夏の関東取材旅 鹿島灘/2015.7<日本一周の旅:#03>

埼玉県の車中泊旅行日記
「正真正銘のプロ」がお届けする車中泊旅行ガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、原稿作成のためのメモ代わりに書き残してきた「忘備録」を、後日リライトしたものです。
クルマ旅専門家・稲垣朝則の主な著書
車中泊の第一人者と呼ばれる稲垣朝則が、これまで執筆してきた書籍・雑誌と出演したTV番組等の紹介です。
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潮来から鹿島灘沿岸を北上

♪潮来の伊太郎 ちょっと見なれば~

「潮来笠」は1960年に発表された橋幸夫のデビュー曲で、上の歌詞からスラスラとメロディーが出てきた貴方は、たぶん筆者と同じく、若くても四捨五入すると「還暦」世代以上だろう(笑)。

橋幸夫はこの曲で「第2回日本レコード大賞」新人賞を受賞し、紅白への初出場を果たしている。

その出世曲にあやかろうというわけではなかったのだが、あいも変わらず居座り続ける梅雨前線に阻まれ、当初予定していた房総半島の取材を断念。

予定を変えて東関東自動車道で一気に茨城県の潮来までやってきた。その結果、房総半島は帰路への持越しになり、家内は念願の東京ディズニーシーに行けることになった(笑)。

今夜はこのブログを大阪で見て小躍りするに違いないが、灼熱の車中泊は免れまい。そんな彼女は6月30日から一か月間にわたる長期休暇に入り、ジェットスターで千歳まで飛んでくる。

旅費はたったの6980円。津軽海峡をフェリーで渡るよりも安い。

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さて。話はお台場まで遡る。

東京キャンピングカーショーの日は、学生時代の友人と夕食を共にする予定でいたのだが、午後に少し時間が空いたので、ワイルドワンで久しぶりにアウトドア用品の市場調査を行った。

モノは云いようで、こう書くと暇つぶしも「仕事」に変わる(笑)。

そこで目についたのが、このレインブーツだ。今回は渓流釣り用のウェダーを持ってこれなかったので、代わりにコンパクトにたためるこのゴム長を買うことにした。

実際に履いてみるとフィット感も歩きやすさもこの上なくいい。さすがは「日本野鳥の会」が手掛けた製品だけのことはありそうだ。

ついでにこんなスキレットも衝動買い(笑)。

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さて。新しく入手したレインブーツが、初めて足跡を刻んだ地面は鹿島神宮の表参道。

その創建は神武天皇元年、西暦に置き替えると紀元前660年、つまりイエス様が生まれるよりも遥か以前という、ぶったまげた常陸国一宮である。

その横には「ドローン禁止」の看板がドドーンと(笑)。いきなり時代のコントラストを見た気がした。

もっとも… そこまで値打ちを追わずとも、この神宮には史実に裏付けされた素晴らしい過去があるだけに、どこかしらけた気分になってしまうわけだが、神様については、多かれ少なかれ致し方のないところだろう。

鹿島神宮が朝廷との関係を深めた背景には、大化改新後に政界に躍進した中臣鎌足の存在があるとされる。大化の改新の中心人物であった中臣鎌足は、臨終に際して大織冠とともに藤原姓を賜った。

奈良時代になると、鹿島神宮は藤原氏から氏神として特に崇敬され、神護景雲2年(768年)には奈良御蓋山の地に藤原氏の氏社として春日社(現・春日大社)が創建された。

関西在住の我々が見飽きた奈良公園の鹿の祖先は、なんと鹿島の森に棲んでいたのだ。

ただ皮肉なことに、鹿島の鹿は戦後絶滅。原因は病気ではなく食糧難の時代の栄養源となったらしい(笑)。今の鹿島神宮にいる鹿は、逆に奈良公園から戻されてきたものだという。

ところで、茨城と云えば水戸。水戸と云えば、納豆よりもやっぱりご老公こと光圀公の出番である。

黄門様は実在人物で、徳川家康の孫に当たる正真正銘のお殿様だ。儒学を奨励し、彰考館を設けて『大日本史』を編纂し、水戸学の基礎をつくった偉い方だが、反面どこかお茶目で、鹿島神宮ではちょっとした「悪戯」をしでかしている。その跡がこの「要石」で、後世には松尾芭蕉や小林一茶もこの地に足を運んでいるようだ。

実は光圀公の思想は、9代目当主斉昭と幕末に尊皇攘夷を唱えて暗躍する「天狗党」に受け継がれ、やがては桜田門外での大老井伊直弼暗殺に通じていく。

死してもその世直しの想いが日本をつき動かすのだから、ドラマ「水戸黄門」は何が何でも継続すべきだ(笑)。

そんな話を1時間近くしながら、鹿島神宮を案内してくださったのは、こちらのボランティアガイドさん。

慣れているとはいえ、その素晴らしい記憶力と知識には感激した。料金は無料。行くなら利用しない手はあるまい。

さて、現在は大洗を通り越し、道の駅・日立おさかなセンターでこのブログを書いている。今日は水戸周辺を回り、いよいよ東北へとコマを進める。このままフェリーに乗れると楽なんだけど、それは来年のお楽しみだ。

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