車中泊歴25年の現役クルマ旅専門家で、12年間愛用のハイエース・キャンピングカーに乗り続けている筆者が、実体験に基づくキャンピングカーへの乗り換え時に役立つ情報を発信しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド
この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。
~ここから本編が始まります。~
今よりもっと、車中泊のクルマ旅を楽しみたい中高年に贈る、キャンピングカーの基礎知識
キャンピングカーの基礎知識
キャンピングカーの定義
ほんの10年ほど前までは、キャンピングカーと云えば「ライフラインのない湖畔や河川敷でも、快適に寝泊まりができる装備を有した車両」を意味する言葉だった。
しかし今Wikipediaを見ると、キャンピングカーは「寝泊りできる設備を備えたクルマの日本での呼称」と書かれている。
確かに現在の日本は、キャンプの経験がなくても、日帰り温泉施設で入浴を済ませて食事は外食、そして既に1200件を越える道の駅の駐車場とトイレを利用しながら、クルマをテント代わりに旅を続けることが容易にできる国だ。
そうなると「車中泊ができるクルマ」であれば、キッチンやトイレが備わっている必要はなく、軽装備でコンパクトなクルマが求められるのは自然の成り行きと云える。
さらに業界もそれに応じて、キャンピングカーの概念を再構築しつつある。
RV協会では、この傾向を「キャンピングカーのSimple & Light 化」 と呼んでおり、本格的なキャンプ旅行や、ヘビーデューティーな環境にも耐えられる重装備のキャンピングカーから、「車中泊」 をメインとした気軽な感覚のキャンピングカーへと、マーケットが移行していると分析している。
8ナンバー車
ここで法律に目を向けてみよう。
今でも「道路運送車両法」の特種自動車の使用目的3-4には、「キャンプまたは宣伝活動を行うための特種な設備を有する自動車」(キャンピング車)としての細かな規定が設けられたままで、2024年1月時点では、未だ「マーケットの移行」はまったく反映されていない。
とはいえ、それをクリアした車両は8ナンバーに区分されるため、便宜上わかりやすく、8ナンバーをもってキャンピングカーとするという見解は今も根強い。
そこで、いわゆるバン(1または4ナンバーの貨物車)と8ナンバー車の違いを、以下の記事に分かりやすくまとめておいた。
2つに分けられる利用者のニーズ
では実際のところの、車中泊における「使い勝手」はどうなのか?
筆者はこの25年間で、3ナンバーのミニバンから、4ナンバーのハイエース、そして8ナンバーのバンコン・キャンピングカーへと乗り継いできただけに、その違いをリアルに知っている。
結論から云うと、快適車中泊を望むユーザーのニーズには2つの流派がある。
モーターホーム派
文字通り「動く家」(笑)。
エアコンや電子レンジに加えてトイレも搭載し、ライフラインのない場所でも自宅と遜色なく過ごしたいという、いわば「別荘」感覚のニーズだ。
当然それにマッチするのは、8ナンバー登録されたキャブコンあるいはバスコンと呼ばれる、大型の「見るからにキャンピングカー」という車両になる。
ただ筆者は財政面も含めて、こちらのニーズを持ち合わせていないので、これ以上詳しい話は書けない(笑)。
「にわか知識」で語れるほど、この世界が甘くないことは知っている。
よって、こちらに興味のある人とは「ここでお別れ」だ。
オートパッカー派
筆者が持ち合わせているのは、機動性を重視し、車内よりもフィールドに「寛ぎの空間」を求めたいというニーズで、もともとテントキャンプをしていた人に多い。
分かりやすく云えば、クルマは「家」ではなく「テント」代わり。
その意味では「車中泊」の原点に近いとも云えるだろう。
ベース車は荷物の搭載性に優れたバンを改造したものが理想的で、スタンダードは、やはりハイエースということになる。
筆者はそれを「オートパッカー」と定義づけ、自由奔放に広がる可能性を25年にわたって追求してきた。
そして辿り着いたクルマが、最終進化系とも呼ぶべき「モーターホームの利便性」まで兼ね備えた、現在のハイエース・ナローサイズのバンコンだ。
購入後に様々な改良を加え、最長では夫婦で2ヶ月間に及ぶ長期の取材旅を支えてくれた「正真正銘のプロモデル」である。