車中泊旅行歴25年の現役クルマ旅専門家が、冬の車中泊の暖房器具として有効な電気毛布選びの留意点を解説します。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド
この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。
~ここから本編が始まります。~
車中泊の寒さ対策は、「暖房」より「防寒」
必要なものが勢揃い! 楽天市場の「車中泊グッズ」大特集冬の車中泊の冷え込みには、「合せ技」で対処する
冬の車中泊には、「冷え込み」「凍結」「積雪」の”3つの壁”が立ちはだかる。
中でもいちばんの難敵が、安眠を妨げる「冷え込み」だが、いくら大容量のポータブルバッテリーができたとはいえ、まだセラミックヒーターを長時間使うのは難しく、普通車による車中泊では、「暖房」よりも「防寒」が重要になる。
長くなるので、ここでは電気毛布に関連する内容にスポットを当てているが、車中泊の寒さ対策の総合的で具体的な話は、以下の記事にしっかりまとめているので、のちほど合わせてご覧いただきたい。
ここには、書籍にもなった「百戦錬磨」の寒さ対策の、”最新版”が記されている。
車中泊では電気毛布を「敷物」として使うのがベスト
さて。
ひとことで車中泊といっても、クルマの広さや仕様によって、車内での過ごし方は違ってくるが、ここでは”多少は車内で寛いでから眠る”という人に向けた話をしたい。
筆者は夫婦で旅をすることが多いので、ダブルサイズの電気毛布を、もっぱら「敷」にして、ホットカーペット代わりに使用してきた。
理由はクルマの「底冷え」を抑えることと、そもそも、熱には上昇する性質があるため、電気毛布は敷いて使うほうが暖かく使えるとされているからだ。
さらに
①電気毛布のヨレとズレの防止
②ヒーター線の重なりやよじれの防止
③汗や食べこぼしによる汚れの防止
④毛布の毛玉の防止
などを回避するため、電気毛布の上にフリースブランケットを重ねていた。
実際にやってみれば分かるが、電気毛布をビニール素材のマットの上に敷いて寝ると、簡単に滑ってズレるし、シュラフの中に敷いて寝ると、寝返りするうちに中でヨレて、全身に暖が回りにくくなる。
マットを縦横から巻き込める大きなフリースブランケットは、それを予防するのに最適といえるアイテムだ。
そして寝る時には、封筒型のダウンシュラフを広げ、布団のように上から掛ける。
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さらに寒い場合は、その上にもう1枚フリースのブランケットを掛けるといい。
ダウンシュラフは身体に直接に掛けて、ダイレクトに熱を伝えるのがセオリーだ。
時期や場所さらには天候によっても、寒さの度合いが異なる車中泊では、それに対応できる「レイヤー(重ね着)」発想が求められる。
ここまでの対処で足りない場合は、ユニクロの冬の大ヒットインナーとなった「ヒートテック」や、フリースのウェア、さらにはキャップを身にまとおう。
何度も登場しているフリースは、繊維と繊維の間に空気の層が保てるよう起毛処理されており、空気の層が身体から発せられる熱を保ち、外からの冷気を遮断するため、暖かさを維持してくれる。
しかも速乾性で汗を吸わないため、コットンTシャツやスウェットのように、湿って冷たくなることもない。
電気毛布は、ポータブルバッテリーでどのくらい使えるの?
ところで。
電気毛布が使える時間は、電気毛布の消費電力と、使用するポータブルバッテリーの容量で決まるのだが、まず電気毛布を使用したいのなら、このくらいの容量があるポータブルバッテリーを用意したい。
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この製品なら、消費電力60Wの電気毛布を、単純計算でも10時間は稼働できる。
続いて電気毛布だが、基本は掛け敷き・丸洗いOKの130センチ幅をお勧めする。
ただコンパクトカーや軽自動車で、運転席側を全面フルフラットにしない場合は、80センチ幅でも十分だ。
長さは、いずれも180センチ以上ある製品が望ましい。
廉価品は160センチが多いので、サイズを最初によく確かめることが大切だ。
サイズの次にチェックしたいのが、「消費電力」と「機能」。
電気毛布の中には、「速暖機能」付きで120Wといった高規格なモデルもあるが、車中泊でホットカーペット代わりに使用するとなると、10時間以上稼働させることが想定されるため、「省エネ」を最重要視するほうがいい。
そうなると60Wのこの製品は魅力的で、電気毛布の出力を弱めれば、消費電力はさらにもう少し下がるだろう。
また現在の電気毛布は、大半にタイマー機能が搭載されており、一定時間が過ぎると自動でオフになるが、この製品は最長設定が8時間となっており、夕方から使用しても、寝る前に一度リセットしてしまえば、翌朝起きるまで切れる心配はない。
なお、最近話題の「蓄電式の電気湯たんぽ」が気になる人には、こちらも合わせてご覧いただきたい。
ただ省エネ目的で利用できるアイテムは、ごく一部に限られている。
電気毛布の使用上の注意点
最後に、電気毛布の使用上の注意点を記載しておこう。
その筆頭は就寝中の「低温やけど」だ。
電気毛布の中には「強」で使用すると、表面温度が50℃前後に達するものがある。
起きている時は大丈夫だと思うが、就寝中に長時間にわたって、身体の同じ部分が触れ続けると、「低温やけど」を発症する可能性が生じる。
それを避ける秘訣は、電気毛布に頼りすぎないことだ。
すなわち、前述してきた「レイヤー」をうまく使って、設定値を安全な「中」以下に保ち、電気毛布が発する温もりをできるだけ逃さないようにすればいい。
もうひとつは「脱水症状」。
これは冬の車中泊では極めてレアケースだと思うが、電気毛布を使用する場合は、念のため手が届くところにペットボトルの飲料を置くなどして、喉の乾きに速やかに対応できるようにしておくと安心だ。
車中泊のクルマ旅を快適化してくれるアイテム
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