車中泊旅行歴25年の現役クルマ旅専門家が、冬の車中泊の暖房器具として蓄電式の電気湯たんぽが有効かどうかを解説しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド
この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。
~ここから本編が始まります。~
「蓄電式の電気湯たんぽ」は車中泊には不向き。「電気毛布」のほうが圧倒的に適している。
最大の難点は、蓄電されると同時に発熱するため、自宅で充電してから出かけられないタイプが多いこと。
「蓄電式の電気湯たんぽ」は、想像よりはるかに電気を消費する。
必要なものが勢揃い! 楽天市場の「車中泊グッズ」大特集最大の難点は、蓄電されると同時に発熱するため、自宅で充電してから出かけられないタイプが多いこと。
日本の伝統的暖房器具とも呼べる「湯たんぽ」は、筆者の世代で知らない人はまずいない、子供の頃からの馴染みの品だ。
自宅はもちろん、キャンパーならフィールドで、また車中泊の旅人も車内で一度や二度はお世話になったことがあると思う。
ただ特にクルマの中では、大量のお湯を沸かすのが厄介なので、筆者は早々に使うことをやめていた。
だが近年は、この「蓄電式の電気湯たんぽ」が人気というので、改めて着目してみることにした。
なるほど確かに、「蓄電式の電気湯たんぽ」は短時間で蓄電ができて、持続時間も長く、安全性にも優れていることから、それを理由に「車中泊に最適!」と、素人車中泊ブロガーは騒ぎ立てているようだ。
だが家電である以上、今も多くの車中泊旅行者に愛用されている「電気毛布」と、使い勝手を対比しない人がいるだろうか?
これから車中泊を始める人にとって、「電気毛布」が使える容量のポータブルバッテリーを、いきなり買うのは勇気が要る。
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であれば、使ったことがなければ
あらかじめ自宅で充電しておき、持参して夜寒くなった頃合いを見計らって、「蓄電式の電気湯たんぽ」のスイッチが入れられるほうがありがたい。
そう考えるのは、想像に難くない。
だが、現実は違う。
世の中の大半の「蓄電式の電気湯たんぽ」は、蓄電というより「蓄熱液」を電気で温めるだけで、バッテリーがあるわけではなく、すぐに発熱が始まってしまう。
家の中ならそれでかまわないが、車中泊の場合は移動中に発熱して、肝心の床につく時間帯には冷たくなってしまうため、「電気毛布」の代替えにはできない。
ということは、寝る前に蓄電しなければならず、どのみちポータブルバッテリーが必要ということになる。
それなら、圧倒的に暖房できる面積の広い「電気毛布」を選ぶのは当然だ。
ちなみに「電気毛布」の良し悪しについては、以下の記事にまとめている。
「蓄電式の電気湯たんぽ」は、想像よりはるかに電気を消費する。
「蓄電式の電気湯たんぽ」は、一見すると「省エネ」のようだが、蓄電時にはけっこう電気を消費している。
この製品は蓄熱に要する電力は300Wだが、正直なところ生ぬるい。
いっぽう、カバーなしで「熱い!」と感じるこの製品は、420Wを消費する。
一般的なシングルサイズの「電気毛布」は消費電力が50W程度なので、比べると実に8.4倍だ。
ただし1回あたりの蓄電時間は15分ほどで済むため、1時間に換算すると105Wの消費になり、電気毛布2時間分と大差はない。
それで8時間持てばいいが、もし4時間程度で冷えてくれば、夕方から朝まで3度蓄電しなければならず、300Wh以上の容量があるポータブルバッテリーでないと心細い。
420Wの家電が動かせて、300Wh以上の容量を持つポータブルバッテリーとなると、そこそこ本格的だ。
だが、やっぱり「電気毛布」に切り替えたいとなると、結局は前述した「EcoFlow RIVER 2 Pro」クラスが欲しい、ということになってくるだろうし、その可能性はけして低くはないと思う。
こういうシミュレーションもないまま、電化製品を使う冬の車中泊を語るのはいかがなものか…
そもそも…
車中泊で使う家電を紹介するには、ポータブルバッテリーのことをそれなりに勉強してからでないと、正直云って役不足だ。
加えて豊富な冬キャン経験のある人間は、車中泊といえども、極寒の辛さを心得ているので、迂闊なことは云わない。
所詮「他人ごと」だから無責任になれる。
だがGoogleは、そういうサイトでも平気で上位に表示している。
使うとしたら、このタイプ。
ただ、すべての「蓄電式の電気湯たんぽ」が使えないというわけではない。
この製品は、構造上からいうと「湯たんぽ」というよりは「電気毛布」に近いのだが、内蔵可能な小さなポータブルバッテリーから送電できるため、現地に着いてから暖房を開始できる。
さらに付属のUSB延長コード(白いコンセントは別売)を使えば、ポータブルバッテリーに繋ぎっぱなしでも使用でき、消費電力はたったの10W/1時間で済む。
しかもここまでコンパクトで軽量。
すなわち、これまで紹介してきた「蓄電式の電気湯たんぽ」の欠点をすべて解消する意味では画期的だ。
ただ、暖房器具としてはいささか非力で、温もりは使い捨てカイロ程度でしかない。
とはいえ、ポータブルバッテリーの電力を節約するため、床につくまでの時間を、座布団や湯たんぽ代わりに使うには重宝だ。
また冷え込む季節に、夜景や雲海を撮影したい人には、指先とともにバッテリーを温めるのにも有効だと思う。
手足の冷え性に苛まれている筆者は、どちらかといえばそれが目的で購入した。
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