この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
諏訪湖は「神秘的な絶景」が見られる、ちょっとマニアックな湖。
クルマで行ける、諏訪湖の絶景展望スポット【目次】
車中泊旅行者の一等地は、「諏訪湖SA上り線(東京方面行き)」
晩秋にお勧め! 雲海と富士山がらみの諏訪湖絶景が現れる「高ボッチ山」
その前に、諏訪湖の特徴を簡単に。
諏訪湖は諏訪市、下諏訪町、岡谷市にまたがって広がる長野県内最大の湖で、とりわけ、打上数、規模ともに全国屈指と評される「諏訪湖祭湖上花火大会」が8月に開催されることで有名だ。
もっとも花火大会を含む諏訪湖の紹介サイトは、既にネット上には星の数ほどあると思うので(笑)、ここでは観光ツアーでは観ることができない「車中泊で行く諏訪湖ならでは」といえる自然現象について、簡単に紹介しておきたい。
釣りをする方ならご存知だと思うが、「わかさぎ」が湖の真ん中で釣れるということは、諏訪湖が浅いことを意味している。
諏訪湖は長野県から愛知県・静岡県を経て太平洋へと流れ出る「天竜川」の水源だが、流出しているのは1本だけで、逆に31本の川から水が流入してくる。
つまり長きにわたり、水とともに土砂が運び込まれ、それが累積して底が浅くなりやすい条件下にあったわけだ。
それは、かつて諏訪湖が諏訪大社・上社の間際まで迫っていたという話とも符号するし、事実、現在の最大水深はわずか7メートルほどしかない。
そして、極寒地の水深が浅い湖は結氷する。
真冬の絶景「御神渡り」は、諏訪湖の冬の風物詩
結氷する理由は単純で、浅い方が全体の温度が均一になりやすく、深い湖ほど湖全体の温度が下がるのに時間がかかるため、凍りにくいからだが、そのおかげで見られる珍風景が、この「御神渡り(おみわたり)」だ。
全面結氷のみならず、氷が盛り上がって割れるのは、気温の上下によって氷が膨張と収縮を繰り返す複雑なメカニズムも絡んでいる。
”神様の通り道”と呼ばれる「御神渡り」は、1443年から記録されており、500年以上の歴史を誇る諏訪湖の冬の風物詩だが、毎年見られるわけではなく、直近では3年ぶりに2021年の1月に観測された。
実は筆者もまだ生の「御神渡り」には出会えておらず、「知床の流氷」「滑川のホタルイカの身投げ」とともに、ぜひ生きているうちにお目にかかりたいと願う光景だが、いつ見られるかの予想がしづらいのが難点だ。
ちなみに近くで見られそうなスポットは「赤砂浜公園」。
さてここからは、その「御神渡り」が高台から眺められる、諏訪湖の絶景展望スポットの話をしよう。
ちなみに写真はドローンで撮っているようなので、展望地から本当に見られるかどうかはわからない。
こういう時に、大阪では語尾に「知らんけど」をつける(大笑)。
車中泊旅行者の一等地は、「諏訪湖SA上り線(東京方面行き)」
湖畔のホテルの上層階を除けば、ちょっとお金はかかるが(笑)、もっとも簡単で楽に諏訪湖を見下ろせる場所はここだろう。
「なんだ。諏訪湖SAか」と嘯くのは、普通の観光客。
車中泊の旅人は、夕方に着けば冒頭で見せた茜色に染まる諏訪湖、さらに夜景、そして朝方には靄がかかった諏訪湖を眺めることができる「一等地」だ。
おまけに日帰り温泉まで併設している。
ただしそれほど標高差があるわけではないので、スケールでは以下の2つに敵わない。
季節を問わず、そこそこの景色が楽しめる「立石公園」
季節を問わず、そこそこの景色が楽しめるという意味では、市内中心部から1.5kmほど離れた高台に位置する「立石公園」がいい。
信州サンセットポイント 100選に選定され、さらに、新日本三大夜景・夜景百選にも選ばれている。
また若者の間では、大ヒットアニメ映画「君の名は」に描かれた架空の湖「糸守湖」に似ていると話題を呼び、聖地巡礼スポットとして一躍有名になった。
てなことが、「立石公園」でネット検索すると山のように出てきて、似たりよったりのことがツラツラ・長々と書かれている(笑)。
ってことは、特に週末の日中と夜間は若者で賑わっている。中高年が行くなら、彼らの苦手な早朝がお勧めだ。
なお駐車場は普通車のみ約20台で、大型バス駐車場はない。
立石公園 オフィシャルサイト
晩秋にお勧め! 雲海と富士山がらみの諏訪湖絶景が現れる「高ボッチ山」
この写真を見てしまうと、立石公園の話などどこかに吹き飛んでしまうわけだが(笑)、残念ながらこの絶景は、季節限定で晩秋にしか見られない。
もちろん、夏でも高ボッチ山には登れる。
ただ富士山と雲海の見えない高ボッチ山は、ちょいと古いが「クリープを入れないコーヒー」より寂しかった(笑)。