この道25年の現役のクルマ旅専門家が提唱する、「車中泊の本質」「車中泊の流儀」「車中泊の定義」の3つの話を、分かりやすくまとめてご紹介。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド
この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。
~ここから本編が始まります。~
車中泊を始めるためには、クルマやグッズ、スポットよりも大事な「知っておくべき道理」がある。
酸いも甘いも知り尽くした、
車中泊のベテランが”果たすべき役目”
今の車中泊市場は”新規参入企業”の狩り場
今、Googleで「車中泊」と検索すると、上位には自動車関連会社・車中泊スポット斡旋会社、マスコミ、さらには自動車保険会社等々の、近年になって外部参入してきた「企業サイト」が軒を連ねている。
Googleがアルゴリズムを変更したことにより、ネット広告収入目当てのブロガーやYoutuberのサイトが没落し、多少は信頼感の持てる情報が得やすくなったことは確かだが、それに取って代わった大半の企業の目的も”物販”で、車中泊の”解説”はそのために用意されたものにすぎない。
ゆえに「車中泊の基本」にあたるコンテンツは、どれも”オマケ”の域を出るものではなく、決まって軽々しく、代わり映えがしないのは当然だ。
そこには、「ユーザー目線」に立つ見解は”皆無”に等しい。
典型的な事例が「道の駅」での車中泊だ。
日々の道の駅では、圧倒的多数の旅行者が問題なく車中泊をしているにもかかわらず、数字にもならない僅かな”常識外れ”を盾に、その実態には触れようともせず、逆に大多数が利用してもいない”車中泊のための施設”を、不自然なまでにアピールしてくる。
ただ肩を持つわけではないが…
ウェブサイトや動画コンテンツの制作者の中には、そのことを重々承知している人たちはたくさんいる。
筆者も長年その立場にいたし、現役でいる以上はオファーがあれば当然受ける。
そしてその場合は、クライアントの意向があれば、クレームを回避するために同じような内容にせざるを得ない。
しかし、そのために本当は悪くもないのに、道の駅で車中泊をしている旅人が、”なんとなく肩身の狭い想い”を背負わされているのは、紛れもない事実だ。
真っ当な企業を尻込みさせているのは、前述した外部から新規参入し、”既存の常識を打破したい企業”と、隙あらばそれに乗っかろうとするマスコミとSNS投稿者たちで、彼らが道の駅で実際に起こったマナー違反の様子を必要以上に書きたて、いかにもそれが頻繁であるかのように「世間」を扇動している。
その結果、私利私欲がうごめく車中泊の世界では今、「仮眠はいいが車中泊は禁止」という、信じられない「ダブル・スタンダード」がまかり通ってしまった。
「仮眠休憩OK」が、”トラックの車中泊”を意識した”逃げ道”なのは明白だ。
それもあって、さすがに露骨すぎる「車中泊禁止」は、今はほとんどの道の駅で撤回され、「宿泊目的」と置き換えられてはいるが、この表示を見れば車中泊をするしないにかかわらず、「車中泊=宿泊」と受け取る人が出るのは当然だろう。
しかしこんな馬鹿げたことは、”ちょっとネットを見てから”道の駅で車中泊をしてみれば、誰だってすぐに気がつくわけで、日本ではそういうのを、昔から「子供騙し」と呼んでいる。
釣り業界との対比でわかる「顧客満足(CS)」
同じような事例で説明すると、この話はもっと分かりやすい。
釣りの世界で、もっともポピュラーなフィールドといえば「波止場」だ。
「波止場」は本来、波を防いで船を停泊させ、荷物の揚げおろしの通路にも使われる”公共の港湾施設”で、釣りをする場所という概念はなかったが、今では一部の例外を除き、そのほとんどが釣人に無料で開放されている。
そして何より、テレビや雑誌でも「波止場」で釣りをするシーンが”当たり前”のように取り上げられ、サビキ釣りにやってきた家族連れは、何の罪悪感も持たずに糸を垂れることができる。
釣りの世界にも有料の「フィッシングパーク」や「海上釣り堀」といった施設があるが、それらは「波止場」にはない付加価値を有している。
「顧客満足(Customer satisfaction)」というのは、アメリカで1980年代から使われ始めた概念で、生産者主導であった商品の質・方向性などを、消費者の要望や嗜好を反映するものに置き換えようとすること。
その時代にサラリーマンをしていた人なら、一度は耳にしたことがあると思う。
ここでは”ユーザー目線”という言葉に置き換えたほうが、わかりやすいかもしれないが、筆者が云いたいのはそこだ。
波止釣りにも、ゴミの投げ捨てや放置、また現地の水道で魚を捌くなどのマナー違反行為は指摘されているが、釣りそのものを規制する話はほとんどない。
「顧客満足」の観点に立てば、最大の釣り場を守るというのは業界全体の使命だが、いっぽうでは企業の存続を揺るがしかねない大問題だ。
ではなぜ、同じようにならないのか?
筆者の見立てでは、少なくても車中泊旅行者の過半数は、RVパークではなく道の駅で車中泊をしている。
「釣り業界」のように、これまで市民権を得てきた「道の駅での車中泊」をきちんと担保したうえで、さらなる快適化と利便性を求める旅行者への有料サービスとして、RVパークや軒先パーキングを用意していくのなら話はわかる。
だが現実は、「道の駅からの完全移行」を目指しているように受け取れる。
これまでタダでできていた道の駅での車中泊が禁止されれば、旅行者は有料施設に行くしかなくなるわけで、車中泊業界がこぞってその受け皿を用意することは、”大義名分”を持つ大きなビジネスチャンスになることは確かだ。
しかし、果たしてそれが「民意」なのか?
筆者には、その前にしなければならないことがあると思っているし、このままではユーザー不在の「欠席裁判」の判決がくだされてしまいかねない。
酸いも甘いも知り尽くした、車中泊のベテランが”果たすべき役目”
時代や世代が代わろうとも、
車中泊を始めたいと思う人たちが、最初に知るべきことは”車中泊の本質”だ。
それをしっかり理解すれば、周りからとやかく云われなくても、自らモノとコトの良し悪しを判断できるようになるし、業界のおかしな動きにも敏感になれる。
逆にそこをウヤムヤにしてしまえば、市場のコントロールは”思うがまま”だ。
とどのつまり…
パイオニア世代から受け継いできた”自由奔放な車中泊”を、「伝統」に変えて次世代へと伝えていくことができるのは、その酸いも甘いも知り尽くしている、ベテランの域に入った車中泊の旅人しかいない。
そんな彼らに、道の駅の件を聞けば、口を揃えてこういうはずだ。
トラックが道の駅で寝ている以上、キャンピングカーを筆頭とする車中泊旅行者に、同じことを認めないというのは、明らかな「車種差別」だ。
だがその年代は、総じて日進月歩のネット社会にはついていけず、大半はフェイスブックが関の山…(笑)。
それでは、分かっていても多くの人に真実を伝えることは難しい。
というわけで、ここから先はその「代弁者」になるとしよう。
同年代の皆さん全員が筆者と同じ意見だとは思わないが、車中泊を健全なかたちで後世に伝え残したいという「想い」は、たぶんそう大きく違わないと思う。
人生のカウントダウンがチラついてきた我々が、息子や娘、さらには曾孫の世代に残してやれるのは、”個人的”な資産だけではあるまい(笑)。
車中泊の「本質」は、”アレ”のための”宿泊手段”
”車中泊を楽しむ” みたいなキャッチフレーズをよく見かけるが、元々車中泊は釣りや登山、あるいはサーフィン、スキーといったアウトドアを楽しむ人達が、宿泊施設のないフィールド近くに逗まるための”宿泊手段”として活用してきたもので、本来は楽しむ対象となる”主役”ではない。
もちろんそれは、いわゆる「旅」においても当てはまる。
つまり車中泊は、”楽しむ”と云うよりも、”出先に応じた宿泊の快適化”を図る対象と云うほうが的を得ている。
極論すれば…
車中泊が楽しみたい人は、”自宅のガレージでどうぞ”だ。
ゆえに、岡田監督にとっては”優勝”を意味した、あなたにとっての「アレ」がはっきりしてこそ、その”宿泊手段”である「車中泊」の目指すイメージも鮮明になり、それに相応しいクルマも見えてくる。
後述するが、アウトドアに適した「車中泊」と、旅にマッチする「車中泊」は、必ずしも一致しない。
その根幹となるクルマが、今乗っているから、デザインが好きだから、安いから…
”お試し”ならいいとしても、そんな理由で続けられるほど、「車中泊」が簡単なものだとは思わないほうがいい(笑)。
車中泊なら、やりたいことが今よりもっと楽しめる!
これは筆者が著書「ミニバン車中泊バイブル」の冒頭で用いたキャッチフレーズだが、「車中泊」の前に大事なのは、”やりたいこと”だ。
そして、それが自覚できている人の「車中泊」が長続きする。
いずれにしても「車中泊」を始めるには、最低でも万円単位の投資が必要になるので、それを無駄にしないためにも、こういう話を先によく読んでいただきたいと願っている。
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車中泊には2つの「流儀」がある。
これは「フットボール」に例えるのが、一番わかりやすいと思う。
ウィキペディアの説明によると
フットボール(英: football)は、程度の差はあるが、得点するために指定された相手陣地のゴールにボールを蹴り込む要素を含むチームスポーツの総称である。
つまり、「サッカー」も「ラグビー」もひとことで云うと「フットボール」になるわけだが、それぞれが明確に異なるルールと競技場を持っている。
ここから先は、前述した車中泊の本質とも関連しているのだが、「車中泊」にも同じことが云える。
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これが正しい、車中泊の「定義」
車中泊とは、時間帯にかかわらず「車内で調理済み食品を食べたり、寛いだりしてから、眠って目覚めるまでの行為」を意味し、途中に夜を挟んでもかまわない。
現状を考えると、道の駅を筆頭に、SA/PA・24時間利用できる有料、無料の駐車場、さらにはオートキャンプ場・RVパークにいたる、すべての場所での車中泊の定義は、こうしておくのが妥当だと思う。
ただ、国土交通省は「車中泊」という言葉がお嫌いなようで(笑)、それをわざわざ分かりにくい「仮眠」という言葉に”翻訳”しているだけだ。
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さて、最後に…
人によっては、「車内での調理」が気になるかもしれないが、それは車内で食べられる食事の”オプション”と考えるほうがスッキリする。
8ナンバーをつけた日本政府公認のキャンピングカーは、車内にシンクと調理機器の搭載が義務付けられており、中で煮炊をすることがオフィシャルに認められている。
また大半は換気扇をつけているので、中で火器を使っても酸欠になる心配はないし、近年はリチウムイオンの高性能サブバッテリーが普及し、電子レンジで調理を済ませることも容易だ。
よって筆者の見解は、道の駅でもサービスエリアでもOKなのだが、そのコンセンサスが施設側から得られているわけではない。
もちろん温かい食事を車内で食べる方法は、「車内での調理」以外にもあるわけで、それは8ナンバー車以外の車中泊旅行者でも利用はできる。
しかし万人が望むものではないことから、ここでは”オプション”と位置づけた。
いずれにしても…
かねてから求められているのは、車中泊旅行者との折り合いがつけられる、道の駅での車中泊に関する妥協線を、誰がどこに引くかだろう。
食事の問題にかかわらず、車中泊を定義するうえで、最大の解決すべき点はそこにあるのは明白だが、その立場にいるのが筆者でないことも明らかだ(笑)。
業界にやる気がないのだから、大きなクラブが協力して、労組みたいに国交省と団体交渉でもするとおもしろい。
マスコミへのインパクトは絶大で、彼らの旗色も明確になるだろう。
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