「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。

元祖「御座の湯」にあたる「白旗の湯」は、硫黄が香る白濁の湯
草津に来たら、ぜひここには入湯していただきたいと思うのが「白旗の湯」だ。
ただ人通りの多い湯畑の前にあるため、日中は人が多くて落ち着かない。
ゆえに泊まり客しかいない早朝が狙い目。嬉しいことに5時から営業している。
ベンチの横に掲示された由緒を見ると、歴史は古く、源頼朝が1193年(建久4年)8月3日に、浅間山麓で巻狩をしていた時、偶然この地に涌き出る温泉を発見し、入浴したと伝えられている。
そのため、長きにわたり「御座の湯」の名前で親しまれてきたが、1897年(明治30年)に源氏の白旗に因んで「白旗の湯」と改称された。
つまりこの「白旗の湯」が「元祖・御座の湯」になる。
※巻狩
鹿や猪などが生息する狩場を多人数で四方から取り囲み、囲いを縮めながら獲物を追いつめて射止める大規模な狩猟のこと。
ちなみにこちらは、2013年に始まった草津温泉再開発の先陣を切って新築された現在の「御座之湯」で、「白旗の湯」の真横に並ぶように建っている。
前には「頼朝宮」と呼ばれる祠が残る「白旗源泉」があるが、面白いことに現在の「御座之湯」には引湯されておらず、湯畑源泉と万代源泉の2つが使われている。
ややこしい話だが、「白旗源泉」は伝説に忠実に基づき、本来の「御座の湯」こと「白旗の湯」に注がれているわけだ。
裏返せば、配管工事をやり直す予算がなかっただけかもしれない(爆)。
さて。
草津温泉には複数の源泉があるが、その中で白濁しているのはこの白旗源泉だけという声もある。硫黄臭も一番強いようだ。
さきほどの泉源では透明に見えたが、お湯は空気に触れるにつれて白濁する。
浴槽は「あつ湯」と「ぬる湯」の2つあるが、「あつ湯」は46度近くあって簡単には入れない(笑)。
気持ちがいいのは、写真奥の「ぬる湯」だろう。
現在の建物は1992年(平成4年)に建て替えられたものだが、それでも四半世紀が経過している。
浴室内はすべて木造で、ほどよく古びて味わい深い。再開発が進む草津温泉では、もはや「古株」といえる施設になった。
泉質 :酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型)
お湯:源泉かけ流し
お風呂:内湯男女各2
休憩スペース :なし
飲食施設:なし
駐車場 :なし(徒歩5分・湯畑観光駐車場・有料)
シャンプー・石鹸等:なし
ドライヤー:なし
入浴料:無料
営業期間:通年
営業時間:5時~23時(閉館)
定休日:不定休
専用の駐車場はなく、クルマはもっとも近い湯畑観光駐車場に停めるのが戻りやすくてお勧めだが、8ナンバー車はバスターミナルの裏側にある「草津パーキング」のほうが安くつく。
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