車中泊旅行歴25年の現役のクルマ旅専門家が、13年にわたって愛用していたボンゴフレンディーのポップアップルーフについて、詳しく解説しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド
この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。
~ここから本編が始まります。~
画期的だった電動開閉式の、ジャイアント・ポップアップルーフ(AFT)
車中泊の世界では、もはや「伝説」とも呼ばれるマツダのボンゴ・フレンディー「オートフリートップ(AFT)」は、多くのファンに惜しまれながら、2005年の12月にその生産を終了した。
それから20年近く経てしまった現在は、フレンディーに限らず、ポップアップルーフ車をナマで見ることは珍しい。
ごく稀にはなったが、フレンディーAFTの中古車を見かけると、目を疑いたくなるようなそのプライスに驚くばかりで、筆者は絶対に勧めない(笑)。
間違いなく今は、同じポップアップルーフ車でも違う選択肢がある。
さて。
ここからは、エポックメイキングと云われたボンゴ・フレンディーAFTがいかに優れていたかの昔話になるが、どちらかといえば、ユーザーよりビルダーに見てもらうほうがいいかもしれない(笑)。

その名の通り、すべてがジャイアント
「ジャイアントルーフ」と呼ばれるフレンディーのオートフリートップは、屋根が上がる角度が際立って高い。
それは居住空間の確保だけでなく、屋根に雪が積もってスプリングに負荷がかかることの防止にも一役買っていたようだ。
スペースはセミダブルベッド程度で、大人2名なら余裕、幼い子供なら3人で寝ることも可能だった。
ただし床は板なので、筆者は純正オプションの薄いウレタンマットを使用していた。
またポッアップルーフの魅力は、そこで寝られることだけではない。
写真のような広大な網戸が、外気を車内にふんだんに取り込んでくれるため、夏でも中は驚くほど涼しい。
まあ、ここまでは筆者が言わなくても分かるだろう(笑)。
床板も屋根と平行に持ち上げられる
そこで、今度は経験者でなければ気づかないポイントを挙げよう。
実は、フレンディーはAFT部分の「床」を持ち上げることができる。
そうすると圧巻のヘッドクリアランスが確保できるだけでなく、車内で立って着替えることができる。
車中泊をすればわかるが、車内で普通に立って着替えができるというのは、想像以上にありがたい。
しかも運転席上のスペースがちょうど「棚」のように使えたため、車中泊時にはそこに荷物を置くことができ、ベッドスペースを広々と使うことができた。
この写真は2008年の北海道の取材時の荷物量だが、これを積んだまま車中泊ができたのは、バックドアキッチンとこの屋根裏部屋があったおかげだ。
1Fは居間を兼ねた寝室。さきほどの荷物を積みながら、ここまでスッキリ片付けられるミニバンはたぶん他にはない。
それでもキャンピングカーとは違って「お座敷」状態なので、膝への負担が大きく、歳をとるにつれて辛くなった。
車中泊のための純正オプションが充実
前述した床の専用マットも、純正オプションとして用意されていたものだが、冬は写真のようなキルティングのインナーカーテンをAFTの壁に内から吊り下げることができるため、寒さをほとんど遮断できた。
ポップアップルーフ車の購入を検討している人は、こういった付帯機能やオプションの有無をよく確認するほうがいい。
ただ寝られて涼しいというのでは、晩秋から春までは使えない可能性もある。
最大の欠点は出入りの面倒さ
今度はマイナス要件について話そう。
フレンディーのAFTは、床の中央に出入り口があり、寝る時はそれを塞いで、その上に横たわる。
そのため夜トイレに行きたくなったら、隣で寝ている家族にも起きてもらわなければならなかった。
濡れたまま放置するとカビが生える。
天敵はカビ。
夜中に雨に降られ、乾かないうちに屋根を閉めて走り、そのまま天日干しを忘れてしまうと、夏は内側にカビが生える。
カビキラーで消すことはできるが、長い間塩素系の匂いが残った。
騒音がよく聞こえる
また道の駅やサービスエリアでは、わざわざ横にトラックが来て一晩中アイドリングをするなどの「嫌がらせ」を受けたことも一度や二度ではない。
これは、ポップアップルーフ車を買うなら、覚悟しておいたほうがいい。
そんな時は、100円ショップで買った耳栓で怒りを抑えてきた。
ただ、今はもう耳が遠くなってさほど気にならないかもしれない(笑)。
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