車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、蓼科から白樺湖、霧ヶ峰そして美ヶ原へと続く、無料の観光道路「ビーナスライン」の概要と見どころです。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
~ここから本編が始まります。~
「ビーナスライン」のベストシーズンは、霧ヶ峰にニッコウキスゲが咲き乱れる7月上旬~中旬
筆者のビーナスライン歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2008.05.04
2010.05.15
2010.07.20
2011.02.13
2012.09.15
2015.04.25
2016.07.18
2019.07.31
2020.08.11
2021.06.24
2022.06.21
2024.07.21
「ビーナスライン」の現地調査は2024年7月が直近で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2024年7月に更新しています。
ビーナスライン ドライブガイド
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ビーナスラインとは
蓼科から白樺湖、霧ヶ峰、さらに美ヶ原へと続く絶景の山岳回廊
日本を代表する観光道路と呼ぶに相応しいビーナスラインは、蓼科有料道路と霧ヶ峰有料道路がひとつになった、全長約76キロに及ぶロングドライブコースで、2002年に待望の全線無料開放となった。
蓼科や白樺湖などの観光地を通り、景観の良い霧が峰付近には広い駐車場のある展望所が何ヶ所も設けられているなど、観光客への配慮も素晴らしい。
ドライブにお勧めなのは、白樺湖から霧ヶ峰まで
ドライブにお勧めなのは、白樺湖から車山を経て霧ヶ峰に至る間だ。
別荘が多い蓼科エリアは、ビーナスラインが林の中を縫うように通っているため、車窓からの眺めは期待できない。
また後述するが、霧ヶ峰から美ヶ原までの区間は、ラスト3キロが急勾配のワインディングが連続するキャンピングカーには試練の道。
そこではたぶん、車窓風景を楽しんでいる余裕はないと思う(笑)。
霧ヶ峰ダブルヘアピン
車窓からの眺めが際立っていいのは、「車山肩」を過ぎてすぐに現れる、通称「霧ヶ峰ダブルヘアピン」だ。
それを含めて、マップにピンクで示したところが、ビーナスラインで雄大な景色と出会える区間になる。
通行料は無料なので、何度か進行方向を変えて走ってみるといい。
霧ヶ峰富士見台
白樺湖から霧ヶ峰の間には、駐車場のある展望所がいくつかある。
白樺湖から車山に行く途中にある、白樺湖展望台駐車場からの眺望。
筆者のイチオシは、車山肩の白樺湖寄りにある「霧ヶ峰富士見台」だ。
ここはいい天気に当たれば、夏でも富士山・南アルプス・南アルプスの山々を、雲海の向こうに望むことができる。
「富士見台」と呼ぶくらいなので、望遠をかければ富士山はこのくらいまで引き寄せられる(笑)。
だが、見えるのはそれだけじゃない。
駐車場にある売店の真反対の端には、北アルプスの掲示もある。
この写真は、より空気が澄んだGWに「霧ヶ峰富士見台」から少し霧の駅方面に進んだ路肩から撮影しているが、そこからだと障害物がなく、ビーナスラインと槍ヶ岳のコラボが撮れる。
そんなところは、広い信州でもここだけしかないだろう。
なお、「霧ヶ峰富士見台」より白樺湖寄りにはもうひとつ「伊那丸富士見台」があるので、間違えないように気をつけよう。
ここには売店もトイレもなく、眺望もいまひとつだ。
霧ヶ峰の夏の風物詩 ニッコウキスゲ
さて。毎年7月初旬になると、霧ヶ峰ではニッコウキスゲが満開を迎える。
ニッコウキスゲ
ユリ科の多年草で群生する。朝開いて夕方にはしぼむ一日花だが、次々に別の花が開くので全体としての花期は長い。
霧ヶ峰では例年7月上旬から7月中旬に見頃を迎えるが、外来種の繁殖と、増加したニホンジカに花芽が食べられるなどの被害から、その数は減少傾向にあり、現在は保護対策もとられている。
ニッコウキスゲの見学スポット① 霧ヶ峰富士見台裏
ドライブがてらに観るのに最適
富士見台の無料駐車場の山手に広がる傾斜地に群生しており、ビーナスラインを渡ったところから登って行ける。
車山肩より花畑の規模は小さいが、斜面中腹からは八ヶ岳や中央アルプスを背景に花畑が広がる壮大な景色が楽しめる。
またノビタキなどの野鳥も多く、自然の環境に近い。
ただしここは霧ヶ峰のハイキングコースからは外れており、散策には適していない。
ニッコウキスゲの見学スポット② 車山肩
ハイキングを兼ねて観るのに最適
ニッコウキスゲは、駐車場から見て車山とは逆方向にある斜面に群生しているが、鹿よけの電気防護柵があるため、通路からの鑑賞になる。
元々、車山肩は車山への登山道になっているので、この季節は山頂まで足を伸ばしてみるといい。
山頂までの所要時間は約40分。天気が良ければ、八ヶ岳、南・中央・北アルプスそして富士山と、日本の名だたる山々を見渡すことができる。
美ヶ原は「オプション」と考えるほうがいい
冒頭でもふれたが、霧ヶ峰を超えると「ビーナス」の顔が険しくなってくる。
美ヶ原までは途中に2ヶ所の峠があり、特に最後の3キロは急勾配の九十九折がひたすら続くので、重量の重いクルマはけっこう苦労するはずだ。
だが、こういう生き物に出会えるチャンスもある。
美ヶ原は上田方面から来ても大変。
霧ヶ峰から見ると、ビーナスラインのゴールにあたる「美ヶ原」だが、実はその先は上田や小諸に続いている。
しかし、そちらからのルートもけして楽ではなく、むしろ片側一車線が確保できていない箇所もところどころあり、できれば避けて通りたい道だ。
なお、美ヶ原高原は「歩いてナンボ」。
「ここまで来たら行かなきゃ損!」という自責の念とは無縁の人なら、あえて足を運ぶ必要はないかもしれない。
続いて車中泊情報をお届けします。