このコーナーには、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、原稿作成のためのメモ代わりに書き残してきた「忘備録」と、旅先で頭に浮かんだ「エッセイ」を収録しています。
雪の回廊」八幡平アスピーテラインから、乳頭温泉へ
この写真だけを見れば、東北在住者以外の大半は富山県の「立山黒部アルペンルート」だと思うに違いない。
名物「雪の大谷」も今、旬の時を迎えている。
だがこれはどうだ。
立山黒部アルペンルートは遥か以前にマイカーの乗り入れが禁止されており、年間を通じて室堂にマイカーで行くことはできない。
しかし岩手県と秋田県を結ぶ八幡平アスピーテラインは、今も雪の回廊を走ることができる日本でも超希少な道だ。しかも通行料は無料。
もっとも…大阪からだと高速代とガソリン代がアルペンルートの通行料金よりもずっと高くついてしまう(笑)。
とはいえ、途中の見返峠からはこんな岩手山が見られるのだから、一見の価値は十分にあるといえるだろう。天気が良ければかなり満足度は高い。もちろん道は完全に除雪されており、日中はノーマルタイヤでも走れる。
さて、アスピーテラインから秋田県に入ると、すぐに玉川温泉に到着する。
今回は多少マイルドといわれる新玉川温泉に行ってきたのが、やはり日本最強の酸性泉だけあって、源泉のピリピリ感は強烈だった。草津温泉が優しく感じられるほど、ここのお湯は肌にしみる。
こちらはふけの湯。この時期は自慢の露天風呂もやってはいない。
だが雪が消えれば、こんな露天風呂が現れる。
途中からは雪の乳頭温泉へと舵を切る。行先はもちろん、憧れの「鶴の湯旅館」だ。
筆者は今回が3度目の入湯だが、ここの露天風呂の気持ち良さは何度来ても格別。どのくらい素晴らしいかは、今週発売予定の「車中泊温泉地ガイド」に詳しく記載している(笑)。
本では鶴の湯だけでなく乳頭温泉の全温泉館をくまなくレポートしているが、どこも個性的な温泉ばかりで実に楽しい。
できれば2.3日かけて温泉三昧な日々を過ごしてほしいものである。写真は休暇村の温泉。鶴の湯ではシャンプーができないので、日帰りの場合は最後にここに立ち寄るといい。