この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
「富士山レーダードーム館」は、プロジェクトXにも取り上げられた新田次郎ゆかりのミュージアム
最初の東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)に設置された富士山レーダーは、日本の気象観測の欠かせない存在として、35年間にわたり日本の台風観測の砦の役割を果たしてきた。
しかし1999年(平成11年)に、その任務を人工衛星のひまわり5号に託して引退。
その後2001年(平成13年)に富士吉田市に移設され、2004年(平成16年)からは体験学習施設として一般公開され、今日に至っている。
館内のシアターでは、「世界最大のレーダー建設~富士山頂9,000人のドラマ~」を放映している。
実はこの映像は、NHKの「プロジェクトX~挑戦者たち~」の第1回放送「巨大台風から日本を守れ 富士山頂・男たちは命をかけた」を元に制作された作品で、見応えは充分だ。
筆者の同年代には、このシーンに見覚えのある人が多いと思う。
あわせて見逃せないのが、富士山レーダー建設当時の気象庁職員で、後に作家として活躍する新田次郎に関する展示だ。
新田次郎といえば、映画化された「八甲田山死の彷徨(1977年公開・主演:高倉健)」、近年では「劒岳 点の記(2009年公開・主演:浅野忠信)」などで知られているが、富士山を舞台にした作品も多い。
とりわけ有名なのが「芙蓉の人」だ。
1892年(明治25年)、日本の気象予報を正確に把握するため、富士山の山頂に私設観測所を建て、冬の寒さに耐えながら気象観測に力を尽くす男がいた。
この物語は彼と行動を共にした妻との夫婦愛と、気象観測に情熱を注いだ人生を描いたものだ。
なんと! 中学時代に読んだ本が、わが家にはまだ捨てられずに置いてあった。
黄ばんだ紙面が年季を感じさせてくれるわけだが(笑)、この本が書かれたのは1971年。筆者が小学6年生の時である。
また「芙蓉の人〜富士山頂の妻」は、2014年にNHKの土曜ドラマにもなっている。
ちなみに入場料は630円だが、2月23日(富士山の日)は無料になる。
隣接する、道の駅富士吉田に関する詳しい情報はこちら。
富士山 車中泊旅行ガイド
世界文化遺産・富士山の見どころをご紹介。