「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
栃木県にある「塩原温泉郷」は、居心地・泉質・風情の三拍子がそろう北関東屈指の温泉地
塩原温泉郷の概要
箒(ほうき)川の谷あいに11の温泉地が点在する「塩原温泉郷」は、車中泊の温泉めぐりにふさわしい旅先だ。

出典:カーネル
最初に元湯温泉が発見されて以降、1000年を超える歴史を有する「塩原温泉郷」には、150を超える源泉が存在する。
だが着目すべきは規模ではなく、湯治場風情が残る共同湯や、ワイルドな無人の混浴露天風呂が、今もきちんと維持管理され、温泉郷全体で多様な温泉ファンのニーズに応え続けている点にある。
最初に足を運びたい「塩原もの語り館」
1階に塩原温泉観光協会があり、「塩原温泉郷」のマップをはじめ、温泉、見どころ、食どころなどの情報を得ることができる。
また、割引特典付きの「湯めぐり手形」も購入できる。
塩原温泉郷の湯めぐり手形
「塩原温泉郷」の湯めぐり手形は、1年間有効で900円。
値段は安いが無料入浴券は1枚しかない。ただし掲載されている温泉施設は、期間中なら何度でも半額で利用でき、リピーターには魅力的だ。
「塩原もの語り館」以外に、「道の駅湯の香塩原」「塩原温泉ビジターセンター」でも手に入る。
紅葉時期は、箒川散策がお勧め
写真は「塩原もの語り館」のテラスの裏手にある「紅(くれない)の吊橋」。
例年11月10日頃にピークを迎える紅葉時期には、橋の両端にある楓(かえで)が鮮やかに色づき、その先の遊歩道を彩る(散策の所要時間は10~15分)。
塩原もの語り館
☎ 0287-32-400
●営業時間:8時30分~18時
●駐車場:23台(無料)
※資料館のみ、入館料大人300円が必要
塩原温泉郷の名湯・秘湯
分かりやすい場所にあってインパクトが強いのは、前述した「紅の吊橋」の袂にある混浴露天風呂の「もみじの湯」。
だが、それ以外にも秘湯と呼べる共同温泉や、温泉館の美肌成分・メタケイ酸をたっぷりと含んだお湯、あるいは硫黄が香る白濁のお湯などが揃っており、「塩原温泉郷」の温泉めぐりを本気で楽しむには、数日間が必要だ。

なお「塩原温泉郷」を訪れたことがある人なら、以下の温泉のことが気になるかも知れないので、専用の情報ページを用意した。

塩原温泉郷の車中泊事情と車中泊スポット
当サイトをご覧の人の関心は、温泉よりもこちらにあるかも知れない(笑)。
前述したように、「塩原温泉郷」は箒川沿いに長く延びた温泉地で、数日間滞在して全域をまわりたいなら、車中泊場所を変えるほうが便利で無難だ。

車中泊旅行者のための、塩原温泉郷の見どころと食べどころ
那須高原に比べると「塩原温泉郷」は昔ながらの温泉地で、垢抜けたレストランや観光施設はほとんど見かけない。

車中泊ならではといえる、塩原温泉郷のめぐり方

出典:塩原グリーンビレッジ
このマップを見ていただければ分かると思うが、「塩原温泉郷」は他の観光地と抱き合わせの旅がしやすいロケーションにある。
日程にもよるが、自由奔放に行動できる車中泊の旅人なら、それを生かさない手はあるまい。
● 那須湯元温泉まで…約30分
● 鬼怒川温泉まで…約50分
● 日光まで…約80分

モデル車中泊旅行プラン
初日:那須高原
↓ 道の駅 湯の香しおばら 車中泊
2日目:塩原温泉郷
↓ 塩原温泉交流広場 車中泊
3日目:鬼怒川温泉・日光山内
↓ 道の駅日光 車中泊
4日目:奥日光

また「塩原温泉郷」を貫いている国道400号は、「会津鬼怒川線」の名で親しまれている国道121号に接続しており、日光と逆方向の会津方面に勧めば、2時間ほどで会津若松に到着する。
