この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
雪渓を超えた先に広がる、北アルプスの絶景に感激。
田園風景が続く白馬の山麓から、見上げるように聳え立つ北アルプスの山々。
写真の左から右に下って伸びる八方尾根は、白馬連峰と呼ばれる主峰のひとつ、唐松岳から延びる水平距離約7.5km、標高差約1,900mのなだらかな稜線を指している。
ウインターシーズンには、本州屈指の難度を誇るゲレンデとして、日本はもとより今は海外からも多くのスキーヤーたちがこの地に集うが、高山植物で色づく夏山シーズンの八方尾根も見逃せない。
八方アルペンラインの終点、八方池山荘から標高2,060mの八方池までの約2.5kmは、木道・階段等で整備されたトレッキングルートになっており、「八方尾根自然研究路」の名で親しまれている。
これから、その手軽に日帰りできる風光明媚な山歩きのコースを、写真とともにガイドしよう。
ちなみに、このマップはゴンドラの始発駅になる八方駅で手に入る。名刺サイズほどに小さくたたまれているので見逃さないように。まあ、別になくても迷子になる心配はなさそうだけど(笑)。
自然研究路へのアプローチは、ゴンドラリフト「アダム」への乗車から始まる。
さて。八方アルペンラインとは、八方尾根ゴンドラリフト-アルペンリフト-グラートクワッドリフトの3つを結ぶ経路のこと。
総延長3,445m。標高差1,060mを一気に登り、わずか40分ほどで標高1,830mの第1ケルン・八方池山荘へと運んでくれる。
大人往復2900円… 好天に恵まれれば、きっと安く感じられる。
なお下山後、白馬で車中泊をする人には、白馬八方温泉券付きパック3,350円がお勧めだ。
アルペンクワッドリフト。足元に高山植物を見ながら、涼風の中を進んでいく。
オリンピックのスタートハウスが見えれば、まもなくアルペンクワッドリフトの終点。いよいよガスに煙る白馬の山々が見え始める。
グラートクワッドリフトへの乗り換え道からの光景。ここはお勧め撮影ポイントのひとつだ。
楽チンで眺めの良かったグラートクワッドリフトを降りると、いよいよトレッキングの始まり始まり~。
道は木道や石畳で、緩やかな勾配が続くが、ソールの薄いシューズでは厳しい。
雪渓が現れれば、まもなく第二ケルン。八方池山荘からここまではゆっくり歩いて45分ほどだ。
途中の道沿いには希少な高山植物の姿が見られることも多いので、景色とともに自然の恵みを味わいながら歩こう。
ほんの数本だけではあったが、小さなクルマユリを見つけた。
第二ケルンに到着。いよいよクライマックスは間近だ。
ちなみに「ケルン」とは、登山で霧が出た時に道に迷わないように石を積んで作った道標のこと。
そしてゴールの八方池に到着。
八方池は、雪に押し流された土砂の堆積でできた自然の池で、サンショウウオやモリアオガエルなどが生息している。
なお、このように湖面に映し出される山の写真を撮りたい場合は、池の周囲の木道まで降りるといい。基本的に晴れていれば、ガスがかかっても待てば山が顔を出す可能性は高い。
マップを見れば分かるが、八方池から先も唐松岳まで登山道は続いているが、ここからさらに約2時間30分を要する本格的な登山コースだけに、それなりの装備が必要になる。
山は下る方が足への負担が大きくなるので、たとえ午前中であっても無理は禁物。中高年は少し余裕を残して帰るくらいでちょうどいい。
今回もっともたくさん見られた花はシモツケソウ。線香花火のような咲き方をする綺麗な野草だった。
最後に…
真夏は日焼けと喉の渇きに対する準備を万全にしてからお出かけを。
グッドラック! 健闘を祈る(笑)。