この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
伊香保温泉の場合は、温泉街よりも少し離れた場所で車中泊をするほうがオススメ。
伊香保温泉の車中泊事情と車中泊スポット【目次】
伊香保温泉の観光に車中泊は必要?
筆者は「伊香保温泉 車中泊旅行ガイド」の中で、『興味深い歴史エピソードを秘めた「伊香保温泉」は、周辺に自然と名物料理が揃う、車中泊の旅に適した温泉地』と紹介しているが、伊香保温泉街が「車中泊に適している」とは云っていない。
取り立てて温泉ファンというわけでもない普通の旅行者にとって、石段温泉街の界隈に、気軽に立ち寄れる共同温泉と飲食店・土産物店、さらに記念館やミュージアムが集中している伊香保温泉は、半日あればそれなりの満足感が得られるところだ。
そもそも車中泊の温泉旅というのは、贅を凝らした食事とおゆばがメインで、余った時間を界隈で潰す温泉宿の泊まり客とは、過ごし方が根本的に違う。
ついでに書くと、
本当はそうしたいが、宿代を節約するために車中泊で伊香保温泉に来ているというのは、最初からスタンスが間違っている。
そういう姿は世間様のみならず、まともな車中泊旅行者の目にも貧しく映る。
よく考えてみれば、宿代には食事代・温泉代に加えて駐車場代まで含まれている。
それに「上げ膳据え膳」と違って、すべてがセルフの車中泊の手間を加味すれば、声高に云うほど車中泊は安くない。
最初は面白がって、SNSやブログにそういう記事をあげる人は多いが、なかなか続かないのはそれが理由だ。
今ならコロナが収まれば、その手の話はウイルスとともに消えてしまうに違いない。
車中泊の旅とは、悪く云えば「宿無し」、欲云えば「自由奔放」。
ポジティブに考えると、我々は「寝られるクルマ」という広範囲に行動できる武器を駆使することで、「居心地の良い場所」や「行動しやすい旅の宿」を、時間や交通機関の制約なしに選ぶことができる。
車中泊旅行者を歓迎しないまでも、毛嫌いしない「居心地の良い場所」や「行動しやすい旅の宿」が伊香保温泉街にあれば、それはそれでハッピーだが、それと伊香保温泉街に「一晩泊まってでもやりたいことがある」かどうかは別の話だ。
たとえば「草津温泉」には、1泊2日でちょうどうまく使える湯めぐり手形があるが、伊香保温泉にはそういうものもない。
伊香保温泉の車中泊事情
2022年6月現在、
伊香保温泉街の徒歩圏内に車中泊ができる駐車場がないわけではない。
写真は「徳冨蘆花記念文学館駐車場」で、有料の観光駐車場の中では石段まで一番遠いが、普通車70 台と収容台数が多く、夜間も15 時から翌日10 時までは800 円で利用できる。
また道を挟んだ「伊香保温泉第二バス発着所」に公衆トイレがある。
どうしてもというなら、ここで車中泊をするのが「一番無難」といえそうだ。
ちなみに無料の「河鹿橋駐車場」にもトイレがあり、現時点では車中泊も禁止されてはいない。
隠しても誰かがバラしまうと思うので(笑)、正確な情報を記しておこう。
今は改修されてウォシュレットになったトイレがあり、「伊香保露天風呂」にもすこぶる近いこの駐車場は、ある意味では「知る人ぞ知る穴場」であることは確かで、偶然見つけた車中泊の旅人が、SNSで紹介したくなる気持ちはよくわかる。
だが、もともとここは「伊香保露天風呂」専用の駐車場みたいなところで、キャパも20台に満たない。
しかも利用者の大半が地元の人たちだけに、夕方から県外ナンバーで埋まっていれば、快く思わないのも頷ける。さらにそこで、誰かがテーブルやイスを広げでもしたら、トラブルの元になりかねない。
そんなわけで、ここでの車中泊は控えることを強く勧めているのだが、残念ながらいずれ車中泊禁止の看板が立てられる日が来るのを防ぐことはできまい。
運が悪ければ、たった1台の行動がその導火線になってしまう時代だ(笑)。
ただ前述したように普通の旅行者にすれば、伊香保温泉は半日あればそれなりの満足感が得られるところなので、あえて地元の人たちから反感を買うような行動をする必要がない。
それが筆者の見解だ。
伊香保温泉観光に好適な道の駅は2つ
以上の理由から、夜でも熱くて寝られない季節以外は、伊香保温泉から30分ほど離れた、2つの道の駅のどちらかで車中泊をするのがお勧めだ。
道の駅 こもち
多少の古さは感じるものの、宿場町の情緒が残る落ち着いた道の駅で、伊香保温泉街から約16 キロ・クルマで20 分のところにある。
伊香保温泉からの帰りで入浴を済ませてきた人は、隣にローソンがあって可燃物のゴミ箱を外に数ヵ所置いてくれている、この道の駅の居心地がいいと思う。
道の駅 よしおか温泉
「道の駅 こもち」よりも5 分ほど遠いだけで、時間的にそれほど大差はないが、こちらには温泉が併設しているので、特に前泊に適している。
また2022 年7 月に駐車場内にRV パークsmartがオープンし、電源が使えるようになっている。
夏にお勧めなのは、榛名湖
標高約1100 メートル地点にある榛名湖は、栃木県の中禅寺湖に次ぐ日本で2 番目の高地に位置し、車中泊事情も良好だ。
しかも伊香保温泉からは、約12 キロ・クルマで20 分の距離にある。
特にロープウェイからビジターセンターにかけての一帯には、トイレが近くにある無料駐車場が数ヶ所点在しており、簡単には満車にならないだけのキャパがある。
なお、榛名湖には日帰り温泉の「榛名湖温泉 ゆうすげ元湯(☎027-374-9211)」はあるが、湖周道路沿いには食堂と土産屋があるだけで、コンビニやスーパーはないので、飲食物はあらかじめ持参されることをお勧めする。
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