この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。

屋敷を見るか、お宝を見るか、それともロケ地を見るか
角館の武家屋敷【目次】
見学できる武家屋敷は6軒
「みちのくの小京都」と呼ばれ、年間約200万人もの観光客が訪れる角館は、明治まで11代にわたって続いた佐竹北家の城下町で、幕末の戊辰戦争では目前まで反政府側の「奥羽越列藩同盟軍」に迫られたが、かろうじてその戦禍を免れている。
現在も残る当時の町なみは、「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されており、江戸時代から変わらぬ四季折々の情景を描き続けている。
そんな角館の「重要伝統的建造物群保存地区」には、現在6軒の見学可能な武家屋敷がある。
そのうち、石黒家・青柳家・河原田家が有料で、残りは無料で見学できる。
屋敷に興味があるなら「河原家」へ
まず、上級武士の屋敷そのものに関心がある人には、河原田家の見学がお勧めだ。
河原田家は関ケ原の戦い後に芦名氏の重臣として角館に移り、その後は佐竹北家に仕えた名家だ。
屋敷は納戸、座敷・定居(おかみ)、中ノ間が「田」の字形に配置された角館武家屋敷の典型的な造りとなっている。
河原田家
☎0187-55-1500
おとな300円
9時~17時(受付最終16時30分)・無休
お宝に興味があるなら「青柳家」へ
いっぽう所蔵している「お宝」に興味があるなら、「角館歴史村」と銘打たれた青柳家がおもしろい。
3000坪の敷地面積を誇る青柳家には大きな蔵がいくつもあり、それぞれに江戸時代の武具や生活用品のほかに、安藤(歌川)広重などの絵画や幕末の写真といった珍しいものが展示されている。
さらには昭和のカメラや蓄音機なども展示されており、改めてお武家の暮らしの豊かさを知ることができる。
青柳家
☎0187-54-3257
おとな500円
9時~17時(12月~3月は16時30分まで)・無休
時代劇に興味があるなら「岩橋家」へ
またそういうものに興味がない人には、無料で見学できる興味深い屋敷がある。
写真の岩橋家は、松本家とともに2002年に上映された山田洋次監督、真田広之・宮沢りえ主演の映画「たそがれ清兵衛」のロケに使われた。
映画に主人公・井口清兵衛の生家という設定で登場する岩橋家は、秋田県の文化財に指定されている、江戸時代末期に建てられた角館の典型的な中級武士の屋敷で、質素で実用本位の当時の暮らしぶりを今に伝えている。
いっぽうこちらは、映画で清兵衛と余吾善右衛門の決闘のシーンに使われた松本家の屋敷で、秋田県で唯一現存する下級武士の屋敷だとか。
確かに中級武士の屋敷である岩橋家に比べても、圧倒的に質素な造りだ。
現在はイタヤ細工の実演販売をしながら無料公開されている。
ただ岩橋家も松本家も、「たそがれ清兵衛」のロケ地であることはどこにも書かれていない。
今はアマゾン・プライムに加入している人なら、前夜にクルマの中で映画見てから角館に行くことも可能。
さすればいっそう興味が湧くはずだ。
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