車中泊旅行歴25年の現役のクルマ旅専門家が、道路休憩施設と野外宿泊施設以外での車中泊について詳しく解説しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド
この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。
~ここから本編が始まります。~
過去に利用できたからといって、次もまたそこで車中泊ができるとは限らない。
道路休憩施設と野外宿泊施設以外の車中泊スポットの上手な活用法
失われた車中泊スポットを”奪還”するために、真っ当な車中泊旅行者ができること
必要なものが勢揃い! 楽天市場の「車中泊グッズ」大特集道路休憩施設と屋外宿泊施設以外の車中泊スポットの「共通点」
最初に、「車中泊」の解釈は人によって異なるため、まずは”筆者が思う車中泊の定義”から説明しよう。この見解が違えば、以下の記事は「このおっさん、何云うてんの?」になってしまう(笑)。
さて、ここからが本論になる。
現在、日本で車中泊が行われている主な場所は、大きく分けると以下の3つだ。
❶道路休憩施設
高速道路の休憩施設(SA/PA/ハイウェイオアシス)・道の駅
❷屋外宿泊施設
キャンプ場・RVパーク
❸その他の駐車場
公園などの無料駐車場・有料無料の観光駐車場・コインパーキング
世の中には❶での車中泊を”グレイ”と見る人もいるが、それが間違いであることは、以下のサイトで論理的に解説している。
❷については、一部のキャンプ場を除いて異論を唱える人はいないと思う。
問題は❸だが、
全部に共通しているのは、アウトドアやレジャー・観光、あるいはショッピングを楽しむ人のために、”駐車場としての必要性”はあっても、その大半に”車中泊客を受け入れなければならない理由がない”ことだ。
ここが❶❷との根本的な違いであり、いくら素晴らしいロケーションにあっても、”周辺住民やホテル・旅館に泊まる利用客に、治安上の不安や迷惑を与えかねない車中泊などお断り”というところが大半…
悲しいが、それが今の「世間の風潮」だ。
いっぽうその中にあっても、車中泊ができる駐車場は在る。
それは①ビジネスとして、車中泊客を受け入れたほうが受け入れないよりメリットがある、②夜景や日の出などを見に来る人のために、善意で受け入れてくれている、③”勘弁ままならぬマナー違反の洗礼”を未だ知らない(笑)。
おそらくそういう駐車場は、この3つのうちのどれかに当てはまる。
道路休憩施設と野外宿泊施設以外の車中泊スポットの上手な活用法
結論から云うと、それはひとえに施設側の意図を汲んで利用することに尽きる。
すなわち、歓迎してくれるところを選び、煙たがられているところは避けることだ。
クルマ旅で日本各地の観光地を周る人は、目指す旅先の近くに車中泊スポットを求めると思うが、まずは「道路休憩施設」か「屋外宿泊施設」を探し、適当なところが見つからない場合に、「その他の駐車場」に視線を移すと思う。
たとえば、
この写真は長野県の乗鞍高原にある観光センターの駐車場で、夜明け前に乗鞍岳の山頂に近い「畳平」行きのご来光バスが出ることから、長きに渡って24時間無料開放されてきた。
「乗鞍観光センター」から約19キロ、クルマで20分ほど離れた国道158号沿いには「道の駅 風穴の里」があるのだが、「畳平」に通じる「乗鞍エコーライン」では、通年のマイカー規制が実施されているため、どのみち「乗鞍観光センター」でシャトルバスに乗り換える必要がある。
それを知れば、「乗鞍観光センター」で車中泊しようとなるのは当然だろう。
しかし、2022年にこの看板が立てられた。
原因は、標高約1500メートルの高原リゾートに位置し、日帰り温泉にも歩いて行けるこの無料駐車場で、山に登るわけでもなく、ただ避暑を貪る車中泊客に業を煮やしてのことだった…
山が好きな人間にすれば、登山の前後に車中泊ができるのはありがたい。
いっぽうゼロ円で避暑を楽しみたい人にも、ここは云うことなしのパラダイスだ。
ゆえに車中泊をする人が誰ひとり、「乗鞍高原観光センター」を悪く云わないのは、考えてみれば当たり前(笑)。
だが、ここで避暑地のような使い方をされると、本当に山頂を目指してやってくる人間には、いつまで立っても駐車場から動かない「ただの迷惑な輩」としか映らないし、当然管理者にもクレームがいく。
人気の無料観光駐車場には、こういった「カラクリ」も潜んでいる。
今はそれを理解し、現地に行く前に施設や利用者の心情を考察することが、「道路休憩施設」と「屋外宿泊施設」以外の車中泊スポットで、嫌な思いをせずに済むための処方箋になる。
具体的には、雑誌やネット上に挙がる車中泊スポットの評価を鵜呑みにせず、候補が見つかったところで、この「法則」を思い起こし、それがいつの話なのかを必ずチェックし、少なくても1年未満の情報を見つけることを心がけてほしい。
自分で云うのも心苦しいが、印刷物には”賞味期限”がある。
「車中泊禁止のプロセス」が繰り返される、根源的な理由
残念なことに…
今は❸の中の車中泊ができる無料駐車場が、どんどん減りつつあるのが現実で、理由は前述したようなマナーの悪さに起因している。
この2枚の写真は、群馬県の草津温泉にある「天狗山第1駐車駐車場(西の河原露天風呂駐車場)」で撮ったものだが、長年にわたって、夜遅く到着したものの、道の駅が満車で車中泊場所に困った旅人を救済すべく、草津温泉当局が善意で無料開放してくれていたのだが、まさに”恩を仇で返すような振る舞い”に対して、ついに”堪忍袋の尾”が切れた。
おかげで今はもうマナーの良し悪しに関係なく、夜は誰も使うことができなくなってしまった。
同じようなことは全国各地で勃発しており、事例を書き出すとキリがないわけで、ベテランの車中泊の旅人は、もう”慣れっこ”になっている。
大事なのはここからだ。
もはやいくら「車中泊のマナー、マナー」と声高に騒いだところで、駐車場で長期滞在したり、キャンプ行為を行う人間が”絶滅”する日が来るとは、世の中の車中泊旅行者の誰もが思っていない。
ゆえに極論すれば、それはポーズだ。
正義の味方を気取りたいマスコミや企業が笛を吹けば吹くほど、心ある旅人の心は離れていくいっぽうだと思う。
実はみんな、もう真相に気づいている。
車中泊のマナー違反がなくならない根源的な理由は、やっても犯罪にはならず、逮捕されることがないからだ。
捕まれば犯罪者となる万引きがなくならないのだから、当たり前の話だろう。
そう考えると、本当に悪いのは誰かが見えてくる…
抜本的にゼロを目指すのなら、法改正して”マナー違反”ではなく”法律違反”にしてくれればいい。
真っ当な車中泊の旅人は、痛くも痒くもないし、むしろ安心して利用できる車中泊スポットが増えてありがたい。
そしてそれをやるのが政治家、させるのは世論を動かせるマスコミの仕事だ。
言うは易く、行うは難し…
それは筆者にも当てはまるがね(笑)。
失われた車中泊スポットを”奪還”するために、真っ当な車中泊旅行者にできること
”奪還”とは、禁止になってしまったところのみならず、そうなりそうなところも含めて、冒頭に記した「過去に利用できたからといって、次もまたそこで車中泊ができるとは限らない。」という話を覆すこと。
言い換えればそれは、大企業とマスコミが大好きな「サステナブル(持続可能な)」がつく車中泊スポットにすることだが、実は九州にそれを実現した場所がある。
”奪還”が成し遂げられたのは、大分県と熊本県を結ぶ「やまなみハイウェイ」の途中にある「長者原園地」だ。
要は「十把一絡げ」の車中泊禁止から、「具体的な禁止事項」の明記に方向転換してくれるだけで、多くの車中泊の旅人は救われる。
これは、既に「車中泊禁止」になってしまった車中泊スポットにも当てはまる”特効薬”だが、なかなか管理者は腰をあげない。
「道路休憩施設」は国交省次第なので、その態度ひとつでオセロのように黒が白に変わるのだが、公園などの無料駐車場・有料無料の観光駐車場・コインパーキングは、大半が個別対応になるうえに、”車中泊を認めなければならない理由”もないのだから、埒が明かないのも頷ける。
そこで、個々の車中泊旅行者の出番だ。
といっても、プラカードを持って抗議デモに参加したり、路上で署名活動をしようというわけじゃない(笑)。
ひとつは、SNSで真実を拡散するだけ…
「草津温泉は残念だった」「長者原園地は嬉しかった」と理由を添えて投稿する。
これを多くの人が積み重ねれば、いずれ管理者にもその声は届くはずだ。
管理者が年配でSNSに疎くても、どこにも自分の職場を気遣う若者はいる(笑)。
もうひとつは、まだ禁止されていない、”車中泊の旅の宿に利用価値があると思える無料の車中泊スポット”を、多くの真っ当な旅行者が積極的に利用することだ。
マナー違反を繰り返す人間は確信犯なので、”ひと目”を気にする。
ゆえに常に”穴場”を探しては、徒党を組んでその場所を独占的に使用したがるわけだが、ある日その”隠れ家”に来てみたら、多くの真面目な車中泊旅行者がたくさんいたらどうするだろう。
早い話が、数で上回り、悪事には車内から通報で対処すればいい。
通報先は警察で、「迷惑行為をしている人間がいる」と云えば動かざるを得ない。
それを可能にするには、”穴場”の車中泊スポットを、真っ当な車中泊旅行者に公表するほかあるまい。
真っ当な車中泊旅行者の中にも、”穴場”を知られたくない思いがあるのは分かる。
だが”穴場”を探知するのは、マナー違反を繰り返す確信犯のほうが達者で、彼等はとっくにお見通しだと思う(笑)。
そのため隠していることが、しいては”マナー違反の温床保護”に通じている。
もし行儀の良い旅人ばかりのところで、居心地が悪いと感じるなら、それは貴方も”例外”であることに他ならない。
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