この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
岩木山がらみの弘前城天守が見られるのは、2025年まで。
弘前の桜の楽しみ方【目次】
弘前の桜の歴史
まず、世に云う”弘前の桜”とは「弘前城の桜」を指し、さらに現在はお城周辺を整備した「弘前公園の桜」を意味しているのだが、ガイドによってその表現はまちまち… 初めて行く人にすれば、混乱を招く困った話だ(笑)。
その「弘前城の桜」は、江戸時代の 1715 年に家臣が京都から 25 本の苗木を持ち帰ったのが始まりと云われている。
当時はまだソメイヨシノはなく、植えられたのは山桜だった。
その後明治維新を迎え、荒れ果てた城内を見かねた旧藩士が、1000 本のソメイヨシノを植栽するが、「神聖な城内で平民がこぞって桜見物をするなど許し難い」と一部の士族から迫害を受け、せっかくの苗木はないがしろにされる。
桜植栽の理解が得られたのは、それから 15 年を経た明治 30 年。
偶然から生まれた「弘前公園方式」のおかげで、枝ぶりがよく瑞々しい花を咲かせるようになった「弘前城の桜」は、やがて全国にその名を轟かせていくことになる。
弘前公園の桜にまつわるエピソード
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」というように、桜は切口から腐りやすいことから、通常は枝を切らないのだが、実家がりんご農家を営む作業員が、それを知らずに傷んだ垂れ桜の枝を切り落としてしまった。
その作業員はこっぴどく叱られたが、なんと翌年その切り口から新しい枝が勢いよく飛び出した。
特産品のリンゴで培った選定技術からヒントを得て、桜の枯れ枝や病気の枝を切り落とす「弘前公園方式」は、こうして偶然から生まれたという。
天守が元の位置に戻されるのは 2025 年度の予定
お城によく足を運んでいる人なら、この写真を見て「違和感」を覚えるはずだ。
普通、天守は石垣の上に建っている。
実は現在、弘前城の天守は 2015 年に始まった石垣の改修工事に伴い、元の位置から北西へ約78メートル離れた本丸中央部に移動している。
そのおかげで今は、本来なら見ることのできない岩木山とのコラボが楽しめる。
ちなみに天守の正規の場所はここ。
弘前市の公園緑地課は、天守台の石垣と天守の基礎に、新たな耐震補強が必要なことが判明したため、改修工事を延長することを公表した。
今後は 2024 年度に石垣の積直し工事を終え、2025 年度に天守を元の位置に曳戻し、2026 年度から 2028 年度にかけて、天守の耐震補強と保存修理が行われる予定のようだ。
弘前公園の上手な桜の見学方法
お城がある弘前公園の本丸は、午前9時以降はひとり320円の入園料がかかるが、それより前は無料開放されている。
すなわち岩木山絡みの天守を撮影する絶好のタイミングは、早朝ということになる。
見学ルートは「東門」から入城して外堀を渡り、「北の郭」方面に進んで天守に至る。その後は来た道ではなく、時計と反対周りで東門に戻るといい。
外堀の桜を見るのはそれからでいい。
ただここも人気のフォトスポットなので、見落とさないようにしよう。
なお駐車場は午前8時から開いている「弘前文化センター(110台・最初の1時間無料、以降30分毎に110円)」がいちばん近くてお勧めだが、もっと早い時間帯から行きたければ、近くにコインパーキングもある。
弘前の車中泊事情
まず「道の駅 ひろさき」は、東北自動車道の「大鰐弘前(おおわにひろさき)インター」からほど近く、夜 11時まで営業している日帰り温泉「花の湯」に隣接しており、利便性は極めて高い。
ただし70台しかキャパがないため、特にこの時期は混雑を免れない。
桜まつりとねぷた祭りの期間中は、弘前公園から同じく 11 キロほど離れた「道の駅いなかだて」のほうが落ち着ける。