サブバッテリー リチウムイオン載せ替えレポート<ハイエース・バンコンでの実例>

RENOGY リチウムイオン アプリサブバッテリー

この道25年の現役クルマ旅専門家がまとめた、自身が乗っているハイエース・バンコンのサブバッテリーを、リチウムイオンに載せ替えた時の作業レポートです。

「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド

この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。

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~ここから本編が始まります。~

サブバッテリーをリチウムイオンバッテリーに積替える最大のメリットは、走行充電効率の大幅改善。

リチウムイオン サブバッテリーシステム

サブバッテリー載せ替えの背景

筆者のRENOGYリチウムイオン・サブバッテリーシステムの概要

大きく変わったのは充電方法

実際の車中泊におけるバッテリーの消費と充電状況

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サブバッテリー載せ替えの背景

電子レンジ

サブバッテリーをリチウムイオン・バッテリーに載せ替える人の多くは、「エアコンや電子レンジのような、大容量家電を車中泊で使用したい」という動機が多い。

そして筆者もそのうちの一人だ。

車中泊

若い頃は料理がそれほど気にならなかったし、旅先でいい素材を見つけて食べるのが楽しかったのだが、還暦を過ぎた頃から1週間以上に及ぶ取材では、さすがにくたびれて食事を作るのが億劫になってきた。

キャンピングカー

それでも旅先では毎晩「ひとりお疲れ会」を愉しみたいので、外食はしない。

ソロ車中泊

広々としたダイネットスペースがあるし、好きなテレビを独占しながら、チビチビやるのは最高。眠くなった時点で、即宴会がやめられる(笑)。

実は鉛のディープサイクルバッテリーでも、1500Wの出力を持つインバータを積んでいるので、電子レンジの使用は前から可能だったが、リチウムイオン・バッテリーとは持続力が違うため、同じ容量でも長くは使えない。

そしてもうひとつ、筆者には貴重な電力を電子レンジには使えない事情があった。

リモートワーク

ご承知の方も多いと思うが、筆者は旅行ライターとして活動しており、旅先で原稿締め切りを迎えることが少なくない。

仕事を始めたら、2.3日は動かずパソコンを終日フル稼働させることになるため、電気はそれに備えて置いておく必要がある。

旅先では、そう都合よくリーズナブルな電源サイトやRVパークがあるとは限らない。

サブバッテリーシステム

加えて筆者が乗っているハイエースキャンピングカーWizは、このようにサブバッテリーの搭載スペースがパンパンなので増設もできず、ソーラーパネルを屋根に乗せて、充電力を高めることしかできなかった。

友人からそれを改善してくれるのがリチウムイオン・バッテリーだと聞き、大きく心は揺らいだが、30万円を超す見積もりを見たら、どどっと揺り返しが来た!

車中泊

どうしたものか悩んでいるうちに次の取材に出る日を迎え、家内を伴って岐阜方面へでかけたのだが、11月中旬の冷え込んだ日の夜半、下呂温泉の駐車場で聞き覚えのある警告音が突如鳴り出した。

ピピッ ピピッ ピピッ ピピッ

Oh my God!

そして、お約束どおりFFヒーターが停止。

もう、なんでなんよ。お父さん!!!

大蔵省から「GOサイン」が発令されたのは、その直後だった。

載せ替えをご検討の諸君も、過酷な状況に奥方を連れ出すと効果的かも!(大笑)。

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筆者のRENOGYリチウムイオン・サブバッテリーシステムの概要

リチウムイオンバッテリーシステム

筆者が新たに載せ替えたのは、バッテリー2本と走行充電器。

これまで使ってきた走行充電器は昇圧機能のない旧式タイプで、使えなくはないが、リチウムイオン・バッテリーの大きな特性である、高電流を生かした充電ができないため、今以上に時間がかかると云われた。

DCC 走行充電器12V 50A MPPT

そこで、同じくRENOGY社から発売されているMPPTチャージコントローラーを内蔵している、写真の「DCC 走行充電器12V 50A」を搭載することにした。

この走行充電器がいかに優れているかは後述するが、その前にもうひとつ付け加えたものを紹介しておこう。

上の記事の中でも記載しているが、鉛のディープサイクル・バッテリーは、電池の減り具合を電気量ではなく、電圧で判断するしかなかった。

電圧計

そのため「電圧計が11ボルトを下回ると、そろそろヤバイかな」みたいなアバウトでしか、限界を把握できなかったのだが、リチウムイオン・バッテリーは、まさに携帯電話のバッテリーのように、目盛りで残りの電気量を知ることができる。

DC HOME APP

しかもスマホで見れるのだから驚きだ。

RENOGY BT-2

このウルトラCを実現してくれるのが、BT-2と名付けられたBluetoothモジュールで、Renogy DC Homeアプリを介することで、システムデータを遠隔で観測することができる。

大きく変わったのは充電方法

さて、再び走行充電器の話に戻ろう。

この製品の最大充電電流は50Aとなっており、なんとこれまでの5倍速で走行充電されるため、200Ahのリチウムイオン・バッテリーが、ゼロからでも4時間ほどで満充電できる計算だ。

ソーラーパネル

しかもマイ・ハイエースにはソーラーパネルが載っている。

コントローラー

本来、ソーラーパネルで発電した電気をサブバッテリーに充電するには、MPPTチャージコントローラーと呼ばれる機器が必要だが、なんと「DCC 走行充電器12V 50A」はそれを内蔵しており、配線するだけで使える。

ただこれには「落とし穴」がある。

「DCC 走行充電器12V 50A」は、ソーラーパネルから同時充電をする場合、最大の合計充電電流は50Aのままだが、ラインは各25Aまでに制限される。

ということは、100Wしか発電しない筆者のソーラーパネルでも、走行充電が25%に押さえられてしまうので、逆にロスを生む結果になるわけだ。

そこで解消策として、走行充電オンリーとソーラー発電併用の切り替えスイッチを追加で設置してもらった。

こうすることで、取材時は50Aの走行充電をフルに活用し、自宅にいてクルマを使わない時はソーラーから充電するという、意図的な2Wayが可能になる。

もちろん電気オンチな筆者に、こんな高度なことが思いつくはずはなく、これは元パナソニックの電気技師のアドバイスで実現した(笑)。

電源サイト

こうなってくると、外部充電は必要か?という話になる。

RENOGYには走行充電器と同様に、外部充電器でも最大60Aの高電流が使える、高機能モデルがあるのだが、団地住まいの筆者は、それを自宅で使えないため、云ってみれば「宝の持ち腐れ」になる。

ということで、今回の改修でソーラーのコントロールチャージャーと外部充電器がシステムから外され、その空いたスペースにちょっとサイズの大きなリチウムイオン・バッテリーと走行充電器を押し込んでもらった。

ただ、もともと外部充電機能は搭載されているので、電源が使える施設に行ってコンセントを繋げば、車内の電気は外部電源に切り替わる。

RVパーク由布院

由布院RVパークのように、電源代込みの施設なら、それでも損をした気分にはならないだろう(笑)。

さて。まだここで話は終わらない。

最後にサブバッテリーの載せ替えが、高く付く理由を説明しておこう。

サブバッテリー配線工具

リチウムイオン・バッテリーを使うと、走行充電器から50Aもの高電流が流れるため、まずほとんどのキャンピングカーは、従来使われていたケーブルは細すぎて発火の恐れがある。

ゆえに22sqの極太ケーブルと入れ替えしなければならないのだが、この配線が大変らしい。

工具

筆者のハイエースも一部の家具を外し、ケーブルを通すための穴をあけるなど、余計な手間をかけている。

(有)育生モータース

作業してくれた肥田さんは、「まだその程度で済んだ」と笑いながら話してくれたが、中には家具をほとんど解体しないとできないクルマもあるらしい。

そのため見積りをもらうには、一度業者さんにクルマを見てもらう必要がある。

面倒だが見返りも大きいので、覚悟を決めてぜひチャレンジを(笑)。

(有)育生モータース

筆者のクルマを改修してくれた肥田さんが経営する(有)育生モータースの情報は、以下の記事に載せている。

京阪神在住の方なら、ここにお願いすることが可能だ。

実際の車中泊におけるバッテリーの消費と充電状況

大阪南港フェリー

今回のリチウムイオンへのサブバッテリー載せ替えは、2021年の年末から年始にかけての九州取材旅に間に合わせるべく、突貫工事でお願いしたため、工場からクルマが戻ってきた翌々日に出発。

まったくテストもできないまま、本番突入となった。

そこで取材旅2日目のバッテリー消費状況と、翌日の充電状況をチェックしてみた。

ハウステンボス

この日は夕方にハウステンボスを訪ね、日没後に夜景を撮影した後、早々にクルマに引き上げ、佐賀県の道の駅山内まで移動。

てっちり

夕食は新門司到着後に下関まで船で戻り、手に入れてきたフクで「てっちり」を囲んだ。そのため、パックご飯を雑炊用にレンジでチンしたり、屋根の換気扇をまわしたり、といつもより多めの電気を消費。

プラズマクラスター

車内に匂いが残らないよう、夜はプラズマクラスターをずっと使用(笑)、もちろんFFヒーターと冷蔵庫も稼働しっぱなしだ。

車中泊

そして早朝は、いつもどおり5時には目覚めてパソコンを起動。

これで迎えた朝8時のサブバッテリー残量がこの数字になる。

サブバッテリー

日によって多少前後するものの、筆者の場合は200Ah(アンペア・アワー)の容量を搭載したサブバッテリーの、20%~30%が冬の車中泊の1泊で消費されることが「初めて解った」。

これを分かりやすいWh(ワットアワー)に換算すると、

100Ah✕12V✕2÷0.3=720Wh

すなわち720Wの家電を1時間使い続けているのと同じで、以下のポータブル・バッテリーならほぼ丸々無くなる計算だ。

そして次の目的に到着した、約1時間後に再度バッテリーの残量を測定。

サブバッテリー入門

わかっていても「思わず、マジッすか!」と声が出た(笑)。

わずか1時間の走行充電で、前夜に消費した電気を完全回復。

計算上2400Whをゼロから4時間で満充電にできる、RENOGY社の高性能走行充電器の性能は確かだった。

この間、ソーラーパネルからの充電は遮断しており、想定通り旅の途中では、もはや不要だと思う。

替えて正解。これが後10年も続くなんて夢のようだ。

(有)育生モータースの肥田さん、的確な助言と確実な工事をありがとう!

サブバッテリー入門 

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