この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
夜間閉鎖となった現在の「天狗山第一駐車場(西の河原公園駐車場)」には、車中泊禁止と明記された注意書きが設置されている。
筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2009.07.26
2010.07.18
2012.08.15
2013.04.26
2015.04.29
2018.10.26
2020.08.11
2022.06.26
天狗山第一駐車場(西の河原公園駐車場)【目次】
「天狗山第一駐車場(西の河原公園駐車場)」のロケーション
「天狗山第一駐車場」は、「道の駅草津運動茶屋公園」から国道292号を草津国際スキー場(天狗山)方面に1キロほど下った、「西の河原公園」の脇にある。
それもあって現在は、「西の河原公園駐車場」に名称変更しようとしているようだが、マップやパンフレットとの整合性と社会的な認知が進むまでは、「天狗山第一駐車場」と併用する意図が感じられる。
またベルツ通りには、同名だが有料の「西の河原公園駐車場」が別に存在するので、混同しないよう気をつけよう。
「天狗山第一駐車場」から、西の河原公園の中を歩いて「西の河原露天風呂」までは約7分、さらに温泉街を抜けて「湯畑」までは約20分で行くことができる。
「天狗山第一駐車場(西の河原公園駐車場)」の施設
以前から草津温泉では「西の河原露天風呂」および「草津国際スキー場」の利用者向けという名目で、収容可能台数300台と草津温泉屈指のキャパを誇る「天狗山第一駐車場」を、24時間無料開放(冬季有料)してきた。
かつては駐車場内にトイレがなく、5分近く歩いて公園のトイレまで行かなければならなかったが、現在は敷地の中に新設されて格段に便利になっている。
ただし、ウォシュレットまでは予算が回らなかったようだ(笑)。
そもそも草津温泉は、「ここでの車中泊がOK」とは一度たりとも明言していない。
しかし「天狗山第一駐車場」が、夜半にやってくるスキーヤーや、道の駅からあぶれた旅人の「受け皿」を兼ねているのは明らかだ。いや明らかだった…
2020年8月更新
お盆前に訪ねてみると、このような看板が立てられていた。
こちらはトイレ。これはどうやら当局も本気のようだ。
観光協会に問い合わせたところ、今回の措置は「新型コロナウイルス対策」の一環だという回答を得た。
だが、それはいつ解除されるかはわからず、当面はこの状況が続くだろう。
なぜなら、もともとここはトイレができる前から、「湯治ごっこ」を楽しむ温泉ファンの「巣窟」とも呼べるような場所だったからだ。
すなわち「コロナ」は、こういう人たちに対する規制導入のための「隠れ蓑」。世間が背中を押してくれるこの機会を逃すほど、草津温泉はお人好しじゃない。
湯治とは…
専門医から入浴方法や体調の維持管理の指導を受けながら、特定の病気や怪我の治療を目的に、長期間(少なくとも一週間以上)温泉地に滞留する医学療法のひとつ。
すなわち、癒しや観光目的の温泉旅とは根本的に異なるものだ。
いくら熱心な温泉ファンだとしても、温泉旅は他人の目にはレジャーに映る。
この人はプロが見ても、その世界の「達人」だとは思うけど、ここでは「道を外している」(笑)。
ただし、まだ「車中泊禁止」とは記されていない。
現在の黄色い看板に書かれた内容は以下の通り。
夜間閉鎖中
21:30~6:30
※駐車場内はキャンプや火器の使用を禁止します。
※駐車場内でのドローンの飛行は禁止します。
※駐車場内のトラブルはいっさいの責任を負いかねます。
※ゴミは必ずお持ち帰りください。
ということは上記に違反しなければ、夜間の出入りとトイレが使用できないだけで、車中泊については咎められないとも受け取れるが、「閉鎖」とある以上、その時間帯にクルマがあるだけで本来はアウトになるという「巧妙な言い回し」だ。
2022年6月更新
コロナ禍からの出口が見えてきたこの年、「天狗山第一駐車場」の規制がどうなったかを確かめるため再訪した。
だが案の定、草津温泉は次なる一手を打っていた。
我々はついに「車中泊禁止」を宣告され、草津温泉での大きなアドバンテージを失ってしまった。
草津温泉に限らず…
温泉地で車中泊による無料滞在が許されなくなるのは時代の趨勢で、頂点に立つ草津温泉の対応は、瞬く間に全国の温泉地に波及していくに違いない。
ただこれからは、有料でニーズに応える施設も出てくると思う。
事実、天狗山第5駐車場には車中泊サイトができているようだ。
また車外にイスやテーブルは出せないが、湯畑に近い一等地にも車中泊が公認されている有料の駐車場がある。
これから車中泊の旅をスタートする人たちには、これが温泉地におけるスタンダードになっていくのだろう。
なお近くにある「道の駅 草津運動茶屋公園」では、今でも無料で車中泊をすることは可能だ。
ただし「天狗山第一駐車場」が車中泊禁止になったため、その情報が浸透するまでは、これまで以上の混雑が予想されるので気をつけよう。
「天狗山第一駐車場(西の河原公園駐車場)」の最寄りの温泉
西の河原露天風呂
☎0279-88-6167
入浴時間: 4/1~11/30 7:00~20:00(入館は19:30まで)・12/1~3/31 9:00~20:00(入館は19:30まで)
定休日: 不定休(12月に休館日あり)
料金: 大人600円・子供300円