車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、「道の駅こぶちざわ」の車中泊に関する記述です。
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「道の駅こぶちざわ」は標高およそ1000メートルの八ヶ岳南麓に位置する、温泉併設で若い観光客に人気の高い道の駅
道の駅こぶちざわ
〒408-0044
山梨県北杜市小淵沢町2968-1
☎0551-36-3280
5月から9月:9時~19時(10月から4月は18時閉館)
無休 ※6月第1週の木曜、2月第2週月曜と火曜日は休館
「道の駅こぶちざわ」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第20回
登録日/2004年8月9日
「道の駅こぶちざわ」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2010.07.20
2015.03.12
2015.04.25
2016.07.17
2020.10.07
2022.09.24
※「道の駅こぶちざわ」での現地調査は2022年9月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2022年11月に更新しています。
道の駅こぶちざわ 【目次】
「道の駅こぶちざわ」のロケーション
2004年にオープンした「道の駅こぶちざわ」は、中央道の「小淵沢IC」から山梨県道11号北杜富士見線を、清里・富士見方面へ1キロ・約3分ほど走ったところにある利便性の高い道の駅だ。
東京からは約2時間、名古屋からでも3時間ほど来れるため、清里や野辺山観光の前泊地として使うのに適した車中泊スポットと云える。
「道の駅こぶちざわ」の施設
まず、「道の駅こぶちざわ」には注意すべき点がふたつある。
ひとつは「スパティオ小淵沢」という、ホテル&温泉施設に併設する道の駅であるということ。
公式サイトでは両者は別々になっている。
ということは、「マップの右側の延命の湯に近い駐車場は、道の駅のものではない」ということになるので、車中泊は左側の駐車場を利用するのが「筋」だ。
ただその前に、「延命の湯」前の駐車場は傾斜が強くて、車中泊には適していない。
もうひとつは、2019年4月にリニューアルされていること。
観光案内所の左にあった駅舎は閉鎖され、現在は右側に新たな駅舎が作られている。
もともとあった駅舎は内部が改修され、現在は「シャトレーゼ」が入店している。
またリニューアルと同時に駐車場も拡張された。
こちらが従来からある「道の駅こぶちざわ」の駐車場スペース。
現在はその後方に一段下げた状態で、30台分ほどの駐車スペースが設けられている。
現時点ではこの両スペースが、トイレに近くてクルマの出入りが少ない、「道の駅こぶちざわ」のベスト車中泊スポットと云えそうだ。
ちょっと分かりづらいが、トイレはこの足湯の右隣にある。
足湯は但し書きがないので、コロナ対応なのか、機械の故障などによるものなのか理由は分からないが、2022年9月時点では使用禁止になっていた。
もちろんトイレには、ウォシュレットが完備している。
さて。
こちらは新しくできた「道の駅こぶちざわ」の駅舎のレイアウト図。
広々とした農産物直売所。
かつては屋外の独立施設だった、蕎麦打ち体験工房を兼ねた「そば処」の入口はここに変わった。
リニューアル前から人気のあった「山のパン屋 桑の実」も、この中に移転。店も以前よりは少し広くなっている。
この日はテレビ局も取材に来ており、人気も健在のようだ。
ピザがメインのレストランは、東京・広尾の人気イタリアン「ロトンド」の2号店とのことだが、残念ながら外からでは長靴の国の雰囲気は伝わってこない。
その割にはいいお値段で、案の定空いていた。お客というのは正直だ(笑)。
「道の駅こぶちざわ」はホテルに隣接していることもあって、「リゾート感」を全面に押し出したつくりになっている。
その象徴的な施設が、陶芸や木工、そば打ちなどの体験工房だろう。
クラフトの雑貨が並ぶ体験工房内の売店。
総括すると「道の駅こぶちざわ」は、コンセプトに忠実な「よくできた道の駅」だと思う。
ただ、どちらかと云えば若い世代向きの道の駅で、利用している人達も独身からファミリー層が多い。
敷地の中に「犬の散歩はご遠慮ください」の看板があることもあって、おっちゃん独りの車中泊旅行者は論外だと思うが(笑)、夫婦同伴であっても、孫でも連れて来ないかぎり、ここで「居心地がいい」と感じる人はそう多くはないだろう。
正直なところ、休憩にはおもしろいと思ったが、車中泊はさして快適とまでは感じなかった。
可燃物のゴミ箱がないのも、その理由のひとつだ。
むしろ筆者のように、旅の宿としてオシャレ感よりも肩の凝らない環境を望むのなら、「道の駅こぶちざわ」からわずか5.5キロ、クルマで10分もかからないところにある、同じ温泉併設の「道の駅 信州蔦木宿」をお勧めする。
最後に。
「道の駅こぶちざわ」は標高が990メートルもある。そのため夏は涼しいが、春先まで雪が残る。
道中は坂も多いので、2WDのクルマは3月でもスタッドレスタイヤを装着して行くくらいの用心に越したことはないだろう。
「道の駅こぶちざわ」の車中泊好適度
「道の駅こぶちざわ」のゴミに対する対応
可燃ゴミ:なし
缶・ビン・ペットボトル:自動販売機横にあり
なお、車中泊の旅行中に発生するゴミは「家庭ゴミ」ではない。
しかるに「家庭ゴミの持込み禁止」は地域住民に向けた正しい勧告ではあるが、車中泊の旅行中に発生するゴミは該当しない。
こう説明すれば分かりやすいと思う。
近くのスーパーで買ってきた「弁当」は、道の駅についた時点では「ゴミ」ではなく「食品」だ。
それを道の駅に駐めたクルマの中で食べると、残った容器がゴミになる。
ということは、正確には「道の駅で発生したゴミ」であって、
道の駅のスタッフが、出勤前にコンビニで買ってきた弁当を昼食に食べた後、その容器を事務所のゴミ箱に捨てるのと同じ話で、誰が食べたかは関係ない。
すなわち、「事業ゴミ」として道の駅が処分するのが筋ということになる。
明日自宅に帰る車中泊の旅行者が、それを「持ち帰り」するのは自由だが、それは「マナー」と呼ぶものではなく、あくまでも「道の駅の負担を軽減してあげるための協力」であって、基本は堂々と捨てさせてもらってかまわない。
車中泊旅行中のゴミの処分については、以下にもっと詳しい記事を掲載しているので、時間があればぜひ。上に記した話が「自分勝手」かどうかは、法律に照らし合わせれば一目瞭然だ(笑)。
【プロの寸評】
ゴミの対応でも分かる通り、「道の駅こぶちざわ」の責任者は、商売には熱心だが、自分が預かっている施設がサービスを求められる「道路利用者の休憩施設」とは認識できていないようだ(笑)。
それは「延命の湯」の料金設定にも現れている。
確かに地方に行けば、地元住民と観光客で温泉の利用料金に格差があるところも残っているが、その差が倍近くあるというのはいかがなものか…
というより…
首都圏からこれほど近いところで、未だにそういうシステムを取り続けていること自体に疑問を感じるわけで、サービス面では明らかにすぐ近くの長野県にある「道の駅 信州蔦木宿」よりも遅れている。
「道の駅 信州蔦木宿」にも温泉はあるが、料金は居住地にかかわらず大人700円だ。
トラックの車中泊が多いのはちょっと辛いが、それは「道の駅 信州蔦木宿」が彼らの中でも、「道の駅こぶちざわ」よりも”いい旅の宿”として認められていることの証でもある。
重点「道の駅」の指定候補に挙がるほど、「道の駅こぶちざわ」が素晴らしい環境にあるにもかかわらず、サービス面にこういう落度があるようでは、筆者にすれば「重点」は「要改善」という意味に思えてくるのだが、言い過ぎだろうか(笑)。
この2つなど、やる気になれば明日からでもできることだ。日本にはもっと根深いことで悩んでいる道の駅が山ほどある。
「道の駅こぶちざわ」の温泉&周辺買い物施設
スパティオ小淵沢「延命の湯」
☎0551-36-6111
大人:市外830円・市民460円
10時~21時30分(受付最終21時)・不定休
毎月第2火曜日は16時から営業(8月、10月、1月、2月を除く)
コンビニ
ローソンまで約600メートル、セブン・イレブンまで約1キロ
スーパーマーケット
約12キロ離れたところに「西友富士見店」がある。なお、かつて近くにあった「スーパーやまと」は閉店している。