この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「目的に応じた選択」が正解。
夏にこの地を訪れる一般観光客にとって、ともに乗鞍岳の畳平を終着点とする「乗鞍スカイライン」と「乗鞍エコーライン」は、岐阜県の奥飛騨温泉郷・平湯温泉から出発するか、長野県の乗鞍高原から出発するかの違いしかない。
つまりどちらを利用するかは、滞在したい場所次第でいい。
ただし残雪の乗鞍岳に行くには、5月中旬から運行が始まる「乗鞍スカイライン」しか選択肢はない。
また逆に、秋は途中下車ができるバス停のある「乗鞍エコーライン」のほうが、紅葉前線を的確に捉えられる。
乗鞍スカイライン
岐阜県の奥飛騨温泉郷・平湯温泉と、乗鞍畳平を結ぶ総延長約15キロの観光道路。
筆者は2003年のマイカー規制導入前に、2度ドライブをした経験があるが、この道は自分で運転するより、人に乗せてもらったほうがいい(笑)。
そのうえ当時は「雲上のスカイライン」と持て囃され、特に夏休みは観光客のマイカーで大渋滞を頻発していた。
その渋滞解消と自然保護の観点から、2003年(平成15年)5月に(実質的には無料開放されたと同時に)通年マイカー規制が導入され、一般車両は通行できなくなった。
ちなみに「乗鞍スカイライン」の前身は軍用道路。高度1万メートル以上になっても出力の落ちないエンジンを開発する、「帝国陸軍戦闘機実験場」を作るために1941年に建設されている。
開通期間:5月15日~10月31日
運行ルート:平湯バスターミナル~ほおのき平バスターミナル~乗鞍畳平
料金:大人往復2300円
なお「乗鞍スカイライン」を利用するなら、車中泊ができる無料の駐車場がある「ほおのき平バスターミナル」からのバス乗車がお勧めだ。
「平湯バスターミナル」は公共交通機関やツアー旅行者には便利だが、マイカー旅行者は、クルマを有料の「あかんだな駐車場」に停めなければならず、高くつくうえに不便な思いを強いられる。
乗鞍エコーライン
「長野県道84号乗鞍岳線」の一部で、乗鞍高原から乗鞍畳平間を通称「乗鞍エコーライン」と呼んでいる。
実はこの道もまた「軍」との関わりが深く、陸上自衛隊が訓練の一環として建設したものだという。
「乗鞍エコーライン」も「乗鞍スカイライン」に呼応して、2003年(平成15年)以降、三本滝ゲートから先はバス・タクシー・自転車以外の通行を通年で禁止している。
なお「乗鞍エコーライン」も、車中泊ができる無料の駐車場がある「乗鞍観光センター」からのバス乗車がお勧めだ。
2022年9月更新
車中泊の意味が分かっているのかどうかは知らないが、現在の「乗鞍観光センター」には、この看板が立てられている。
気になる方はここでの車中泊は避けたほうがいいかもしれない。
疑問に思う人は、車中泊をしてみて注意されたら「仮眠です」と答えてみよう。この写真を見る限り、たぶん出て行け!とはいわないと思う(笑)。
ただしキャンピングカーは別。特にキャブコン・バスコン・トレーラーは「目の敵」みたく思われているようで、この日は1台も停まっていなかった。
更新ここまで
「三本滝駐車場」を含む、それ以外の乗り換え駐車場があるバス停からも乗車はできるが、窓際の席は始発の「乗鞍観光センター」から乗る人で埋まってしまうことが多い。
開通期間:7月1日~10月31日
運行ルート:乗鞍観光センター前~乗鞍畳平
料金:大人往復2500円