この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
2018年に「明智平パノラマレストハウス」跡に野外トイレが完成し、現在は車中泊が可能。
明智平と云えば、この景色。
男体山とその麓にある中禅寺湖、そしてそこから流れ落ちる華厳の滝が一望できる、まさに日光屈指のビュースポットだ。
だがそんなところが、混まないはずがない。
普通に行けば「4度の渋滞」に遭遇する。
これは特に紅葉シーズンほど顕著だが、まず最初は「いろは坂」の渋滞に捕まる。カーブが多いうえに傾斜が強い「いろは坂」には抜け道がなく、止まってしまえば、もうその列に身を任すしかない。
次は駐車場の空き待ち渋滞。明智平の駐車場には90台しか収容台数がないので、ここも運を天に任すしかない。
そしてチケットの購入でも並ぶ。
最後はロープウェイの乗車待ち(笑)。
さすがにここまで来ると笑うしかないのだが、夫婦ならひとりを入庫待ちしている間に降ろして、チケットを買う列に並ばせるなどの工夫はできる。
だが、もっと大胆不敵にこれら全ての煩わしさから開放される術がある。そう、それが前日からの「車中泊」だ。
ただし2019年(令和元年)10月1日以降、中禅寺湖方面から明智平にアクセスすることができなくなっているのでご注意を。
明智平の駐車場事情
もともとロープウェイ駅の前ではなく、道路を挟んだ小さいほうの駐車場には野外トイレがある。ただしこちらは20台も停められないため、ハイシーズンには前日の夕方から埋まり始め、夜には満車になることも珍しくなかった。
いっぽうこちらは90台を収容できるメインの駐車場だが、以前は24時間利用できるトイレが野外になく、車中泊はできなかった。
しかし2018年のリニューアルで、事情が変わった。
老朽化が目立つ明智平レストハウスが解体され、その跡地は展望スペースと売店、そして野外トイレに代わっている。
こちらも小さいほうの駐車場と同じく24時間無料開放されており、「夜間満車の心配」はもはや過去の話になった。
せっかくなので、明智平ロープウェイと展望台にも触れておこう。
明智平ロープウェイで行く、明智平展望台
「明智平ロープウェイ」は、駐車場のある明智平駅と展望台駅をわずか3分で結ぶ短い区間のロープウエイだが、得られる効果は高くお勧めだ。
展望台駅の上はこのようなテラスになっており、冒頭で見せた圧巻の景色を眺めることができる。
大人片道410円、往復740円
4~11月/8:40~15:30、12~3月/9:00~15:30
※季節や混雑状況等により、営業時間は変動。
明智平 こぼれ話
「明智平」の地名は、山崎の合戦で比叡山に逃げ、のちに家康の懐刀となる「天海僧正」を名乗るようになった「明智光秀」が命名したと伝えられてきた。
だがNHKでもお馴染みの歴史学者・「磯田道史」氏が出演するテレビ番組の中で、筆跡鑑定が行われた結果、両者は別人との判定がくだされた。
東照宮に残る「桔梗の紋」や、家光の乳母「春日局」など、「明智光秀」がらみのミステリアスな興味は失せるが、たぶんそれが真実なのだろう。