車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、「道の駅 美ヶ原高原」の車中泊に関する記述です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊スポットガイド
この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
「道の駅 美ヶ原高原」では、車中泊禁止の情報が二転三転。2024年7月現在、車中泊を規制する表示はHPにも現地にも見当たらない。
道の駅 美ヶ原高原 DATA
道の駅 美ヶ原高原
〒386-0507
長野県上田市武石上本入2085-70
☎0268-86-2331
営業時間
直売所 9時~17時
4月25日~11月15日(期間中無休)
※11月16日~4月24日 (ビーナスライン閉鎖の為、休館)
「道の駅 美ヶ原高原」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第24回
登録日/2007年8月10日
「道の駅 美ヶ原高原」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2010.05.16
2012.09.15
2016.07.14
2021.06.27
2024.07.20
※「道の駅 美ヶ原高原」での現地調査は2024年7月が直近です。
道の駅 美ヶ原高原
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「道の駅 美ヶ原高原」のロケーション
美ヶ原高原は、八ヶ岳中信高原国定公園の最北に位置する日本一広い高原台地で、奥に見える標高2034mの王ヶ頭は、日本百名山に名を連ねる、美ヶ原の最高峰だ。
周辺では牧歌的な風景を望みながら、散策や本格的なトレッキングが楽しめる。
とまあ、この写真だけを見れば、のどかでいかにも爽やかな場所に思えるのだが、標高2000メートル地点まで、すんなり走れる道はない(笑)。
まずビーナスラインは、美ヶ原まで残り3キロ付近まで来ると、ご覧の強烈なワインディングの上り坂が連続する、キャンピングカーにとっては試練の道になる(笑)。
それに筆者はドコモキャリアだが、なんと道中は電波が届かない。美ヶ原まで行けば復活するが、ここで事故でもしたら、もうバンザイするしかない。
いっぽうこちらは美ヶ原と上田を結ぶ県道464号だが、走りにくさではビーナスラインの上を行く。
車中泊禁止情報の経緯
さて。
美術館に隣接する「道の駅 美ヶ原高原」は、2007年にオープンした道の駅で、当初は「道の駅 美ヶ原高原美術館」の名称で営業していたが、2017年に「道の駅 美ヶ原高原」に改称している。
そしてもちろん、筆者は「道の駅 美ヶ原高原美術館」の時代から、この道の駅のことはよく知っている。
名称はさておき、いずれにしてもこの素敵な環境が、家にいることが嫌いなキャンピングカーに乗るシニアたちの目に留まらないはずはなかった(笑)。
道の駅の職員たちは、夏の涼しい間「避暑地の別荘気分」で駐車場に居座る車上生活者に手を焼き、あれこれ対策を講じてきたのだが、その注意書きの表現方法が都度都度変わる中で、とうとう「車中泊」という言葉を使ってしまった。
下が問題のテキスト。これは道の駅のオフィシャルサイトの中にある「駐車場ご利用についてお願い」の「~その他お願い~」に記載されていた。
読めば利用者が「車中泊禁止」と受け取るのも無理はない。
当然情報はSNS上で拡散され、多くの車中泊旅行者に「道の駅 美ヶ原高原」では車中泊ができないという認識が広まった。
ただ筆者は2010年に現地で、「4.車両等で宿泊される方は、一泊とすること」と明記されたこの看板を読んでいた。
ここからも、道の駅側が当時から「車上生活者」を強く意識していたフシが伺える。
そのため筆者は、道の駅がおそらく「車中泊」という言葉の意味を履き違いしているのだろうと静観していた。
そしてそれを裏付けるサイトが見つかる。
これはYoutuber「にんにん氏」のウェブページだが、中には道の駅サイドが言葉遣いの誤りだったことを弁明している内容が記されている。
ということで2021年6月現在の、「道の駅 美ヶ原高原」のオフィシャルサイトに記載された、修正後の「駐車場ご利用についてお願い」を転記しておこう。
駐車場ご利用についてお願い
「道の駅」は休憩施設であるため、駐車場など公共空間で宿泊目的の利用は遠慮いただいています。
もちろん、「道の駅」は、ドライバーなど皆さんが交通事故防止のため24時間無料で利用できる休憩施設であるので、施設で仮眠していただくことはかまいません。
※この文章は、国土交通省HP 道の相談室 意見質問 休憩施設「道の駅」質問欄に「道の駅」駐車場での車中泊は可能ですか?の回答として掲載されています。
※下記の禁止事項にご留意いただき、マナーを守ってご休憩ください。
~禁止事項~
①長時間のアイドリング。
②イス・テーブル・ベット等の車外での使用。
③サイドオーニング、テント、シェルター、シートの設営。
④トイレ手洗い場での洗濯や、タオルや衣類などの天日干し。
⑤バーベキュー、煮炊き、炊飯、湯沸かし等(火気厳禁)
⑥水道を使用しての洗車等(山の水は貴重です)
⑦発電機の使用及び当道の駅建物から電源をとること。
⑧トイレ手洗場で食器を洗うこと
⑨トイレ前、大型バス駐車区域、車道、奥側未舗装区域への駐車
~その他お願い~
※付近は山林が多いので、たき火や花火などは絶対にしないでください。
※駐車場周辺にゴミや残飯を捨てないでください。(野生動物が寄ってきます)
※美術作品展示場と隣接していますので、ドローンでの無断空撮は禁止しています。
※トイレからトイレットペーパーを持ち出さないようお願いいたします。
※事故・盗難等について当方は責任を負いかねます。十分ご注意ください。
2021年6月24日更新
上記のことを自分の目で確認すべく、梅雨の合間を狙って「道の駅 美ヶ原高原」に足を運んできた。
そしてその結果、驚きの看板を目にしてしまった。
2行目には
休憩・仮眠以外の長期滞在や車中泊目的の駐車はご遠慮ください。
と記されている。
なるほど、どうしても「車中泊」という言葉が使いたいようで(笑)、また混乱を招くことになりそうだ。
そもそも、クルマ旅における車中泊は宿泊の「手段」であって、「目的」にはなり得ない。
云いたいのは、真っ昼間から来てこの駐車場にクルマを停め、山に向かってバックドアを開け、よくある「VAN-LIFEの写真みたいに黄昏るのはやめてよね」ってことのようだ(笑)。
せっかく車内を小綺麗に改造したんだもの、出かけて、できれば人にも見てもらいたいのは分からないでもない。
しかしそれを道の駅の駐車場でやられるのは、他の観光客の手前上、野放しってわけにはいかないのだろう。
早い話がその大半は、車中泊版のソロキャンそのもの。
「やりたければキャンプ場でどうぞ!」というのは、もっともな話だ。
そんなわけで、車中泊を旅やアウトドア、あるいは史跡や温泉をめぐる「リクレーションやホビーの宿泊手段」と位置づけている人は、「私の目的はクルマ旅であって、車中泊ではありません」というのが、ここでの模範解答になる。
しかしそうなると、どっちもどっちで、普通の車中泊旅行者はもう面倒臭くなっちゃうよなぁ~(笑)。
そもそも…
この程度の景色で癒やされる人は、信州のロクなところに行ってないと思う(笑)。
VANLIFEごっこがしたいなら、これくらいの景色が見られるところへ行きなよ。
2024年7月20日更新
軽井沢で撮影の仕事が入ったのに合わせて、ビーナスラインの夏景色を撮りに立ち寄ってみた。
その結果…
2021年に「車中泊禁止」と明記されていた赤い縁取りの看板は撤去され、前述したVAN-LIFEちゃんたちのお気に入りのスペースは、バイク専用の駐輪スペースにレイアウト変更されていた。
うまく考えたものだ。
確かにこうすれば、VAN-LIFEちゃんたちにとっての価値は激減する(笑)。
これで、車中泊旅行者を長きに渡って惑わせ続けてきた、「道の駅 美ヶ原高原」の罪が消えるわけではないが、とりあえず他の道の駅と同じ正常レベルになったのはいい話だと思っている。
せっかく暑さを避けて、標高2000メートルまで九十九折のビーナスラインを登ってくるのだから、1晩くらいは涼しい思いをさせていただきたいものだ。
これで”「道の駅 美ヶ原高原」では車中泊禁止”という、車中泊旅行者にとっての「風評被害」がなくなることを期待したい。
筆者はこうなった背景は、「道の駅 美ヶ原高原」で強硬に車中泊を毛嫌いしていた管理職が、転勤か定年か何かでこの施設を離れることになったことにあるのではと思っているが(笑)、そもそも道の駅での車中泊の可否を、駅長が判断できること自体が間違っている。
1000件を超す「道の駅」を個人商店のように運営するほうがいいのなら、イオングループだってそうするわけで、重要なことは組織で決定して徹底する「チェーンストア・オペレーション」に則って運営しているからこそ、つまらない混乱が生じない。
「キャンプ行為」と「長期滞在」に限って禁止すれば、すべては丸く収まる。
トラックを道の駅から排除できない国交省は、とっくにそのことに気がついている。
「道の駅 美ヶ原高原」の施設
前置きが長くなったが、ここからが施設の紹介になる。
まず「道の駅 美ヶ原高原」は、ご覧のような広大な敷地を有しており、そもそもが滞在型の施設である。
800台を収容する駐車場もご覧の広さ。路面も平坦で車中泊に支障はない。
トイレは道の駅の入口近くにある。
中はウォシュレット付きで非常にきれい。
ただし前の駐車場には、観光バスなどの大型車レーンがある。
特筆すべきは爽快な風が流れる「展望テラス」だ。テーブル&チェアに加え、可燃物のゴミ箱まで設置されている。
ゴミ箱はかつてに比べると小さくなったが、それでも撤去していないのは助かる。
ここは荷物がほとんど積めないライダーも多いので、「持ち帰れ」と云えば「ビーナスライン」が”ゴミ箱”化するのは目に見えており、北海道ではそれが現実化している。
ただ営業時間外は立入禁止。そこまでせずともよかろうに(笑)。
ちなみにこの売店のソフトクリームはとても美味。写真はシナノスイートと牛乳バニラのミックスで2016年当時は350円で買えたが、2024年には450円だった。
デッキテラスから続く売店。土産品もよく揃っていると思うが、さすがは美術館という商品もある。
この手帳はそのひとつで、「北のモナリザ」と呼ばれるオランダの画家・ヨハネス・フェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女」や、ムンクの「叫び」といった名作も並んでいた。
その中で筆者が選んだのは、ゴッホに影響を与えたことで有名な日本の絵師、葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」。
しかもこの「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」は、ホノグラムになっていて動く。
写真では伝わりにくいが、下の富士山がブレているのは遠近感が変わっているからだ。これで418円ってのはいいね!。
これらは2024年も健在で、今回は旅の途中に家内が使えるアートフルなビニール傘を購入。これだけ派手だとパクりにくいだろうからね(笑)。
とはいえ…
ご承知の通り筆者は、道の駅に「旅の宿」としての利便性を強く求めており、温泉と買物施設から遠く離れた「道の駅 美ヶ原高原」は、そのニーズにそぐわない。
蓼科・ビーナスラインをめぐる際の「旅の宿」には、美ヶ原から小諸方面に26キロほど走った、温泉とコンビニが併設する「道の駅 マルメロの駅ながと」のほうがお勧めとはいえるだろう。
「道の駅 美ヶ原高原」の車中泊好適度
「道の駅 美ヶ原高原」のゴミに対する対応
可燃ゴミ:屋外にあるが閉店後館内に収納されるため、営業時間中のみ利用可。
缶・ビン・ペットボトル:自動販売機の横に設置。
ちなみに、車中泊の旅行中に発生するゴミは「家庭ゴミ」ではない。
しかるに「家庭ゴミの持込み禁止」は地域住民に向けた正しい勧告ではあるが、車中泊の旅行中に発生するゴミは該当しない。
こう説明すれば分かりやすいと思う。
近くのスーパーで買ってきた「弁当」は、道の駅についた時点では「ゴミ」ではなく「食品」だ。
それを道の駅に駐めたクルマの中で食べると、残った容器がゴミになる。
ということは、正確には「道の駅で発生したゴミ」であって、
道の駅のスタッフが、出勤前にコンビニで買ってきた弁当を昼食に食べた後、その容器を事務所のゴミ箱に捨てるのと同じ話で、誰が食べたかは関係ない。
すなわち、「事業ゴミ」として道の駅が処分するのが筋ということになる。
明日自宅に帰る車中泊の旅行者が、それを「持ち帰り」するのは自由だが、それは「マナー」と呼ぶものではなく、あくまでも「道の駅の負担を軽減してあげるための協力」であって、基本は堂々と捨てさせてもらってかまわない。
車中泊旅行中のゴミの処分については、以下にもっと詳しい記事を掲載しているので、時間があればぜひ。上に記した話が「自分勝手」かどうかは、法律に照らし合わせれば一目瞭然だ(笑)。
「道の駅 美ヶ原高原」に最寄りの温泉&買い物施設
長門温泉 やすらぎの湯
道の駅から約25キロ。「道の駅 マルメロの駅ながと」に併設。
☎0268-68-2601
大人500円
10時~21時30分(受付最終21時)・火曜定休
コンビニ
「セブン-イレブン 長和町和田店」まで約15キロ。
スーパーマーケット
「ツルヤ 立科店」まで約30キロ。
「道の駅 美ヶ原高原」のアクセスマップ
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