DIYで収納スペースを作って常設しているが、そうした背景には、後述するサブバッテリーの強化も連動している。
キャンピングカーにおける「三種の神器」
そんなわけで、筆者がこれは最初からあったほうがいいと考える、キャンピングカーの「三種の神器」を紹介しよう。
リチウム・イオンバッテリーのサブバッテリーシステム
サブバッテリーシステムは、エンジンを切った車内で電化製品を使うのに不可欠な装備で、キャンピングカーの大半に標準装備されている。
ただし2020年頃に「サブバッテリーの革命」とも云うべき、大きな変化が生じており、それ以降に発売されたキャンピングカーには、従来の「鉛のディープサイクル・バッテリー」ではなく、「リチウムイオン・バッテリー」が搭載されている。
詳細は以下の記事で確認していただきたいのだが、これからキャンピングカーに乗るのなら、「リチウムイオンのサブバッテリー・システム」を選ぶべきなのは明白だが、2020年以前にビルドされたキャンピングカーの場合は、その載せ替えがおそらく必要だ。
ただこの載せ替えは、バッテリー交換だけでは済まず、流れる電気の大きさに応じた太いケーブルに変更する必要があり、それには工賃込みで30万円近いコストがかかる。
そのため、中古車の場合は既に交換済みかどうかを確認し、旧のままならその費用を別途見込んでおかなければならない。
ルーフベント
ルーフベントは車内の淀んだ空気を排気するだけでなく、夏は車外の涼しい空気を吸気できる「冷房機器」としても活用できるスグレモノだ。
ルーフベントは屋根に取り付けるための「工事」に近い作業が伴う。また一度つけると動かせないので、必要ならソーラーパネルの大きさと載せる位置を考慮に入れて、最初に取り付ける位置をよく考えてから実行に移そう。
FFヒーター
エンジンと燃料を共有するため、メインの燃料タンクからFFヒーターへの配管工事が必要。デリケートな箇所だけにプロに設置してもらうほうが安心だ。
筆者が購入時に最低必要と思うのはここまでだ。
サイドオーニングや電子レンジ・冷蔵庫・トイレなどは、必要性を感じた時点で搭載していけばいい。
ちなみに筆者のカスタマイズの軌跡は、以下の記事でご覧いただける。
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