この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

関西人から見た箱根や房総半島は、東京人のイメージとはたぶん違う。
プロローグ
既にご承知の人も多いと思うが、筆者は大阪在住で、三重県津市より東の町には住んだことがない。
それゆえ京都や奈良、あるいは神戸には数えきれないほど足を運んできたし、何か変わったことがあれば、すぐに確かめに行くことも可能だ。
ただ京都や神戸のことを東京のライターが書いた記事を見ると、何となく違和感を覚えることも少なくない。
日本はどんな土地にも特有の文化や価値観が根付いており、それは長年その地域に住まないかぎり、共有することは難しい。
同じことは「関東」にも云える。
いくら筆者が用心深くプロのテクニックを駆使したところで、長文になればその違和感を隠し続けることは難しい(笑)。
それなら、最初から関西の旅人向けに書くほうが、ずっと気が楽というものだ。また最近は、そういう情報にも価値が宿ると考えている。
関西人にとって、箱根は今でも「関所」のまま
車中泊の旅人もキャリアが長くなれば、未知なる土地に足を運んでみたくなるものだが、今は道路交通網が驚くほど整備されていて、東日本でも北海道や東北地方、もっと云えば北関東の草津温泉や日光にさえ、首都圏を通らずとも行けるルートがある。
また京阪神や中京圏に住む旅人にとって、富士山がある静岡県や山梨県はイメージ的に「関東」とは感じない。
加えて、長野県を擁する甲信越地方は「関東」よりも親しみやすく、また渋滞の心配がほとんどないので気軽に行ける。
「関東」に足が向かないのは、文化や価値観の違いに加え、その慣れない渋滞も「関所」のひとつになっているのだろう。
「日本一周」には避けては通れない、湘南から三浦半島・房総半島そしてさらに鹿島灘
ただ箱根はともかくとして、江ノ島・鎌倉・横須賀、さらに横浜といった観光名所が続く、相模湾から東京湾沿岸に興味がない人は少ないと思う。
それに何より、本当の意味での「日本一周」を果たすためには、この遥か鹿島灘へと続く海岸線を避けては通れない。
というわけで、これまでの旅の経験を生かし、湘南から三浦半島、さらには房総半島を超えて鹿島灘へと、関西や東海から多くの車中泊の旅人が行きたくなるような、「橋渡し」をしてみたい。